中山道木曽路十一宿の一つ、須原宿のあったJR中央線須原駅を出て右に目を向けると、
小さなタバコ屋さんの店先には”須原名物 桜の花漬 大和屋”の看板が。
慶事の席でも出される桜の花漬を扱う大和屋の7代目、北川ふみ子さんを訪ねました。
「どうぞ飲んでみて下さい」と、桜の花漬を浮かべたお湯が出されました。
桜のとても良い香りがします。飲んでみると、桜の香りに薄い塩味が混ざり合い、
ほっと落ち着いた心持ちになります。
出された湯飲みをよく見比べると、桜の花の色は2種類あるようですが・・・
「白に近いピンクと濃いピンクがあって、白いのが花びらの少ない八重桜、
ピンクは花びらの多い八重桜です。着色料、防腐剤は使っていません、自然の色です」。
商品の箱を裏返すと、原材料は桜と塩のみ!
かつて、桜の花漬を商う店は5〜6件あったそうですが、今ではここ大和屋だけとなりました。
桜の花漬の起源を伺うと、昭和25年にこの店は火事に遭い、
過去の資料・記録が失われ、よく分からないとのこと。
重労働である花摘みは、兄弟親戚の男手にお願いしており、昨年は4月18日に行いました。
散ってしまった花は漬けられないため、花摘みは「年に一度きりのチャンス」と北川さん。
雨の多い今年は花摘みのタイミングを計ることが難しく、心配だそうです。
ちなみに昨年は、足場を組んでおいた桜の木で明日採るぞと準備をしていた矢先、
サルに花を盗られる被害を受けました。しかたなくはしごを掛けて、
細い枝の先に残った花を摘んだものの作業効率が悪く・・・今年も苦労しそうだとか。
摘んだ桜の花は塩に漬け、温度が一定な半地下で貯蔵します。
花の量が確保できず困った年もあるそうですが、前年から残った分は処分し、
毎年新しく「その年のもの」を漬けると北川さんは話されます。
桜の花漬だけでは生計を立てられないと語り、後継者のことを心配する北川さん。同時に桜の若木を植えて、花漬が後世へ伝えられる環境作りをされているそうです。北川さんの、桜も人も大切にする優しさがうかがえました。さて、桜の花漬はお湯や焼酎に入れて飲む人が多いですが、他に北川さんは、炊き上がったご飯に刻んで混ぜ込んだり、ゼリーに入れてみたそうです。DoChubu事務局では、名古屋調理師専門学校の向山先生による「桜の花漬レシピ」を公開しておりますので、是非ご覧下さい。(地産地消レシピ「「桜の花漬け」) 後日お電話で伺ったところ、今年は4月22日に花摘みをしましたが、サルの被害はなかったものの、雨の降る中での作業だったとのことでした。 (小穴久仁・倉田和己)
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住所 | 大桑村須原565 |
TEL/FAX | TEL:0264-55-2918 FAX:0264-55-2918 |
営業時間 | 7:00〜19:00 |
定休日 | 不定休 |
2010年4月14日現在の情報になります。