名古屋市の南、伊勢湾に突き出すように知多半島があります。半島は南北に長く、中央は緩やかな丘陵地になっており、温暖な気候を活かし、野菜や果樹などの農産物や花の栽培が盛んです。知多半島の南部に位置する美浜町は地域を代表するみかん産地で、ハウスみかんは全かんきつ類の出荷量の半分ほどを占めています。
今回は、夏に出荷の最盛期を迎えたハウスみかんの取材で「あいち知多かんきつ出荷組合」を訪れました。
知多半島では江戸時代から露地みかんの栽培が行われていました。ハウスみかんの栽培は、今から40年ほど前に美浜町で始まり、昭和53年には生産者5名でハウスみかん部会が結成され本格的に取り組んできました。
ハウスみかんは、冬から春までビニールハウス内を暖房で暖めて育てるため、露地栽培のみかんより早く成熟させ、出荷することができます。また、雨や風が当たらないため、果皮がやわらかく、傷も少ないと言います。
現在、美浜町で栽培されるハウスみかんには、「みはまっこ」と「さわみっこ」の2つのブランドがあります。みはまっこを栽培する農家は15軒、栽培面積は3.3ヘクタールです。さわみっこは平成21年から栽培が始まり、栽培面積は、4.0ヘクタールで15軒の農家が栽培していますが、そのうち9軒の農家は、みはまっこの栽培も手掛けています。
「みはまっこ」と「さわみっこ」は、どちらも品種は温州みかんですが、味と見た目が異なります。
みはまっこは、果皮の色の紅みが濃く、糖度が12度以上と高く、内側の皮(じょうのう)がうすいので、とろけるような食感が特徴のみかんです。
収穫量より品質を重視しているため、高い評価を受けており、平成13年には日本農業賞優秀賞を受賞しました。贈答用としても人気があると言います。
出荷時期は例年6月初旬から9月中下旬までで、平成27年は約164トンが出荷されました。
さわみっこは、果皮にやや青みがあり、適度な甘酸っぱさがあり、糖と酸のバランスがとれたみかんです。みはまっこより約1ケ月遅い7月上旬から出荷が始まり、9月中下旬まで続きます。平成27年は約220トンが出荷されました。
みかんの選別と出荷を行う「美浜みかん共選場集荷場」では、朝早くから出荷作業が行われます。
次から次へと流れてくるみかんは、人の手によって傷の有無などが確認され、サイズごとにみかんをふりわける選果機へ送られます。その後、サイズ別にセットされた箱の中に、自動でみかんが入っていきます。数人のスタッフがてきぱきと箱をセットしながら、みかんの状態を見極め、箱詰め作業を行っています。ベルトコンベアーで送られてきたみかんの箱の中をさらに別の人が確認し、ようやく梱包されます。こうして、幾度もみかんの状態を確認しながら出荷することで、高い品質を維持しています。主に東京や名古屋へ出荷されるほか、通信販売も行っています。
2016年7月27日取材時の情報です。
ライター:田中マリ子
施設名 | あいち知多かんきつ出荷組合 |
住所 | 愛知県知多郡美浜町北方字阿嶽100-1 |
TEL | 0569-82-0554 |
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