妻籠宿から国道256号をさらに登って行き、少し開けた所にある大きな古民家には
「ひのき笠の家」と書かれた看板、ここが蘭(あららぎ)桧笠生産協同組合の建物です。
出迎えてくれたのは前組合長の志水洋一さん。
中は珍しくなった土間の造りで、桧笠など商品がたくさん陳列されています。
奥の座敷へ通して頂き、志水さんからお話を伺うことになりました。
江戸時代前期の1662年、飛騨高山周辺の職人さんが、この地へ桧笠作りの技法を伝えたと言われています。
以来、300年余りの伝統を守ってきた蘭桧笠は、昭和57年に長野県の伝統的工芸品に指定されました。
元々この笠は、日々の野良仕事だけでなく、登山者(近くには霊峰御岳山)や
川下りの船頭さんがかぶるなど、実用的な使われ方をしてきました。
最近は、観光客向けの販売や修学旅行の体験学習に加え、
祭りで採用されるような大口注文もあるとのことです。
志水さんに促され、店頭に並ぶ蘭桧笠をかぶってみました。
う〜ん、かぶるとすぐ頭の形に馴染む構造と、予想以上の軽さに驚き!
店へ隣接する加工場に行くまで、お借りしたままとなりました。
笠作りの工程は次の通り。まずは、桧の丸太を機械で薄くスライス、
ちょうど大根を桂剥きにする要領です。
続いてスライスされた桧は細く切り揃えられ、
細長い短冊状の「ひで」と呼ばれる部材に加工されます。ここまでが加工場で済まされる作業。
この後、20人強の組合員さんの家へ「ひで」が届けられ、補強を入れながら円錐形に編んで、
蘭桧笠が出来上がってきます。この作業は、「基本的に内職でするものなんです」と志水さん。
例えば農作業のかたわら、現金収入を得る生活の助けなのだそうです。
さらに蘭桧笠の素晴らしい点を教えてくれました。
「日差しが強い時はひでが収縮し隙間から風を通し、
雨の時はひでが膨張して頭が濡れることを防いでくれる」と、
なるほど!屋外作業で必要となる機能性をしっかり備えているのですね。
加工場から店へ戻り、改めて店内を見渡すと、笠や靴の中敷きほか、様々な桧の加工品があります。しかしどうしても気になるのは、蘭桧笠の快適なかぶり心地・・・小穴と倉田は各々いくつか手に取ってかぶり、志水さんのアドバイスを頂きながらしばし品定め、両者とも気に入った笠を見つけ購入しました。 今年も御嶽山をはじめ登山をしている小穴は、早速、この傘を登山の友として愛用していますよ。 (小穴久仁・倉田和己)
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住所 | 南木曽町吾妻3321-1 |
TEL/FAX |
TEL:0264-58-2727 FAX:0264-58-2664 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | 毎週水曜日(12/1〜3/31まで休業) |
2010年4月15日現在の情報になります。