地方を訪ねると、○○旅館組合や○○民宿組合を見かけますが、
ここ郡上市明宝の場合はカタカナで「ビスターリ・マーム」。
最近の郡上取材では、民宿しもださんと自然食泊愛里さんのお世話になっていることもあり、
ビスターリ・マームの活動へお邪魔したいと思っていました。
その願い叶って、民宿見付屋さんでの会合を見学させてもらいます。
当日の会合は10時に始まるとのことで、ビスターリ・マーム代表を兼ねる愛里の女将、
石田賀代子さんと会合場所へ向かいます。
会合場所は、メンバーの旅館・民宿で順に受け持つそうです。
テーマは、明宝の寒水地区で9月8〜9日に行われる寒水の掛踊(かのみずのかけおどり)で振る舞う、
地産地消御膳の試作1回目。女将さんそれぞれが持ち寄る品々を元に、
居間で地産地消御膳の内容について相談が始まりました。
聞こえてくる会話はと言うと、甘さはちょうど良いか、バターかマーガリンか、
季節感を出すために冬のイメージが強い味噌は避けるべきか、
アマゴと鶏肉のどちらをメインにするか等々。
始まりから1時間ほど経ち、厨房へ移って調理開始。
誰かが「ミョウガ欲しいな〜」と言えば、
勝手口から出た見付屋の女将さんはミョウガをひと束、目の前の畑で採ってきてくれました。
他にもリクエストが挙がる度に、畑のあちこちで収穫すること5〜6往復。
気付けば美味しそうな香りが漂ってきましたよ。
チャイムが正午を告げた後、今回の料理が全て居間のテーブルに並びました。
その品数の多さに驚く私たち。
中には珍しい黒豆ご飯、かさね葉えごま和え、切り干し大根揚げ、じんだ汁(大豆を挽いたもの)、
ずいき(サトイモ科の葉柄)白和えなどは、尋ねないと分かりません。
そしてこのまま試食に加わり、昼食としてすっかりご馳走になってしまいます。
会合の始めから出席できなかったしもだの女将、下田葉子さんも試食中に間に合いました。
ビスターリはネパール語でのんびり、ゆっくりを意味するものの、
当の皆さんはそれぞれ宿以外に仕事をいくつも抱えているため、とても忙しい人たちです。
試食をしながら郡上八幡・山と川の学校の代表、三島真さんとの打合せは、
スケジュール調整で難航している様子。
でも、止み間なく意見を出し合う女将さんの姿は、
全員が少しでも良い方向へ持っていくことで一致しており、
この明るさが明宝の来訪者を元気づける源なのでしょう。
ビスターリ・マームのお仕事は、取材場面のレシピ共同開発以外に、都会で住む子供たちの田舎暮らし受け入れ、野草観察や山菜採り、ケチャップ作りにそば打ちなどの体験メニュー提供・・・と、女将さん同士が連携する活動の場は明宝全体に及びます。立ち上げは2000年、「周りから変わった人たちに見られた」と当時を振り返る石田さんですが、今は明宝を盛り上げるため先頭に立つ、頼もしい女将の会です。
(小穴久仁)
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URL岐阜県郡上市明宝の旅館・民宿の女将 明宝ビスターリマームE-mailvistari@dolphin.ocn.ne.jp
住所 | 岐阜県郡上市明宝畑佐1008(自然食泊 愛里内) |
TEL/FAX | TEL:0575-87-2400 FAX:0575-87-2152 |
2011年7月6日現在の情報になります。