鳥羽市内でエコツアー企画や観光情報サービスなどを行う「海島遊民くらぶ」。鳥羽の自然や海、文化を資源として活用し、観光への取り組みを行う「鳥羽市エコツーリズム推進協議会」のメンバーとして、多彩なエコツアーで観光客に鳥羽の魅力を伝えています。その活動についてスタッフの兵頭智穂さんにお話を伺いました。
「鳥羽を訪れた人が何も体験することなく帰ってしまうのは残念」と、代表の江崎貴久さんが「海島遊民くらぶ」を立ち上げたのは、2001年9月のこと。「自分達が愛する自然や人、鳥羽のおいしいものをこれからも守り、広く伝えていきたい」とエコツアー企画や観光情報サービスをスタートさせました。
多岐に渡る活動の中でも中心となるのはエコツアー。30種類以上のツアーを企画、運営しています。「シーカヤックやシュノーケルなどの自然体験から、鳥羽の町を巡りながらおいしいものを食べるつまみ食いツアーなどバラエティ豊かです」と話す兵頭さん。「地元のよさを知ってもらい、地元の人にも喜んでもらえる、そんなツアーの企画をしたいと思っています」とスタッフ全員でアイデアを持ち寄り、さまざまな企画を運営しています。
「海島遊民くらぶ」では、これらエコツアー以外にも、小学校の修学旅行の受け入れも行っています。「離島での釣りや散策体験で、子ども達も大喜びしてくれます」と兵頭さん。こうした修学旅行生も含め、年間3500〜4000人もの観光客の案内を実施しています。
また菅島や神島などの小学校の総合学習で「島っ子ガイド」の授業も行い、ガイドの仕事の内容や、お客さんを思いやる心なども指導。毎年秋には、子ども達がガイドとなって自分たちの住む島を案内する「島っ子ガイドフェスティバル」を開催し、県内外から訪れる観光客と一緒に、子ども達が島を巡りながらガイドを行います。
「島っ子ガイドは自分達が住む島の漁師の仕事や自然について子ども達が知るいい機会になっています」と兵頭さんはいいます。「島のいいところをたくさん見つけて、誇りを持てるようになってほしいと思っています」。
島の子ども達は日々接する人数が限られているため、街の子に比べてどうしてもコミュニケーション力が弱くなるとも。「ガイドをするために地域の人々と関わったり、また島外の人々と関わることで自分の思いを伝える力を養ってほしいと思います。ぜひ多くの人々に足を運んでもらいたいですね」と兵頭さんは話します。
「海島遊民くらぶ」ではこうした活動の他に、視察研修の受け入れや地域づくりコンサルティングなどにも力を入れています。また代表の江崎さんは漁業が抱える悩みと観光業が抱える悩みの解決の糸口になればと鳥羽市や鳥羽市観光協会と一緒に「漁観連携」を推進。アワビの種を増やす企画や、答志島で水揚げされるサワラのブランド化など、市や観光協会と連携を取りながらさまざまな取り組みを行っています。
また11月20日に行われる「伊勢志摩国立公園指定70周年記念式典&全国エコツーリズム大会」では、「神島っ子ガイド」など12のエクスカーション(体験型の見学会)も行う予定です。
「今、関わっている人達がみんな幸せになれるような活動をこれからも続けていきたい」と兵頭さん。「私たちの活動を通してお客さんだけではなく、地元の人々も自然も生き生きとなれるよう、これからももっと知識やスキルを積んで頑張っていきたいと思っています」。
“みんなが幸せになれる”ことをめざして、「海島遊民くらぶ」の活動はこれからも続いていきます。
2016年10月18日取材時の情報です
ライター:小山芳恵
施設名 | 海島遊民くらぶ |
住所 | 三重県鳥羽市鳥羽1-4-53 |
TEL | 0599-28-0001 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | お盆、正月 |