日本で専業養蜂家が蜂蜜の収量を高めるために温暖地から寒冷地へ、季節の花を求めて移動するスタイルが始まったのは大正時代初期のことです。一宮市、真清田に住む伴さん。養蜂歴60年を超す伴さんも、かつては11tトラック満タンに蜂と養蜂箱を乗せて、レンゲ、アカシア等の開花前線と共に九州から北海道まで年中旅をする『移動養蜂家』でした。
彼が旅暮らしをやめ、毎日妻子の顔を見ながら生活できるようになったのは、昭和46年に一宮市の木のシンボルとなった『クロガネモチ』が数多く植樹され、市内でも良質な蜂蜜が採れるようになったおかげだと言います。「それまではホントに、女房には苦労をかけたで」と言う伴さんは、今年も夫婦そろって蜂蜜採集の仕事に精を出しています。(※近年市町村合併に伴って、一宮のシンボル木はクロガネモチからハナミズキに変更されました)
「季節の変遷とともに蜂たちを率いて『花』の咲く場所を追い求め続ける移動養蜂家の暮らしは、近代的な遊牧民のようで羨ましいです」と伴さんに伝えたら、「自然が相手だから、雨の日が3日も続く時なんか仕事ができんで辛いよ」という答えが返ってきました。
30年前、一宮市内には20軒以上の養蜂家が活動していましたが、今日まで残るのはわずか2軒のみとなってしまいました。スペイン等では近年、利用許可が下りたある種の農薬のせいでミツバチが減少し、養蜂家たちが大きなダメージを受けているとも聞きます。これからも、四季を通してたくさんの花が咲き、蜂が美味しい蜜をたくさん集めることのできる日本であり続けて欲しいものです。
蜂蜜を採集するために利用する木製の人工巣箱
クロガネモチの木から採れた伴さんの蜂蜜『福来蜜』はクセが少なくサラリとして食べやすいです。「みそ汁に蜂蜜を入れるなんてうちの旦那だけよ」と笑う伴さんの奥さんは、煮物の隠し味や、ラッキョウや梅を漬けるのにも蜂蜜を活用します。夫婦2人で1年間に収穫できる蜂蜜の量は限られているため、ご希望の方は伴さんのご自宅に直接おうかがいしてお買い求め下さい。健康に良いローヤルゼリーやプロポリスも販売しています。
(服部 麻子)
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住所 | 〒491-0043 愛知県一宮市真清田2丁目5-37 |
アクセス | 県道190号(岐阜街道)音羽2丁目交差点を東へ、次の交差点を越えてスグ |
TEL | 0586-73-6541 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 無し |
2009年12月21日現在の情報になります。