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規格外瓦をリサイクルして
有効利用を促進
2015.10.30 更新

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瓦は生産工程で、どうしてもねじれや切れ(ヒビの様なもの)が入り、規格外瓦が出てしまいます。かつては処分場に埋めていたそうですが、30年ほど前からリサイクルの道を探り、再生利用しています。
今回は規格外瓦リサイクルの現状について、愛知県陶器瓦工業組合の技術・環境担当である野村道生さんにお話を伺いました。

いち早くリサイクルへ取り組む

瓦メーカー各社の品質規格が厳しくなったことも関係して、生産工程で2~3%ほどが規格外となってしまいます。「組合員が生産する瓦の中で規格外となる量は年間約60,000トンになります。規格外瓦は組合がまとめて管理し、そのうち約90%を瓦用原料粘土へ還元し、残り10%を様々な用途で再生利用しています」と野村さん。
昭和60年に当時の組合役員が瓦のリサイクル工場、シャモット第1工場を建設。規格外瓦を粉砕し、瓦用原料粘土へ還元する事業を始めました。最初は瓦を細かくするのが大変で、試行錯誤を繰り返していく中でリサイクル化を進めてきました。
平成5年にはシャモット第2工場を建設し、主に瓦用原料粘土へ還元するシャモットを年間約54,000トン製造しています。シャモットとはフランス語で、高温で焼いたものを砕き、粉状または粒状にしたものという意味です。

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第2工場にある、VXミルと呼ばれるテーブル回転式竪型ミル。大きなミルの中で瓦を粉砕します

「その他に、リサイクル資材や土木資材としても販売しています。年間約6,000トンの特殊シャモットを販売するまでになりました」。

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粒子の大きさが異なる特殊シャモット


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技術・環境担当としてシャモットの開発や科学的データの測定に関わる野村道生さん

瓦の特性を実証実験

シャモットの特徴は、透水性があるので水はけが良く、また、保水力もあること。「瓦の構造は不規則な隙間のある多孔質構造になっていて、それが透水性や保水性を高めているんです。砂利は透水性はありますが、保水性はありません。土は透水性が少ないですが、保水性はあります。シャモットは透水性も保水性もある、いいところを兼ね備えた材料と言えます」。
また、シャモットは粒子に凹凸があるので自立性が高いのも特徴です。例えば、砂を上から落として三角形の山を作ると、斜面の角度(安息角)は約30度ですが、シャモットだと約40度あります。これによって、例えば、擁壁の裏込め材※として使用した場合、擁壁にかかる力を軽減できるのです。
組合では、こうした特徴を実証するために、名古屋工業大学や愛知県の三河窯業試験場とともに、擁壁の裏込め材としての適性具合いやヒートアイランド現象の抑制度合い、液状化防止効果、防草効果など、シャモットを施工し、データを取りながら実験を重ねています。
※崖や盛り土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために築く壁(擁壁)の背面に詰める透水性のある材料

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土、防草シートなどとシャモットを比較し、防草効果を調べています


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土とシャモットを擁壁の内側に入れ、裏込め材としての効果を測定

シャモットの特徴を生かして活用

シャモットの瓦用原料粘土への還元は全体の約90%。その他は特殊シャモットとしてブロック用の材料や土木資材として販売されています。
土木工事での利用は広がっており、土に比べ約4~5倍という透水性を生かして、暗渠排水材(水を排水するために作られる地下水路の排水材)やグラウンドのアンツーカとして使われています。
また、保水性があるため、水分を含むことで温度の上昇を抑えるという特徴から道路の舗装材料としても活用されています。「アスファルトと比べて表面温度が20℃ぐらい低いという実験結果があり、ヒートアイランド現象の抑制効果が期待されています。シャモットの色合いや自然な風合いも好まれています」。
他にも園芸用として培養土にシャモットを20〜30%混ぜて使うと植物の生育が良くなることから、園芸店で販売されるなど活用が広まっています。

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道路の下に利用されている三州セラミック路床材は、愛知県リサイクル資材評価制度『あいくる』認定材です


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シャモットから作られたブロックなど


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グラウンドでの使用例


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運動公園にアンツーカとして使用


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道路工事会社と共同開発した舗装材の原料に使用

2015年10月2日取材時の情報になります。
ライター:田中マリ子

お問い合わせ
施設名 愛知県陶器瓦工業組合
住所 愛知県高浜市田戸町1-1-1
TEL 0566-52-1200 (代) FAX 0566-52-1203
営業時間 8:00〜17:00
定休日 日曜、祝日
E-mail info@kawara.gr.jp
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