うまいそばといえば、ひきたて、打ちたて、ゆでたての「三たて」。これをこだわりのだしで味わえるのが「Soba Café 日本の暮らし」です。
店内の電動石臼でひいたそば粉を手打ちし、厳選素材で丁寧に取っただしで提供しています。風味豊かな手打ちそばをカフェの気軽さで楽しめるのがここの魅力。店主の内藤裕子さんにおいしさの秘密を聞きました。
名古屋市千種区の住宅街に佇む「Soba Café 日本の暮らし」。友人宅に遊びに来たようなアットホームな雰囲気のなか、出来たての二八そばを味わえる、おうちカフェです。
原料のそばの実は、季節や収穫状況に合わせたもの。夏採れの秋田県産新そばの次に北海道産を経て本州の産地のものが入荷します。
そばの実のうち2割ほどは、収穫されたままの殻を被った玄そばです。
「殻にはえぐみがありますが、丸ごと実をひくことで甘みが増すんですよ」と内藤さん。
そばの実は石臼びき。粉は粗めにすることで香りと味が高まり、風味豊かなそばになります。ひいた粉をふるいにかけたらそば打ちのスタートです。
まずはそば粉と小麦粉をよく混ぜ、水を少しずつ加えていきます。かたまりができないよう粉をこすり合わせるようにしてなじませます。
「そば粉はつながりにくい性質ですが、唯一、熱でつながります。はじめに小さな摩擦を起こして少しずつつなげておき、最終的に一つにまとめるようなイメージで打っています。つなぎの中力粉のグルテンは利用しますが、最小限にとどめ、あまり練らない方法を採っています」。
これは、そば粉の特性からイメージした内藤さん独自の打ち方。女性の体格や力を考慮して導き出しました。
「体が小さくてもできる方法はある、とそば打ちの師匠から教えられました。大切なのは力ではなく、技術なんですよ」。
生地に打ち粉を振りながら、のし棒で延ばします。小さな丸い生地が、みるみる大きな四角に。たたんで切り、一人分ずつ分けておきます。
打ち始めてからわずか30分あまり。熟練の早業です。
「毎日、気温も湿度もそばの実の状態も異なります。だから日々新しく、自分との戦いです。もはや禅修行のようですね」。
内藤さんが最も大切にしているのが、体によいこと。添加物を使わず、昔ながらの製法で作られた調味料や、無農薬・有機栽培の食材を中心に選んでいます。特にこだわりの調味料が「しろたまり」(商品名:足助仕込三河しろたまり)です。料理人御用達の白醤油のなかでも、添加物不使用で、素材の彩りを生かす透き通った琥珀色が特徴。内藤さんは製造元の日東醸造を見学し、原材料や製法をはじめ作り手の思いを聞き、「Soba Café 日本の暮らし」のコンセプトと重なり合うとしろたまりを取り入れました。
ここではだしのベースとなるのは昆布と鰹。つゆのもとに一般的には醤油を使うところ、しろたまりを加えます。その特有の澄んだ色合いが、とりわけ女性に好評です。鴨そばの鴨の味付けにも使用するほか、白だしを使ったメニューもあります。
「しろたまりをそば屋でここまで贅沢に使うお店は他にないと聞きました。材料費は高価になりますが、色合いや味わいが際立ちます。実際、だしまで飲み干されるお客様も多いんですよ」。
深いうまみとやさしい甘みのだしに、香り高いそば。箸が進まないはずはありません。
「食べ物が体に与える影響は大きいもの。だからこそ安心して食べられ、なおかつ味わいある料理を作り続けたいですね」。
ゆったりとくつろぎながら格別の一杯を楽しんでみては。
施設名 | Soba Café 日本の暮らし |
住所 | 愛知県名古屋市千種区観月町2-30-2 |
TEL | 052-439-6893 |
営業時間 | 11:00〜18:00 |
定休日 | 月曜日、火曜日 |