暑さ真っ盛りの季節、茹でたての香り高いエダマメは、おやつにビールのお供にと大人気の夏野菜です。
実は岐阜市は、西日本におけるエダマメの主産地。今月は美味しいと評判の「岐阜えだまめ」を紹介します。
訪れたのは、岐阜市曽我屋地区にあるJAぎふ枝豆選果場。JAぎふ営農経済部の仲村憲明さんにお話を伺いました。
「岐阜えだまめの産地は、岐阜市の島、則武、合渡地区など長良川の北側のエリアが中心です。昭和32年頃から本格的な栽培が始まったといわれています。ごぼうや養蚕に代わる作物として作付け面積が増えていき、現在JAぎふの主要産物のひとつです。主に京阪神の市場へ出荷しており、西日本エリアでは、岐阜が一番のエダマメ産地なんですよ」。
岐阜えだまめの魅力はなんといっても、「大粒で甘みがあり、美味しい」と評されるその食味です。
出荷は4月下旬から11月上旬までで、最盛期は6月から9月にかけて。ハウス栽培、トンネル栽培、露地栽培と多様な作型を用い、品種を変えることで、半年もの長い期間出荷を行っています。「関東や東北など、他の産地ではまずありえない長期作型です。これも岐阜えだまめの強みのひとつですね」。
シーズン中はほぼ毎日、この選果場から1日1500〜2000ケース(1ケースあたり7.2kg入り)のエダマメを、京阪神と岐阜の市場へ出荷しています。
JAぎふでは、美味しくて安全安心な農産物を作るため、「ぎふクリーン農業」への取り組みを進めています。これは岐阜県が主導する、有機物などを有効活用した土づくりや減農薬を基本とした環境に優しい農業のこと。
「害虫対策としては防虫ネットやフェロモントラップを使用し、化学合成肥料・農薬を通常の3割以上減らした、ぎふクリーン農業の栽培基準を実施しています。また播種から収穫までの詳細な栽培記録を生産者さんにつけて頂き、残留農薬の自主検査も行っています」と仲村さん。
現在、JAぎふえだまめ部会に所属する生産者は約230戸。生産者とJAが協力しあい、岐阜えだまめブランドを支えています。
「エダマメは鮮度が命です。時間と共にどんどん味が落ちてしまうので、消費者の皆さんに、収穫したての鮮度と味をいかに届けるかということにこだわっています」と仲村さん。
エダマメの収穫が行われるのは、気温が上がる前、早朝の時間帯です。株ごと収穫したエダマメを、枝豆ピッカーという専用の機械を使い、枝からサヤをもぎ取ります。さらにひとサヤずつ手作業で選別を行い、水洗いして再度選別し、予冷庫に入れて粗熱を取った後、夕方には選果場へ運びます。
選別にはLMSの3つの規格があり、大きさ、キズ、粒の揃い方などを厳しくチェックします。ちなみにLはひとつのサヤに2粒以上豆が入っており、大粒で形の揃っているものが基本。「岐阜えだまめは出荷量の80%がLで、MとSは合わせて20%と少ないですね」。
選果場に運び込まれたエダマメは、コンテナごと選果場にある大きな予冷庫へ。ここで一晩予冷することが、鮮度を保つのに役立つのだそう。
翌朝、選果と包装のラインに乗せ、JA職員による最終の規格チェックと計量を行います。
小さなエダマメをひとサヤずつ、手作業で何度もチェックを行うことに驚いていると、「岐阜えだまめというブランドとして届けるわけですから、規格と品質の統一を徹底することが大切だと考えています」と仲村さん。そのこだわりが、鮮度と食味への高い評価へつながっているんですね。
最終チェックを受けたエダマメは自動計量され、P-プラスという鮮度保持フィルムを使った小袋で包装(1袋180〜200グラム)。金属探知機による異物チェックと、袋がパンクしていないか手作業による確認の後、40袋ずつダンボール箱に詰め、市場へと出荷されていきます。
安全で安心な栽培への取り組み、鮮度保持の工夫、徹底した規格チェックから生まれる岐阜えだまめ。お店で見かけたらぜひ購入して、その美味しさを確かめてみてください。
2015年6月17日取材時の情報です。
ライター : 梅田美穂
施設名 | ぎふ農業協同組合 曽我屋枝豆選果場 |
住所 | 岐阜県岐阜市曽我屋5-131-1 |
TEL | 058-234-5131 |
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