秋を感じさせる果物といえば、柿を思い浮かべる人も多いのでは?
玉城町では10月になると、町のあちこちで、赤く色づいた柿がたわわに実る柿畑の風景を見ることができます。
玉城町で作られている柿の大半は「早生次郎柿」という品種で、
町内全域の約60haで栽培しており、年間200t以上の収穫があります。
次郎柿は富有柿と並ぶ、甘柿の代表品種。
四角ばっていて大きく、果肉に適度な固さがあるのが特徴です。
種も少なく、上品な甘さが楽しめます。
今回、玉城町原地区で早生次郎柿を栽培する中野京子さんにお話を伺いました。
中野さんは玉城町生まれで、幼なじみのご主人と結婚以来、ずっと一緒に農業を営んでいます。
柿のほか、稲作を中心に野菜やみかんなどを作っているそう。
取材で伺った柿畑は、町内の産地直売所「ふるさと味工房アグリ(以下アグリ)」のすぐ近く。
広さは約1反半(約450坪)あり、樹齢50年ほどの柿の木が50〜60本ほど植えられています。
「古い木はなりが悪いけど、私は若い木より味はおいしい気がするわね」と中野さん。
脚立に乗り、ハサミを使って収穫していくのはご主人です。
柿の多くは立ったままでは手が届かない、ずいぶん高いところになっています。
「昔、このあたりはイノシシが出たのよ。
わーって走って来て、下の方の枝がみんな折られるから、
こうやって届かないように高く高く木を育てたの」。
早生次郎柿の収穫は10月中旬から11月末頃まで。
その年の収穫が終わると、葉が落ちた3月頃までに、枝の剪定を行います。
これは風通しと日当りをよくするために、枝を調整する作業です。
その後、畑全体の土をトラクターを使って丹念に起こし、有機系肥料を与えます。
「肥(こえ)をやっていい土を作ることが、おいしい柿を作るのに大事」とご主人。
それを聞いて改めて足下の土を確認すると、ふかふかとやわらかな感触です。
なるほど、手入れをした土だからこそおいしい柿が出来るんですね。
土作りを行った後は、4月〜9月にかけて消毒と摘果を行い、再び秋の収穫を迎えます。
畑で収穫した柿は、以前は露店販売でしたが、
現在そのほとんどをアグリに納品し委託販売しています。
町内にアグリという産直ができたことで、
作った柿や野菜をよりたくさんの人に買ってもらえるようになったといいます。
「アグリのおかげで、農家はみんながんばってますよ。特におばあさんたちが元気!
何種類も野菜つくって、楽しそうにアグリに持って行くの。
野菜の作り方も詳しいから、“その種は今蒔いたら、あこかし(上手くいかないよ)”って
私もよく教えてもらいます。やっぱりおばあさんは長い経験があるから、よう知ってるのよ(笑)」。
中野さんはアグリが行う農業体験「柿狩り」の講師も担当。
毎年10月頃、この柿畑に20人ほどの参加者が集まり、みんなで収穫体験を行います。
「参加してくれたお客さんから、“おばさん、来年も来るね!今度は友達連れて来るよ”
と言ってもらえると、やっていてよかったな〜とうれしくなるわね」。
生産農家の畑で教えてもらいながら、自分の手で収穫した柿はきっと格別なおいしさでしょう。
夕暮れが近づいた柿畑は風通しがよく、静かでのんびりした心持ちになります。
「気持ちのいいところでしょう?柿の一番の盛りは枝が赤くなってね、本当に美しいの。
春はウグイスが鳴いて、夏は蝉やヒグラシの声が聴こえてきて。
私はこの畑の景色が大好きなの」と中野さん。
来年は美しいその景色をぜひ見に来たい!と思いました。
柿は栄養豊富でビタミンCが多く、一個で一日の必要量をほぼまかなえるほど。風邪予防にもぴったりの果物なんです。実は今回、初めて次郎柿を食べました。なるほど、シャキシャキした歯ごたえがあり、甘くてとってもおいしい! 食感も楽しめる柿なんですね。次郎柿を食べたことのないという人は、ぜひ試してみてください。来年、中野さんの柿畑で行われる「柿狩り」に参加するのもおすすめですよ。
(梅田美穂)
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店舗名 |
ふるさと味工房アグリ ※早生次郎柿が購入できる施設。販売は、毎年10月中旬〜11月末頃 |
住所 | 三重県度会郡玉城町原4254−1 |
TEL/FAX | TEL:0596-58-8686 |
営業時間 |
9:30〜20:00 ※店内のレストラン「バーベキューハウス」は11:00〜21:00(20:00LO) |
定休日 | 水曜(祝日の場合は翌日)、12月31日、元旦 | ホームページ |
ふるさと味工房アグリ |
2012年11月22日現在の情報になります。