加子母のトマトが美味しいのは、栽培に適した気候風土を生かしつつ、生産農家が栽培方法にこだわっているから。美味しいトマトから生まれる加工品も魅力です。
生産農家のひとり、萩原真さんと、トマトや加工品を販売する「道の駅加子母」の方にお話を伺いました。
トマト栽培が盛んな小和知地区にある萩原さんの農場を訪ねました。雨よけハウスの中に広がるトマト畑では、ハチが忙しそうに花から花へと飛び回っています。「今日はみんな元気に機嫌良く飛んでいますね」と笑顔でハチを見守る萩原さん。
トマトやキュウリなど実を食べる野菜は、花が咲いた後に受粉する必要があります。トマトは風媒花といって、風で花が揺れることで花粉が落ち受粉しますが、ハウスの中では風が無いためホルモン剤を噴霧したり、マルハナバチの力を借りて受粉を行います。加子母のトマト農家の約半数は、この作業にマルハナバチを利用しています。
「トマトは病気や害虫に弱い野菜なので、農薬や殺虫剤がどうしても必要になりますが、加子母ではぎふクリーン農業の基準を満たして栽培しており、農薬や化学肥料の使用は従来の半分以下です。ハチは農薬に弱いので、ハチを使うことは安全のバロメーターにもなっているんですよ」と萩原さん。
萩原さんは以前、マルハナバチの販売会社の技術指導員として全国の産地を廻り、ハチについて教える仕事をしていました。
「北海道から沖縄まで全国を訪れましたが、加子母のトマトが一番おいしかったんです。農家さんたちの技術力の高さや組織力など、産地としての実力も素晴らしいところだと感じました」。
サラリーマンとして働きながら、自宅にハチが逃げない簡易ケージを建てて独学でトマトを作っていたという萩原さん。平成20年に就農希望者を支援する「かしも健康トマト村」が設立されたことを機に、第一期生として1年間の農業研修を受け、加子母で就農。トマト専業農家として今年8年目を迎えました。
美味しいトマトを作るには、いくつものていねいな作業が必要です。
そのひとつが「花がら取り」。花が咲いて受粉し、小さな実がなると花がらが残るのですが、そのままにしておくとそこに湿気が溜まり、カビや病気が発生して腐ったり実が落ちてしまうので、ひとつひとつ手で取り除きます。
加子母ではこうした病気対策などのノウハウを農家さん同士で教え合い、協力して行っています。
トマト農家を志した理由を萩原さんにたずねると、「野菜の中で栽培が難しいのはトマトなんです。ミディ、ミニといろんなサイズがありますが、なかでも大玉トマトが一番難しい。だからこそやりがいがあると思ったんです」とのこと。
「加子母のトマト農家は難しい大玉を作りこなしていてすごいと思ったことも、ここで就農したいと思ったきっかけです」。
「トマト作りには終わりがありません。ベテラン農家さんもみんな、“毎年1年生。トマトとの知恵比べだよ”と言うくらい。来年はこうしよう!と思いながらトマトを育てるのは、本当に楽しいです」。
生産者の情熱も、加子母のトマトの美味しさを育んでいます。
加子母地区には、萩原さんをはじめ地元農家が育てた加子母トマトを購入できるお店がいくつかあります。そのひとつ、「道の駅 加子母」を訪れました。
下呂温泉に向かう国道257号線沿いにあり、地元の農産物や特産品の販売、地元食材を使ったレストランの運営、加子母の観光案内などを行っています。アウトドアブランドのフレンドショップとしてアウトドアグッズの販売や、山登りの好きなスタッフによる山歩きの案内もあり、立寄スポットとして人気の施設です。
この夏、新駅長になった加納真弓さんにお話を伺いました。ジュニア野菜ソムリエの資格を持つ加納さんは、加子母の農産物の紹介や商品開発に精力的に取り組んでいます。
「9月から10月が加子母トマトの一番美味しい時期で、11月頃まで楽しんで頂けます。地元の方はもちろん、県外からも多くのお客様がトマトを買いに来てくれますね。土作りにこだわって育てた加子母トマトは、ミネラルいっぱいで本当に美味しいですよ。加子母には他にもいろんな美味しい野菜や果物がありますので、その魅力をたくさんの人に伝えていきたいと思っています」。
加納さんが担当する道の駅ブログでは、加子母の農産物の旬の情報や食べ方などを紹介しているので、加子母を訪れる際にはぜひチェックしてみてください。
【道の駅ブログ】
(店鋪情報)
道の駅加子母 【ホームページ】
岐阜県中津川市加子母3900-29
2015年8月28日取材時の情報です。
ライター : 梅田美穂
施設名 | 加子母トマト生産組合 |
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