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伝統野菜で作る加子母の「いももち」
2014.12.17 更新

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岐阜県の中南部、中津川市の最北端に位置する加子母(かしも)地区。
94%が森林という加子母は、古くから上質な東濃ひのきの産地であり、林業、木工業の町として知られています。また、ミネラルトマトや飛騨牛の肥育など農業も盛ん。
自然豊かなこのまちに伝わる、「いももち」を紹介します。

地域に伝わる「西方いも」

今回訪れたのは「道の駅加子母」。駅長の安藤直樹さんにお話を伺いました。
「いももちは、加子母の小郷地区で古くから栽培している『西方(にしがた)いも』というサトイモを使います。芋が収穫される10月頃から2月頃まで作られるもので、加子母の家庭で受け継がれてきた郷土料理です」。

西方いもの特徴は、ねばりがあってきめ細かく、貯蔵性が高いこと。「地元では『ねばいも』とも呼んでいます。普通のサトイモよりほっくりとしていて、煮物などにすると、とてもおいしいですよ」と安藤さん。
西方いもは飛騨美濃の伝統野菜に指定されており、近年は加子母の主要農産物のひとつです。
いももちの材料はこの西方いもとお米だけ。いたってシンプルです。

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郷土の気候風土に育まれた野菜として、岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を受けています

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駅長の安藤直樹さん(右)と、副駅長の加納真弓さん(左)。加納さんはジュニア野菜ソムリエとして、加子母の野菜や農業の魅力を伝える活動にも取り組んでいます

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売り場には特産のミネラルトマトをはじめ、地域でとれた新鮮な農産物や加工食品が種類豊富に並びます

材料は、西方いもとお米だけ

道の駅に併設された食堂では、秋から冬の季節メニューとして、いももちを提供しています。作り方を料理長の米田昌弘さんと、スタッフの桂川智子さんに教えてもらいました。

「まず西方いもの皮を剥き、下茹でします。このとき少し塩を入れて味付けしておきます。芋がやわらかくなったら、お米を研いでセットした炊飯器に煮汁ごと加えます。水加減はおかゆを炊くときくらいの感じ、多めですね」と米田さん。
炊きあがりがやわらかいほうが、いももちもやわらかくなるのだそう。お米6合に対して皮を剥いた芋800グラムが目安です。

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芋は水から下茹でし、煮汁ごとお米に加えます

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炊きあがりました。かなりやわらかめです

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いももちを作ってくれた料理長の米田さん(右)とスタッフの桂川さん(左)。芋に粘りがあるのですりこぎでつぶすのは力が必要。このとおり二人がかりです

芋のねばりでお餅のように

炊きあがったごはんと芋をすりこぎでつぶし、よく混ぜていきます。「目安は芋の形がつぶれてなくなるまで、はんごろしという状態ですね。」。
西方いもがとれる季節になると、毎年必ず作るという桂川さん。慣れた手つきでどんどんつぶしていく様子は、お餅をついているよう!

「西方いもは粘りが強いので、だんだんお餅のようにまとまっていきます。はい、これでOK」。
出来上がった生地は熱いうちに手で丸めます。時々表面に水を付けるのは、「表面をツルンと滑らかにすることで、焼き上がりがきれいになるから」とのこと。
成形後、フライパンで焼きます。両面に軽く焼き目がついたら、いももちの完成!

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ハンバーグを作る要領で、左右の手のひらでキャッチボールをするように空気を抜き、楕円形に成形していきます。大きさや形は家庭ごとに異なるのだそう

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油はひかず、中火くらいの火加減で、両面に軽く焼き目を付けます。表面をパリッとさせるのがポイント

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箸で持ち上げるとお餅のようにねばります。添えられた生姜醤油やネギ味噌を付けていただきます

素朴でなつかしい加子母の味

「あったかいうちにどうぞ」。出来たてのいももちは、表面はパリッと香ばしく、中はやわらかくて粘りがあり、お餅でも焼きおにぎりでもない不思議な食感。芋とごはんのほのかな甘さもどこか懐かしく、いくつでも食べられそう。加子母では生姜醤油を付けていただくのが一般的だそう。

「私の家では食卓にホットプレートを置いて、焼きながら食べるんです。いももちを主食におかずはおつゆくらい。子供も大好きで、みんなでたくさん食べますよ」と桂川さん。
自身も小さい頃から食べていて、母親から作り方を教えてもらったといいます。「加子母の家庭に伝わる、素朴な料理ですよね。私も伝えていきたいと思っています」。

「本来は家庭料理でお店で食べるものではないのですが、特産の西方いもと郷土の食を伝えたいという思いから、食堂でお出ししています」と米川さん。最近は作らない人も増えており、「『なつかしいね』と食べに来てくれる年配の方や、若い方からの注文も多いですよ」。

食堂で干し柿が縁取る窓の向こうに広がる山々を眺めながら、お茶と一緒にいももちを頂いていると、なつかしくて優しい気持ちになります。素朴でおいしいいももちを味わいに、ぜひ加子母を訪れてみてください。

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食堂で提供している「いももち定食」900円。秋冬限定メニューです。ほかにもけいちゃん定食や飛騨牛丼など、加子母産食材を使ったメニューが豊富

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「加子母はお祭りなど風土も面白いですよ」(桂川さん・左)、「地元産野菜を使った新メニューを開発していきたいです」(米田さん・中央)、「加子母は昔ながらの人のつながりのある、いい所ですよ」(湯上悦子さん・右)

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西方いもを使った「サトイモカレー」480円。地元イラストレーターが描くイラストを生かしたパッケージにも注目。ほかにも、西方いもの焼酎や特産のミネラルトマトを使ったトマトカレーなど、道の駅加子母ではオリジナル商品の開発に力を入れています

2014年11月18日取材時の情報になります
ライター : 梅田美穂

お問い合わせ
施設名 道の駅加子母 ゆうらく館
住所 岐阜県中津川市加子母3900-29
TEL 0573-79-3319
営業時間 8:30〜17:00
定休日 元旦休み(食堂は年末年始休み)
E-mail
おすすめ周辺スポット
加子母大杉と地蔵尊
樹齢千数百年、加子母のシンボル
大正13年に国の天然記念物に指定された、樹齢千数百年と言われる杉の木。高さ30.8m、目通り(目の高さからみた太さ)13m、根回り20mもあり、加子母のシンボル的存在として親しまれています。また大杉の傍にある地蔵尊は、建久5年(1194年)、源頼朝がこの大木の下に地蔵堂を安置するよう告げたという言い伝えがあります。

お問い合わせ

住所/ 岐阜県中津川市加子母字池ノ森
TEL/
営業時間/
定休日/
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E-mail/
かしも明治座
地域で守られてきた芝居小屋
明治27年(1894年)、地芝居が盛んだった東濃地方の芝居小屋のひとつとして、村の有志らによって建てられました。当時の姿をそのまま残す貴重な建築物として今なお現役。毎年9月には地域の「加子母歌舞伎保存会」による歌舞伎公演が行われ、クラシックコンサートなど様々な催しに利用されています。

お問い合わせ

住所/ 岐阜県中津川市加子母4793-2
TEL/ 0573-79-2111(加子母総合事務所)
営業時間/ ※保存修理工事のため、平成27年3月末(予定)まで休館
定休日/
E-mail/
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