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100年前から自家採種を続ける地域ブランド「徳田ねぎ」の 栽培と普及に取り組む「岐南町ブランド文化研究会」
2014.04.19 更新

甘くてシャキシャキ感のある徳田ねぎ

元気に生育している徳田ネギの畑

さる1月25日、岐阜県の食を広くPRする「岐阜まんぷくジャーニー」が県内各地にて開幕。
2月4には「岐南町ブランド文化研究会」による地元のブランド野菜「徳田ねぎ」の収穫体験と、
それを使った極上飛騨牛すき焼きを堪能するイベントが開催されました。
当日は見事な快晴。風は冷たいもののどこか春を思わせる陽気のなか、開始時刻の10時近くなると、
続々と参加者たちが会場である岐阜県羽島郡岐南町の「岐南町南町民センター」に集まってきました。
県内は各務原市や大垣市、お隣の愛知県名古屋市や清洲市、
丹羽郡扶桑町などからの参加者もあり、みんな元気いっぱい。
今回の主催である「岐南町ブランド文化研究会」の会長・大竹さんや正村さん、市野さんらのあいさつに続き
参加者一人一人の自己紹介が終わると、町民センター駐車場の隣りにある畑に移動。
いよいよ徳田ねぎの収穫です。

まさに今が旬。
大地にしっかり根を張った立派な太いネギは、ちょっと引っ張ったぐらいでは抜けそうにありません。
ネギの根元にスコップをほぼ直角に入れ、下から掘り起こします。
深めに掘らないとネギが途中で切れてしまうので要注意です。
1本がいくつかに株分かれしているため、かなりの重量。
土をできるだけ落としてから出荷用(今日はお土産用)の段ボールに詰めて行きます。
徳田ねぎの特徴は甘くて柔らかく、シャキシャキ感があること。
根元の白い部分、葉先の青い部分の両方とも食用に適しており、この季節、鍋物にはぴったりです。
種をまいてから収穫まで1年4ヵ月。
秋には分けつしますが、その際、悪い葉を取って何度も伏せ替えを行うことで成長します。
今年は夏の高温で乾燥が激しく、生育状況は今一つだったそう。
ふだんはそれほど水をやりませんが、今年は乾燥がひどく、夜中に散水したこともあったといいます。
高温多湿だと害虫のネギアザミウマが発生するため、その防除にも大変手間がかかるということでした。

(左)名鉄「笠松駅」からほど近い「岐南町南町民センター」の前で、説明を聞く参加者たち
(右)徳田ネギの歴史などを説明する「岐南町ブランド文化研究会」の皆さん

岐南町南町民センター」前のネギ畑での収穫体験。
徳田ねぎは分けつが多く、一株一株がずっしりと重い。
地中深く根を張っているため、スコップを土に直角に入れるようにして掘り起こす。

徳田ねぎの生みの親・五左さ

「岐南町ブランド文化研究会」では、
「ふるさと岐南 徳田葱物語」を編集・発行し、徳田ねぎのPRにも努めています。
それによれば、もともと岐南町付近は木曽・長良・揖斐の三川が運んできた肥沃な土砂と
河川の氾濫による土質の異なる土砂が混じり合って水はけが良く、
ネギや大根などの栽培に適した土地柄だったそうです。
徳田ねぎが栽培され始めたのは大正時代。
それには当時地域のリーダーであった高見五左衛門こと五左さをはじめとする
地元有志たちが大きく関わっているのです。

そのころ、お隣愛知県の江南市の辺りでは
「越津葱」[こしづねぎ]と呼ばれる地域特産のネギが栽培されていました。
このネギは下仁田ネギと九条ネギの中間型で、低温でもよく成長し、
葉身部・葉鞘部ともに柔らかくておいしいと評判でした。
伏屋の伝統芸能・獅子芝居を見た後の酒盛りで越津葱の話になり、
興味を持った五左さたちは江南にネギ栽培の見学に訪れました。
「このネギを持ちかえって徳田の辺で育てれば地元で旨いネギがとれるようになるのではないか」
そう考えた五左さたちは越津葱を分けてもらって持ち帰り、徳田の土壌に合うように改良。
様々な苦労の末、5年以上かけて徳田ねぎを創り出したのです。
五左さたちは「徳田葱採種圃」[とくだねぎさいしゅほ]を設置して、地元の人々に種を無料で配布。
各農家に栽培法を指導しました。こうして徳田の地ではあちこちで徳田ネギが栽培されるようになり、
五左さは「徳田ねぎの開祖」と呼ばれるようになりました。

徳田ねぎで地産地消の町おこし

五左さたち先人の努力が実を結び、かつての徳田はネギ栽培が盛んで、
「(ネギを)一冬やると一財産できた」というほどでした。
しかし、栽培者の高齢化が進み、露地栽培で栽培期間が長く、
気候条件に左右されやすい徳田ねぎは収量が不安定なことに加え、
流通網が弱くてほかの地域のネギとの競争に負けるといったことが重なり、
以前のようには売れなくなりました。栽培者も減っています。
そこで岐南町の住民有志が「岐南町ブランド文化研究会」を立ち上げ、
徳田ねぎの歴史や栽培方法について学ぶとともに、
祖先が苦労して広めた徳田ねぎをなんとか後世に伝え、地元の特産品としてよみがえらせたいと、
学校給食に積極的に使用したり、
地元の飲食店で徳田ねぎを使ったメニューを考案・販売してもらうなど
地産地消を応援する活動を行っています。

また、岐南町では徳田ねぎをモデルにした
「ねぎっちょ」というご当地キャラクターをつくり、徳田ねぎをPR。
徳田ねぎは平成14年「飛騨・美濃伝統野菜」の一つに認定され、
同24年12月8日・9日と岐南町で「全国ねぎサミット」が開催されました。
この日は収穫体験が終わると「岐南町ブランド文化研究会」メンバーの一人である市野さんの案内で、
「徳田ねぎの開祖」である五左さゆかりの九所神社を見学。
徒歩で「マルシゲ鉄板堂」へ移動しました。
「マルシゲ鉄板堂」では徳田ねぎを使った飛騨牛のすき焼きを食べることができます。
徳田ねぎには火を通すとさらに柔らかくなる性質があり、飛騨牛との相性も抜群。
味がよくしみて大変おいしかったです。

(左)徳田ねぎの看板。岐南町がつくったご当地キャラクターの「ねぎっちょ」がかわいい
(右)収穫体験が終わり、参加者全員で記念撮影。天候も良く、とても気持ちの良い収穫体験だった

(左)「徳田ねぎの開祖」高見五左衛門ゆかりの九所神社を見学
(右)九所神社見学のあと、歩いて昼食会場へ

昼食会場の「マルシゲ鉄板堂」

飛騨牛と徳田ネギのすき焼き。
和気藹々とした雰囲気の中、岐阜県産の肉と野菜で地産地消のごちそうに舌鼓

編集員のココがオススメ!

ネギは和洋中、いろいろな料理に食材として使われ、全国には下仁田ねぎ、九条ねぎなどいろいろなご当地特産ネギがあります。徳田ねぎもその一つで、白い根元の部分も緑の葉の部分もどちらも食べられるという特徴があり、幅広くいろいろな料理に利用することができます。ぜひ、料理の脇役ではなく、主役として使ってほしいと思います。

(松島頼子)

施設情報

施設名 岐南町ブランド文化研究会
住所 住所がはいります。
TEL TEL:090-2183-8468(市野さん)
URL 岐南町ブランド文化研究会
定休日 定休日がはいります。
営業時間 営業時間がはいります。

2014年2月4日現在の情報になります。

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