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地域をあげて
加子母トマトを育て広める
2015.09.25 更新

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加子母のトマトが美味しいのは、栽培に適した気候風土を生かしつつ、生産農家が栽培方法にこだわっているから。美味しいトマトから生まれる加工品も魅力です。
生産農家のひとり、萩原真さんと、トマトや加工品を販売する「道の駅加子母」の方にお話を伺いました。

マルハナバチによる授粉

トマト栽培が盛んな小和知地区にある萩原さんの農場を訪ねました。雨よけハウスの中に広がるトマト畑では、ハチが忙しそうに花から花へと飛び回っています。「今日はみんな元気に機嫌良く飛んでいますね」と笑顔でハチを見守る萩原さん。

トマトやキュウリなど実を食べる野菜は、花が咲いた後に受粉する必要があります。トマトは風媒花といって、風で花が揺れることで花粉が落ち受粉しますが、ハウスの中では風が無いためホルモン剤を噴霧したり、マルハナバチの力を借りて受粉を行います。加子母のトマト農家の約半数は、この作業にマルハナバチを利用しています。

「トマトは病気や害虫に弱い野菜なので、農薬や殺虫剤がどうしても必要になりますが、加子母ではぎふクリーン農業の基準を満たして栽培しており、農薬や化学肥料の使用は従来の半分以下です。ハチは農薬に弱いので、ハチを使うことは安全のバロメーターにもなっているんですよ」と萩原さん。

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花粉を集め、受粉の手伝いをしてくれるマルハナバチ。ハウスの出入り口をネットで覆い、外部へ逃げ出さないようきちんと管理を行っています(写真提供/萩原さん)

萩原さんは以前、マルハナバチの販売会社の技術指導員として全国の産地を廻り、ハチについて教える仕事をしていました。
「北海道から沖縄まで全国を訪れましたが、加子母のトマトが一番おいしかったんです。農家さんたちの技術力の高さや組織力など、産地としての実力も素晴らしいところだと感じました」。

サラリーマンとして働きながら、自宅にハチが逃げない簡易ケージを建てて独学でトマトを作っていたという萩原さん。平成20年に就農希望者を支援する「かしも健康トマト村」が設立されたことを機に、第一期生として1年間の農業研修を受け、加子母で就農。トマト専業農家として今年8年目を迎えました。

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萩原さんのモットーは「ハチによる交配でトマトの品質を上げること」。品質向上のため、大玉トマトだけでなく必ずミニトマトも植えて他家受粉を行っています

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出荷作業中の萩原さん夫妻。現在23アールの農場で、年間24トンのトマトを出荷しています

生産者の情熱が育む加子母トマト

美味しいトマトを作るには、いくつものていねいな作業が必要です。
そのひとつが「花がら取り」。花が咲いて受粉し、小さな実がなると花がらが残るのですが、そのままにしておくとそこに湿気が溜まり、カビや病気が発生して腐ったり実が落ちてしまうので、ひとつひとつ手で取り除きます。
加子母ではこうした病気対策などのノウハウを農家さん同士で教え合い、協力して行っています。

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ハチによる受粉だとこのように実の先に花がらが残ります

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ハウスの中のトマトをすべてひとつずつチェックし、花がらを取り除きます。根気のいる作業です

トマト農家を志した理由を萩原さんにたずねると、「野菜の中で栽培が難しいのはトマトなんです。ミディ、ミニといろんなサイズがありますが、なかでも大玉トマトが一番難しい。だからこそやりがいがあると思ったんです」とのこと。
「加子母のトマト農家は難しい大玉を作りこなしていてすごいと思ったことも、ここで就農したいと思ったきっかけです」。

「トマト作りには終わりがありません。ベテラン農家さんもみんな、“毎年1年生。トマトとの知恵比べだよ”と言うくらい。来年はこうしよう!と思いながらトマトを育てるのは、本当に楽しいです」。
生産者の情熱も、加子母のトマトの美味しさを育んでいます。

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青もぎで追熟させるのが、桃太郎の特徴。これが出荷に適したナンバー1ランクのトマト。「置いておくと、一日で真っ赤になりますよ」とのこと

トマトなど特産品を販売する「道の駅加子母」

加子母地区には、萩原さんをはじめ地元農家が育てた加子母トマトを購入できるお店がいくつかあります。そのひとつ、「道の駅 加子母」を訪れました。
下呂温泉に向かう国道257号線沿いにあり、地元の農産物や特産品の販売、地元食材を使ったレストランの運営、加子母の観光案内などを行っています。アウトドアブランドのフレンドショップとしてアウトドアグッズの販売や、山登りの好きなスタッフによる山歩きの案内もあり、立寄スポットとして人気の施設です。

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旬を迎えたトマトがずらりと並ぶ産直コーナー。毎日、地元農家さんから新鮮なトマトが届きます。加子母トマトは、近隣の美濃市や関市などにある道の駅、愛知県瀬戸市の道の駅でも購入できます

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道の駅加子母代表の安藤直樹さん(左)と駅長の加納さん(右)。「加子母のトマトはとにかく美味しいので、一度ぜひ食べてみてください」と安藤さん

この夏、新駅長になった加納真弓さんにお話を伺いました。ジュニア野菜ソムリエの資格を持つ加納さんは、加子母の農産物の紹介や商品開発に精力的に取り組んでいます。
「9月から10月が加子母トマトの一番美味しい時期で、11月頃まで楽しんで頂けます。地元の方はもちろん、県外からも多くのお客様がトマトを買いに来てくれますね。土作りにこだわって育てた加子母トマトは、ミネラルいっぱいで本当に美味しいですよ。加子母には他にもいろんな美味しい野菜や果物がありますので、その魅力をたくさんの人に伝えていきたいと思っています」。

加納さんが担当する道の駅ブログでは、加子母の農産物の旬の情報や食べ方などを紹介しているので、加子母を訪れる際にはぜひチェックしてみてください。
【道の駅ブログ】

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併設のレストランでは地元食材を使ったメニューが楽しめます。ルーにも加子母トマトをたっぷり使い、加子母産の夏野菜をトッピングした夏野菜カレー900円(夏期限定メニュー)。売店では、トマトジュースを練り込んだソフトクリームも販売

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道の駅のオリジナル商品。かしものとまとじゅうす360円〜、かしものトマトけちゃっぷ540円。加子母トマトの旨味が味わえると人気です

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あたたかみのある木製の周辺マップ。手描きのイラストは地元在住のイラストレーターによるもの

(店鋪情報)
道の駅加子母 【ホームページ】
岐阜県中津川市加子母3900-29

2015年8月28日取材時の情報です。
ライター : 梅田美穂

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