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自然豊かな五ヶ所湾が育む
最高級の「あおさ」
2014.07.23 更新

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海苔の佃煮の原料にも使われているあおさ。青のり、ヒトエグサ、アーサーとも呼ばれる海藻です。
三重県のあおさ生産量は全国一。松坂、伊勢、志摩、五ヶ所などの湾岸で養殖されており、なかでも南伊勢町産のあおさは、その品質のよさで知られています。

最高級のあおさが採れる五ヶ所湾

南伊勢町五ヶ所湾の別名は「楓江湾(ふうこうわん)」。その名の通り楓の葉のように入り組んだ美しいリアス式海岸が続く自然豊かな地域で、伊勢の奥座敷とも呼ばれています。
古くから漁業が盛んな町でもあり、漁獲量は三重県一。クロマグロ、鯛、牡蠣、真珠の養殖も盛んです。五ヶ所湾に注ぐ伊勢路川、泉川などの川が山からの栄養分を運ぶため豊かな漁場となり、養殖にも適しているのだそう。

あおさのシーズンは12月の終わりから3月頃にかけて。収穫時期になると海に浮かべた養殖網からあおさを採集し、丁寧に水洗いと脱水を行った後、乾燥させます。
五ヶ所湾産のあおさは色が鮮やかで磯の香り豊か。最高級のあおさとして取引されています。

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水揚げ時期には青緑色の養殖網が一面に広がる風景が見られます(写真提供 : 南伊勢町商工会 ※記事トップ写真も)

ふるさとへの思いから生まれた「あおさ焼酎」

このあおさを使った焼酎があると聞き、販売元である有限会社マサヤ代表の田岡正廣さんにお話を伺いました。田岡さんはお父さんの代から南伊勢町で酒屋を営んでおり、町の有志らと長年、まちおこしの活動に取り組んでいます。

あおさから焼酎を作ろうと思ったきっかけをお聞きしました。
「近年、南伊勢町でも高齢化が進み、人口も減少していてまちに元気がなくなっています。そこで南伊勢町の特産である海産物を使って、何かまちおこしにつながるものを作りたいと考えたんです」。

田岡さんは以前にも、地域の仲間たちと結成した「南伊勢の地酒を作る会」で純米酒を商品化しました。その経験を踏まえ、南伊勢町商工会とも協力して焼酎作りにチャレンジすることに。

「実は南伊勢町ではひじきも多く採れるのですが、三重はあおさの生産量が全国一ですし、なかでも五ヶ所湾産のものは品質がよく香りがとてもいいので、その魅力を伝えたいと考えたんです」と田岡さん。

あおさを使った焼酎は珍しく、商品化は国内初の試み。そのため開発には苦労も多かったといいます。
まずは津市にある三重県の工業研究所や三重大学に協力を依頼し、要となるあおさのエキス抽出に挑戦。高温だと香りが飛んでしまうので、低温でじっくり風味を残すよう蒸留方法を工夫したそう。ベースとなる米焼酎への配合割合も難しく、何度も試作を重ねていきました。

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水産業、養鶏業、農業など南伊勢町で商売を営む人たちが集まり結成した「南伊勢の地酒を作る会」。商品の方向性やコンセプトなど、開発会議を何度も重ねてみんなで決めていきました(写真提供 : 南伊勢町商工会)

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「あおさ焼酎 この空 この海 このあおさ」720mlボトル1,300円(希望小売価格)。三重外湾漁協から仕入れる、最高級の一番摘みのあおさを使用。商品名は全国からの公募で決定。パッケージデザインは地元の高校が協力しています

田岡さんらが一番こだわったのは、あおさの香りを生かしつつ、まろやかでバランスのいい味わいであること。「酒好きの自分たちが飽きずに長く飲めるものを目指しました」と笑いながら、開発当時のことを振り返ります。
構想から約3年後の平成20年11月、「あおさ焼酎 この空 この海 このあおさ」として発売開始。そして現在、あおさの風味が味わえるオリジナル焼酎として、また南伊勢町のお土産として親しまれる人気商品へと成長しました。

「『住んでいるまち、生まれ育ったまちを何とかしたい』というみんなの思いがあったからこそ作れた商品だと思います」と田岡さん。
その言葉通り、ふるさとへの思いが詰まったあおさ焼酎。南伊勢の豊かな海の幸と一緒に頂くと、また格別な美味しさになること間違いなしです。

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マサヤの田岡さん(右)と南伊勢商工会の堀田稔朗さん(左)。「南伊勢町は魚が本当においしいところです。ぜひ訪れて海の幸と自然を堪能してください」と堀田さん

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あおさ焼酎を口に含むとふわっと磯の香りが漂います。「海の幸によく合う」とお酒好きに好評です

2014年6月6日取材時の情報です
ライター : 梅田美穂

お問い合わせ
施設名 有限会社マサヤ
住所 三重県度会郡南伊勢町宿浦1114−10
TEL 0599-69-3111
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