長良川をテーマとする「長良川おんぱく」というイベントが今、注目を集めています。
岐阜の文化や歴史、自然、食、暮らしにまつわるさまざまな体験プログラムが、長良川流域の市町村で行われるもの。
レトロな着物姿の女の子が表紙を飾る素敵なパンフレットを眺めていると、「これ、参加したい!」と思うものがいくつも見つかります。
今年の開催は、10月11日から。多くの人が楽しみに待つ「長良川おんぱく」の魅力を探ります。
「長良川おんぱく(以下、おんぱく)」が始まったのは2011年のこと。
正式名称は「長良川温泉泊覧会」。この秋、4回目の開催を迎えます。
これまでに行われたプログラムの一部を紹介すると、「川漁師のカニ漁見学と特別懐石を味わう」「郡上のヒノキで下駄作り」「舞妓さんと長良川舟遊び」「老舗和菓子屋の若旦那と銘菓を作る」…どれもとても楽しそう!
昨年のおんぱくでは130ものプログラムが行われ、約8000人が体験しました。
おんぱくではプログラムを提供する人を、「パートナー」と呼んでいます。
参加者の職業は、飲食店や販売店の店主、農家、漁師、僧侶、学生、町づくり団体、クリエイター、学校の先生など。年齢もさまざまです。
参加資格は「長良川流域で活動しており、地域を盛り上げたいという気持ちがあること」。
長良川というテーマのもと、一緒にまち歩きをしたり、ものづくりをしたり、歴史や文化を伝えたり。
このまちに住む普通の人たちが、自分の得意なことを提供するのがおんぱくスタイル。パートナーである、まちの人が主役です。
「遠くから岐阜に来た友達を案内するとしたら?」「どんな風にもてなそうか?」。
プログラムはどれもそんな想いから生まれており、ここでしか体験できないものばかり。
その魅力から毎回大勢の参加者を集める、注目の地域活性化イベントへと成長しました。
今では予約開始と同時に満席になるプログラムも多数です。
おんぱくを手がける、プロデューサーの蒲勇介さんにお話を伺いました。
蒲さんは、岐阜市で地域支援活動を行うNPO団体「ORGAN(オルガン)」の理事長でもあり、岐阜のまちづくりを語るときに外せないキーパーソン。
岐阜県郡上市に生まれ、現在は岐阜町とよばれる歴史あるエリアに拠点を置いて活動しています。
まちづくりに長年取り組みながら、蒲さんは「岐阜のアイデンティティとは何か?」ということをずっと考え続けてきました。
「岐阜の人はよく、“岐阜なんて何もない”って言うけれど、気付いていないだけ。
住んでいる人にとって当たり前にあるものでも、よそから来た人が見たら宝物になるものがある。
そんな地域に眠っている資源を、岐阜の人が自ら再発見できれば、岐阜というまちを誇れるようになると思うんです」
さらに「岐阜が誇るべきものは、長良川にある」といいます。
「長良川はかつて上流の郡上や美濃から木材や紙を運ぶ水運としても利用されてきました。
今なお美しい町並みを残す川原町エリアは水運業でにぎわい、岐阜の経済と文化の中心地として栄えた湊町。そんな川原町界隈をはじめ岐阜のまちには、長良川によって育まれた文化、歴史、暮らしの営みが“地域の宝”としてあちこちに存在しています。
パートナーが提供するプログラムは、その“宝”を掘り起こしたもの。
おんぱくは、地域資源の集積、カタログ化だと考えています」
長良川が育んだ地域資源を再発見し、発信、共有することで人とまち、人と人がつながっていく。
それが岐阜のまちと暮らしを、豊かで楽しいものにしていく。
おんぱくの取り組みは、新しい価値をこのまちに与えていくように思えます。
2014年4月24日、5月16日取材時の情報になります。
ライター : 梅田美穂
施設名 | 長良川おんぱく事務局 |
住所 | 岐阜市長良 |
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