山々に囲まれた自然豊かな長野県伊那市。
森林資源が豊かなこの地で、地域に根ざした活動を推進するのが、
地元の木を使い木質ペレットを製造する「上伊那森林組合」です。
今回はバイオマス・エネルギー室長の寺澤茂通さんにお話を伺うと共に、
「上伊那森林組合」の木質ペレット「ピュア1号」の製造工程の現場を案内していただきました。
「上伊那森林組合」の「ピュア1号」の製造にはバイオマスエネルギーが利用されています。
バイオマスエネルギーとは「生物資源」のこと。
石油などの化石燃料とは違い、木材などの森林バイオマスは自然のサイクルの中で
エネルギー源が循環する、環境を汚染することのないクリーンエネルギーです。
石油などの化石燃料は、無尽蔵にあるわけではなくあと40年しかもたないと言われており、
代替できるものとして現在木質ペレットが注目されています。
「「ピュア1号」には地元の間伐材を使用しています。
間伐材のみを使って製造を行っているのは「上伊那森林組合」だけ。
建築廃材等は一切使っていないので、絶対に安全・安心なものが出来上がります。」
木質ペレットは大きく分けて3種類に区分されており、
木の木質部だけで作る木部ペレットを”ホワイトペレット”、
樹皮だけで作るものを、樹皮ペレット”バークペレット”と言うのに対し、
「上伊那森林組合」で製造している「ピュア1号」は、樹皮付丸太を使用した”全木ペレット”。
原材料にはからまつ・あかまつの間伐材を使用しており、
からまつ:あかまつ=7:3の割合で混合し、作られているのだそうです。
また「上伊那森林組合」では完成した「ピュア1号」を
いつでも安心して使ってもらうことができるよう、
常時、工場生産量の1〜2ヶ月分の備蓄を行なっています。
まずは丸太から原材料になるオガコを作り、
その後混合したオガコに含まれた水分を飛ばすため、熱風炉で熱源を作って乾燥させます。
その後、成型機で成型されペレットの形へと変化。
木の成分であるリグニンが熱によって溶けて固まるため、
接着剤を使わずに艶のある耐久性の高い上質なペレットを作ることが出来るのだそうです。
熱を持ったペレットは冷却され、成型途上でできた粉状のもの、短いもの、長いものを取り除き、
(これらは前記の熱風炉の熱源となります。)
そして最終的に綺麗に分類されたペレットが袋詰めされて完成です。
木質ペレットを燃料とする「ペレットストーブ」を実際に見せていただきました。
重厚感あるものから、ビビットなカラーリングのものなどデザインもさまざま。
ストーブの中でゆらゆらと火が燃える様子を見ながら、
ゆっくりと暖を取ることができるのがペレットストーブならではの魅力です。
「ピュア1号」は現在、地元上伊那地区を中心に、
小学校、幼稚園、市役所、一般家庭、また観光いちご園などで
ペレットストーブやペレットボイラーに使用されているのだそうです。
寺澤さんは、地元の小中学校に一台ずつ
ペレットストーブを入れてもらうようにお願いしたのだそう。
「今は石油ストーブで、スイッチひとつで簡単に部屋が温かくなる便利な時代。
学校にペレットストーブを入れて自分たちで使用することで、
子供たち次の世代にも木に親しんでもらい、
ペレットを使って暖がとれるということも知ってもらいたかったんです。」
木質ペレットは、運送にもコストが掛かってしまうため、
地元で消費することでコストを抑えることができます。
「まっすぐな木しか売れなかった間伐材が、ペレットの原材料として有効に活用できることで、
山に放置されることがなく山を綺麗することができます。
伐採された木がそのまま放置されていると、大雨等で一緒に流されることにより
下流域で大きな被害をもたらすことがあります。土石流被害の防止にもつながりますね。」
二酸化炭素を吸って大きくなった木が木質ペレットとなり、
暖がとれ、灰は肥料となって土へ帰り、また循環する。
自然のままに循環する資源を自然の恵みを受け暮らす私達は、
もっと活用していくべきではないでしょうか。
エアコンや石油ストーブなどで手軽に部屋を温かくすることに慣れてしまった世代である私にとって、今回の取材では自然の力や森林資源の大切さを強く感じることができました。ペレットストーブで温かくなった部屋にはエアコンと違い柔らかな空気が流れており、ゆったりと穏やかな時間を過ごしたい方にもおすすめです。循環する自然の流れに逆らわず、流れに沿って暮らす、生物にとってあたりまえだった暮らしを木質ペレットは教えてくれているような気がしました。
(神戸夕香)
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会社名 | 上伊那森林組合 |
住所 | 〒399-4432 長野県伊那市東春近1604-1(本所) |
TEL/FAX | TEL:0265-72-3232 FAX:0265-76-9291 |
URL | 信州の木・建築製品加工販売の上伊那森林組合 |
2010年8月24日現在の情報になります。