最近、お花屋さんに行ったことはありますか。贈り物用のお花しか買ったことがないという人も多いのではないでしょうか。身近にあるのにどこか敷居を高く感じるお花屋さん。どんな思いで仕事をしているのか、花の産地・東三河にあるフラワーショップをたずねました。
訪れたのは、豊川市の「フラワーショップ 花夢(かむ)」。店鋪の前に立つ大きなオオデマリの木が目を引きます。社長の桑野長文さんにお話を伺いました。
花夢は桑野さんが20年前、花屋で修行した後、独立して始めたお店です。「当時は慶弔用の花の下請け販売がほとんどで、仕事としてはあまり面白みがなかったですね」。桑野さんは店売りを強化しようと、贈り物としての花の販売に力を入れることに。
「豊川市は10万人の商圏ですが、花の産地とはいえ花屋も少なく、そもそも花が売れない。一般の人が花を贈る文化が根付いていないんですね。だからギフトとして魅力のある商品を企画していこうと考えたんです」。
ただ花を売るだけでなく、スペシャル感のある花を売りたいという思いから、近年は季節や行事をテーマにしたアレンジメントの提案やネット販売に力を入れています。
お店の人気商品のひとつが、色付きのコチョウラン「エレガンスシリーズ」。白いコチョウランの花を特別な技術で染色したもので、青や紫、緑など従来にない色で注目の鉢花です。このエレガンスシリーズを作っているのが、日本有数のコチョウラン生産者として知られる豊橋市の「松浦園芸」。オランダで生まれた技術を使い、現在世界で4軒しか作ることができないという貴重なものだそう。
地元の東三河地域で作られている花でもあり、エレガンスシリーズを大々的に世に出していきたいと考えた桑野さんは生産者に自ら交渉。その熱意が通じ、今では懇意な間柄に。「町の花屋でこれだけの品揃えを持つお店はないですよ」と桑野さん。店頭のほか、お店のホームページで3年前から販売を開始し、全国から注文を受ける看板商品へと成長しました。
豊川市はカーネーション、シクラメンの生産量も日本一。品質のよさでも知られています。花夢では地域の特産であるカーネーションを使ったオリジナルのアレンジメント商品を提案し、人気を集めています。それはハートの形をしたブーケ。サブマネージャーの伊藤聡志さんが考案したものです。
伊藤さんにお話を伺いました。
「ハートのブーケは、バレンタインデーやクリスマス、そしてプロポーズの時に贈る花として、男性のお客さんから注文をたくさん頂いています。花屋としていろんな売り方を考えますが、やはりストーリー性のある商品、贈る人や贈られた人が喜ぶものを提案したいと思っています」。
花というと特別なもの、誰かにあげるものと思われがちですが、「もっと気軽に楽しんでほしい」と伊藤さん。
「よく、私は花を飾るセンスがないからと言うお客さんがいらっしゃいますが、花は1輪でも2輪でも飾れるので、自分で好きな花を選んで楽しんでもらえたらと思います。花を買うことの敷居を下げていきたいですね」。
花夢では先日、母の日用のアレンジメントをお客さん自身が作るワークショップを開催。参加者からとても好評だったそう。
「これからもこういう取り組みをやっていきたいですね。ただ売るだけでなく、もっと多くの人が花に触れたり楽しめるような機会を増やしていきたいと思っています」。
2015年5月13日取材時の情報になります
ライター : 梅田美穂
施設名 | フラワーショップ 花夢 |
住所 | 愛知県豊川市御津町上佐脇西区179-3 |
TEL | 0533-76-3327 |
営業時間 | |
定休日 | |