郡上市大和町にある蔵元「平野醸造合資会社」。
取り扱っている銘柄「母情」はとても有名で、郡上市内のさまざまな場所で販売されています。
「平野醸造合資会社」の創業者である平野吉兵衛氏の妻・じゅうさんが、
人を想いやる心の深い方だったそうで、
二代目として跡取りとなった子供が、そんな母の心と精神を酒造りに活かし、
継承してもらいたいという想いから「母情」という名前が付けられたのだそうです。
「平野醸造合資会社」のお酒には、郡上市大和町・古今伝授の里の山から湧出ている
「古今伝授の里の水」が使用されています。
軟水でどんな料理にも合い、お酒を造るのに最も適した水としても評価されているのだそう。
また水をもっとたくさんの人に楽しんでもらえるように、
「平野醸造合資会社」の入り口近くに山から水が引かれており、自由に汲めるようになっています。
水を飲んだ方から「体調が良くなった!」などという声も聞かれ、
北海道からリピーターとして水を汲みに来る方もいらっしゃるんだとか。
水はお酒造りにとって、とても重要な役割を果たしており、
仕込みにはもちろん、清酒造りに使用するお米、道具や容器を洗う時にも
「古今伝授の里の水」が使用されています。
お話の後、「是非飲んでみてください。」と、女将さんが用意してくれた水を早速頂きました。
柔らかく優しい口当たりでとても飲みやすく、お酒づくりの原点となる水がいかに大切かということを
実際に水を飲むことで、感じることができました。
まず最新に、貯蔵倉に案内して頂きました。
「平野醸造合資会社」の蔵が作られたのは150年前。
木や、「タタキ」と呼ばれる土床が使われた建物は、熱処理をしたお酒を保存するのに向いており、
適度な湿度や温度を保ってくれます。
なお、吟醸酒・生酒等は、温度の低い別の倉で保管されます。
次に仕込蔵へ。
「ここは仕込みの時期には絶対に入ることができない場所。
まずはじめにお酒づくりの元となる酒母を作るんですが、
この酒母は蔵人の子供のようなもので、常に温度管理をすることが大切なんですね。
蔵人は仕込みの時期になるとゆっくり睡眠することができない程。
それほど重要な工程なんですよ。」
その次に移動したのは、麹を作る部屋・麹室(こうじむろ)。
取材に訪れた7月は仕込みはお休みの時期なので、
実際に麹を作っている場面には残念ながら遭遇できませんでした。
仕込みをする時は麹室の温度が35℃まで上がるのだそうです。
麹師は夜中でもよき麹を作る温度管理の技術が必要とされています。
「出来上がった麹は、逆に温度の低い出麹室にあるスノコの上に麻布を敷き、
その布の上に麹を拡げ、麹の温度を下げます。
そして、余分な水分を蒸発させます。(枯しと言います。)
麹室から出麹室の温度差がある環境での作業は、蔵人にとっては最も大変なんですよ。」と女将さん。
先代の意思や技術へのこだわりを忘れることなく、次の世代へと受け継いでいく強い想いは、
「平野醸造合資会社」の人たち、
そして現代の「母情」とも言える女将さんの心にしっかりと託されています。
多くの人の心にその想いが、これからもどんどん染み渡っていって欲しいですね。
平野醸造の女将さんはとにかく明るくて元気!お酒は本当にたくさんの種類がありますので、自分にぴったりの逸品を見つけたい時には是非、お酒の歴史と共に、おすすめのお酒について女将さんに訪ねてみてください。丁寧に教えてくれますよ。「古今伝授の里の水」も一緒に味わってみてはいかがでしょうか?澄んだ水の美味しさにきっと癒されるはずです。
(神戸夕香)
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会社名 | 平野醸造合資会社 |
住所 | 岐阜県郡上市大和町徳永164 |
TEL/FAX |
TEL:0575-88-2006 FAX:0575-88-2051 |
URL | bojo.jp |
2011年7月14日現在の情報になります。