抹茶の産地として全国でも有名な愛知県西尾市。
中心街から郊外へ向かうと、茶畑が一面に広がる光景に出くわして、思わず目を奪われます。
温暖な気候と肥えた土壌、近くを流れる矢作川の豊富な水にめぐまれていることから、
抹茶の原料茶葉となる、てん茶の栽培に適しており、
日本を代表するてん茶の二大産地のうちの一つとなっています。
大正初期にこの地で茶園を開き、現在は抹茶の製造、販売を行っている葵製茶。
抹茶の生産能力は全国でもトップクラスで、長年にわたって培ってきた技術と行き届いた環境のなかで、
おいしい抹茶づくりに日々取り組んでいます。
同社の商品を販売している本店では、地元でつくられた茶はもちろん、
抹茶を使ったユニークな商品もたくさん並んでいて、買い求めることができます。
同社が扱う商品のなかでも、最近人気なのが抹茶を使ったデザートやお菓子です。
本店では、抹茶のロールケーキ、クランチチョコ、ブッセをはじめ、アイスやせんべい、
ソフトキャンディーなど、さまざまな商品が販売されていて、売れ行きも好調だそうです。
「最近はクランチチョコやキャンディー、アイスなど、若い方の関心が高いですね」と話すのは、
店長の中根伊志恵さん。なかでも、春から夏まで販売する「抹茶ロールケーキ」は
あまりの注文の多さに生産が追いつかないほど。
秋から冬まで販売するパウンドケーキも根強い人気があるそうです。
生地とクリームの両方に抹茶を使用した「抹茶ロールケーキ」。
フワフワな生地を一口食べると、抹茶のほのかな香りが広がります。
濃厚でありながらもしつこくないクリームの甘みが、生地ともほどよくあって、
二切れ、三切れとあっという間に食べてしまいます。
中根さんによると、抹茶はデリケートな食材のため、
他の食品とコラボレーションするのが難しい食材なのだそうですが、
プリンやゼリーなど、新たな商品開発への意欲を語ってくれました。
てん茶の栽培、茶摘みから、店頭に並ぶ抹茶ができるまでには、
たくさんの工程があって、多くの手間を必要とします。
茶葉はとてもデリケートなことから、加工における温度や湿度の管理も、
味や品質を一定に保つうえでとても重要なのです。
同社の工場も見せてもらいました。
工場内には500台もの石臼があって、てん茶をひく作業場面には圧倒されました。
この細かく石臼挽きされたものが抹茶となるのです。
工場では、目立師という専門の職人が常に石臼を手入れして、茶のまろやかさや香り、
渋みの絶妙なバランスをつくりだしているのだそうです。
自然の恵みを受けて畑で栽培される茶は、その年の天候によって味が変わります。
また、同じ西尾にあっても、畑の場所によって味には微妙な違いがうまれるそうです。
「味を一定に保つのはとても大変なことなのです」。
毎年、良質な抹茶を安定してつくり続けることの難しさを、
企画営業部の水野大介さんが教えてくれました。
「おいしい本物のお茶の味をみなさんに知ってほしいですね」。
最後に話してくれた、中根さんの言葉がとても印象に残りました。
上品な甘みと香り、風味が楽しめる西尾産の抹茶のデザート。
抹茶でいっぷくしながら、味わってみてはいかがでしょう。
商品は、本社にある本店のほか、額田郡幸田町にあるJAあいち三河Aコープ幸田店でも販売しています。
また電話やFAX、HPからも注文を受け付けています。
いまブームになっている抹茶を使ったデザート。和菓子だけでなく、洋菓子との相性も抜群で、ロールケーキは特にオススメです。同社では、平日(月~土曜。9:00~16:00)に工場見学も受け付けています(事前の予約が必要)。茶の一大産地である西尾に足を運んで、抹茶を味わうと同時に、茶についての知識を深めてみてはどうでしょうか。
(新美貴資)
|
住所 | 愛知県西尾市上町上屋敷7番地 |
アクセス |
名鉄西尾駅より車で約5分。東名高速道路「岡崎IC」より約40分。 知多半島道路「阿久比インター」より約30分。 |
TEL/FAX | TEL:0563-57-2570 |
営業時間 | 8:30~17:30 |
定休日 | 第4日曜 |
駐車場 | あり |
URL | 葵製茶 |
2010年4月17日現在の情報になります。