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【玉城町特集】“玉城町産”にとことんこだわった、元気な産地直売所「ふるさと味工房アグリ」
2012.12.25 更新

のどかな田園風景が広がる玉城町にある、人気の産直

玉城町の農畜産物を販売する「ふるさと味工房アグリ」。
すぐ隣は温泉施設「ふれあいの館・玉城弘法温泉」。

伊勢自動車道玉城ICを降り、車で約10分。
広々と続く畑の向こうに緑豊かな山を望む、自然豊かな三重県度会郡玉城町に
「ふるさと味工房アグリ(以下アグリ)」はあります。
温泉施設やマウンテンバイクコースなどを備えた、
町営の農業観光リゾート「アスピア玉城」の一角に平成9年オープン。
建物内には、玉城町産の農畜産物と加工品を扱う産地直売所「農産物とれたて市場」、
レストラン「バーベキューハウス」、米工房、パン工房、ハム・ソーセージ工房を併設。
毎日多くの利用客でにぎわっています。

取材班が訪れたのは平日の朝10時。
開店30分後でしたが、駐車場はすでに満車!
店内に足を踏み入れると、鮮やかな橙色をした旬の次郎柿やみかん、季節の葉野菜、
根菜、冷蔵ケースにずらりと並ぶ玉城豚精肉や、ハム・ソーセージ、
店内で焼く手作りパン、お弁当や加工食品…。
楽しそうに買い物をするお客さんの姿と、
売り場ににぎやかに並ぶ商品から活気が伝わってきます。

養豚農家たちの夢から生まれたアグリ

「“こんな辺鄙なところに産直作って、誰が来るんかいな?”と、最初は言われましたよ」。
そう話すのは、アグリを運営する(有)玉城アクトファーム社長の野口好久さん。
玉城アクトファームは玉城町養豚組合が中心となり設立した会社で、
地元の農家が会員として出資した資金をもとに運営を行っています。

「産直は、養豚農家さんたちの夢だったんですよ」と野口さん。
玉城町の養豚は飼育頭数1万2千頭と三重県内のトップクラスを誇り、
町の養豚組合が独自に配合した飼料で健康に育てられた「玉城豚」は、
そのおいしさで高い評価を得ています。
「自分たちが大切に育てたおいしい玉城町の豚を、スーパーなどの流通任せにせず、
自分たちの手で売って消費者にきちんと届けたいという養豚農家たちの願いと、
町の農業を何とか盛り上げたいという考えから、地域の農家を巻き込んでアグリはスタートしたんです」。

オープン以来今年で16年目。
現在利用客の7割は町外から、車で約1時間を集客圏とする、
伊勢エリアでも人気の高い産地直売所(以下産直)に成長しました。

午前中から多くの買い物客が訪れます。売り場には季節の野菜がぎっしり並び、にぎやか!

玉城アクトファーム代表の野口好久さん。自身も、町内で農業を営んでいます。

野菜も加工品も、とことん“玉城町産”であること

アグリのこだわりはずばり、“玉城町産”であること。
メーカーから仕入れたものや、町に関わりのない商品は一切扱いません。
売り場に並ぶ旬の野菜や果物はもちろん、町内の農家会員が自分の畑で収穫したもので、
毎朝夏場は6時頃から、冬場は7時頃から納品しており、毎日新鮮な野菜が揃います。
お弁当、漬け物、和菓子などの加工品にもすべて
玉城町産の材料を使用するなど、そのこだわりは徹底しています。
なかでも人気商品は、臭みが無くジューシーな玉城豚の精肉や、
自慢の玉城豚を100%使用し本場ドイツ式の製法で手作りするハムやソーセージ。
売り場の冷蔵ケースには30種類以上のハム・ソーセージ商品が並び、
これを目当てに訪れる利用客も多いそう。
また、地元伊勢地区で栽培する県産小麦「ニシノカオリ」や
町内産小麦「ユメシホウ」で作る手作りパンも評判です。
どちらも店内の工房で専門スタッフが毎日製造しており、
ガラス越しにその様子を見学することが可能。
ソーセージやパンの手作り体験教室もあり、家族連れに人気です(事前予約が必要)。

生産者それぞれの番号が記された陳列棚。
販売する農産物にはすべて生産者の氏名と番号が記されており、だれが作ったものか分かるシステム。

自慢のハム・ソーセージ類。保存料や着色料・増量剤を一切使用していないので安心。

店内で焼く手作りパンは、女性客を中心に大人気。米粉パンの製造販売も行っています。

産直とは、地域の農業を育てるもの

とことん玉城町産にこだわる理由について、野口さんはこう言います。
「うちは売るため、もうけるための産直じゃない。産直は、地域の農業を育てるためのもの。
アグリの使命は、町の農業が元気になるための事業を行うことです」。
産直間交流事業として、鳥羽の牡蠣など近隣の市町村の優れた農水産物を
「となりまちからうまいもん」として販売したり、
交流のある他県の産直商品を紹介するフェアも行っています。
取材時は岩手県遠野市のりんごを販売する「遠野りんごまつり」が始まっていました。

付属農場で、これまで町で作っていなかったレンコン栽培に成功。評判も上々です

「となりまちからうまいもん」として、二見浦の「岩戸の塩」を販売。

様々なイベントで、農業と人と町をつなぐ

アグリでは産直以外の取り組みにも力を入れており、そのひとつが農業体験です。
「アグリで体験!」として、春はイチゴ大福作りやタケノコ掘り、
夏はぶどう狩り、秋はサツマイモ狩りやハイキング、
冬は花餅作りやしめなわ作りと、季節に応じた半日体験教室を実施。

また、「里山の農業体験」は、種まきから収穫までの体験で、昔ながらの米作りや果物作りが体験できます。
これらの農業体験の講師は、アグリの会員農家が担当。
農家と一緒に農作業をしながら、農業の勉強や楽しさが体験できることから、
毎年参加するリピーターも増えています。
「最初農家さんたちは余分な仕事が増えるからと、
教えることにあまり気乗りしていなかったんだけどね。
でも、続けていくうちに自分でプリント資料や休憩の時のおやつを用意してくれたりと、
参加者との交流を楽しみに、積極的に協力してくれるようになったんですよ」。

毎月様々なイベント行事も行っており、
今はクリスマスのイルミネーションが夜のアグリを彩っています。
夏まつりや秋まつりといった大きなイベントには、
毎回近隣からも大勢の人が訪れ、とても盛り上がるそうです。

半日体験教室は約20種類とバラエティ豊か。そば打ち体験教室も毎月開催。ぜひチラシをチェック!

この時期は日没後、ライトアップが始まります。幻想的な景色が浮かび上がり、とてもきれいでした。

農業の明日を元気に

「うちは“もったいない産直”だと言ってるんですよ(笑)。
規格外で出荷できない野菜も本来はちゃんと食べられるものだし、
アグリでは販売できるから、これまで廃棄していた野菜を農家のじいちゃんばあちゃんたちが
“もったいない”って少しの量でも持ってくる。
自分で一生懸命作った野菜を誰かが買って食べてくれるとうれしいし、農業をやるやりがいになる。
“アグリができて、町の農家が元気になった”“アグリにはいいもの置いているね”という声を聞くと、
私達も本当にうれしい」と野口さん。

アグリを通じて、玉城町の農業を元気にしていきたい。
野口さんとアグリのスタッフ、町の農家の思いが一体となって、
これからも玉城町の農業を盛り上げていくことでしょう。

店内のレストラン「バーベキューハウス」では、玉城豚を使った豚肉料理が楽しめます。
人気のロースカツ定食と、冬期限定メニューのキムチ鍋定食を頂きました。
玉城豚のうまみが堪能できる、しゃぶしゃぶもおすすめだそう!

(左)「アグリ別館米工房」で、玉城町産のお米や加工品(餅やあられなど)、
お弁当、お惣菜、漬け物を販売。
(右)玉城豚を使った「アグリ焼き」と鉄板串焼。米工房隣の「たこ焼きハウス」で製造販売しています。
ジューシーな玉城豚のおいしさが味わえます!

編集員のココがオススメ!

「玉城町はりんごとバナナ以外、畑でとれるものは何でも作っているよ」と野口さん。なるほど、お米も野菜も豚肉も、あらゆるものが実る豊かな農業の町なんですね。広々とした畑、高い空、遠くの山々…目の前に広がる景色に「いいところだな〜」と、とてものんびりした気持ちになりました。アグリでお買い物をして、バーベキューハウスでおいしい豚肉料理を食べて、隣の温泉に入り、公園を散策。休日にドライブがてら、一日楽しく過ごせておすすめですよ。農業体験教室もどれも魅力的。私は来年の梨やぶどう作りの体験に挑戦してみたい!と思案中です!

(梅田美穂)

店舗情報

ホームページふるさと味工房アグリ

店舗名 ふるさと味工房アグリ
住所 三重県度会郡玉城町原4254−1
TEL/FAX TEL:0596-58-8686
営業時間 9:30〜20:00
※店内のレストラン「バーベキューハウス」は11:00〜21:00(20:00LO)
定休日 水曜(祝日の場合翌日)、12月31日、元旦

2012年11月22日現在の情報になります。

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