目の前に絶景が広がる露天風呂でのんびり〜多くの日本人にとって至福のひと時ではないでしょうか。
こうした露天風呂向けの大型浴槽をはじめ、比較的サイズの大きな木工製品を手掛ける
原浴槽の代表、原栄一さんからお話をお聞きしました。
浴槽には「ヒノキ、サワラ、コウヤマキ、この3つが適している」と原さん、
一方で「ヒノキは知名度があるが、サワラやコウヤマキの方が耐水性がある」とも。
これら3種類の木材は木曽地域で生産されていますが、実際の製品作りにおいては、
お客さんの要求価格に合わせ、木曽の木材に比べ安い、例えば青森ヒバや、
より安い海外のいわゆる外材を使うのが現状だそうです。
さらに、大きな製品作りのため径の大きな木材が、この地域で確保し難くなってきたことも加わり、
「本当は木曽の木を使ってやりたいんだけどね」と原さんは話されます。
それにしても、原さんの仕事場の棚には、数え切れないほどの道具があります。
鉋だけでもいくつあるのでしょう?さらに変わった形をした板など、これも道具でしょうか?
原さんによると、浴槽や桶など丸い形のものを作るため、
鉋の台は外側を削る凹型と内側を削る凸型が必要で、直径に応じて台の凹凸サイズもそれぞれあります。
また、変わった形の板のうち、直角と弧を組み合わせた形が抜かれている道具は、
四角い木材を円形の浴槽に組み上がるように削る際の定規です。
先代のお父様から受け継いだ道具もありますが、こうした用途の限られる特殊な道具は、
多くが原さん自身で作り、長い間使い続けています。
「丸いものを作るための道具というのは、普通売っていないから」。
実は原さん、全国でも名の知れた高級旅館やホテルへ納める浴槽を製作するほどの技術を持つ職人さんです。
取材は夕方でしたが、この日の午前中にある有名旅館へ出荷した浴槽の写真を拝見すると、
浴槽の外側は八角形、内側は円形をした原さんにとっても初めての形。
これまで受けた注文の中にあった直径6m位ある浴槽に比べ、
出荷したばかりのこの浴槽の直径は1.6m、特別大きいものではなかったそうで。
国内の木材産業が、安い外材との競争にさらされてずいぶん年月が過ぎましたが、良質な木材を生産する木曽地域でも、この競争の例外ではありません。国産材、地元の材を見直す動きはあるものの、まだ小さなうねり。浴槽を作り始めて40年になる原さんの、「本当は木曽の木を使ってやりたいんだけどね」と言う言葉が、いまでも頭の中でこだましています。
(小穴久仁・倉田和己)
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住所 | 大桑村須原1056 |
TEL/FAX | TEL:0264-55-3063 FAX:0264-55-3313 |
営業時間 | 8:00〜17:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
URL | 原浴槽 |
harayokuso@rouge.plala.or.jp |
2010年4月14日現在の情報になります。