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湿った土壌と豊富な水で
古くからレンコン栽培が盛ん
2014.11.19 更新

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愛西市西部(旧立田村、旧八開村)は、愛知県におけるレンコン生産量の90%以上を占め、全国でも有数のレンコン産地です。
JAあいち海部れんこんセンターへ出荷する農家だけでも180軒程あり、およそ300ヘクタールでレンコン栽培が行われています。
レンコン栽培農家で、海部れんこん組合の組合長を務める三輪明廣さんにお話を伺いました。

レンコン栽培は江戸時代から

愛西市でのレンコン栽培の歴史は古く、一説によれば、天保年間(1830〜1844年)に旧立田村の住職によって導入されたと伝わっています。
市の木曽川流域一帯は、かつては水害に悩まされたこともある海抜ゼロメートル地帯。稲作に変わる作物として、この湿った土地に適したレンコンの栽培が盛んになり、とくに伊勢湾台風(1958年)後は栽培面積が増えたと言います。湿地帯ほど良質のレンコンができることから、全国3大産地の1つになりました。
主な品種は、江戸時代から栽培されてきた「備中」、岡山県から導入されて今では最も生産量の多い「ロータスホワイト」、4、5年前ぐらいから栽培が始まった「金澄(かなすみ)」の3種類です。

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レンコン農家のみなさん。左から松永光春さん、三輪明廣さん、大橋照男さん、伊藤芳雄さん

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レンコンを伝えたのが陽南寺の住職ということで、門前には碑が建てられています

肥沃な土壌と木曽川の水が育む

「このあたりの土は、保水性にすぐれた砂混じりの粘土質で、レンコンの栽培には適していますね」と三輪さん。
レンコン栽培でいちばん大切なのが土づくりと水の管理。「水性植物なので、水がきれないように気を付けています」。地域のレンコン畑には木曽川からの水を引くパイプが張り巡らされ、豊富できれいな水をいつでも取り入れることができます。
地中深く育つ作物ということもあり、他の野菜に比べて害虫の被害も少ないと言いますが、葉に付くアブラムシだけは駆除するそうです。
「ほかに注意するのは、風ですね。レンコンは葉から取り入れた酸素を茎を通して根に送り、穴から細部へゆきわたらせて生長しています。そのため、台風などの強い風で茎が倒れてしまうと呼吸が妨げられますから…」。今年は台風が多く、不作だとか。

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木曽川流域の至るところで見られるレンコン畑。この時期は葉も茎も枯れて収穫を待つばかり。夏はハスの花が咲き、訪れる人の目を楽しませてくれます

鍬を使って1本ずつ掘り出す

収穫に際しては、水圧を利用してレンコンを掘り出す産地がほとんどですが、ここではいったん畑の水を抜き、ショベルカーで上の方の土を取り除いてから鍬を使ってレンコンを1本ずつ、手で掘り出していきます。昔はすべて手作業だったので、1本のレンコンを掘り出すために、鍬を百回入れなければならなかったと言います。 「傷を付けないようにすることが大事ですね。また、雨にあたると色が変わるので、収穫時の天気にも気を付けています」。
レンコン栽培では、掘り残したレンコンから伸びた新芽を次の作付けに使うため、“筋掘り”といって1メートルほどの間隔をあけて筋状に掘っていきます。
この日は、地元の小学生たちが、農家の方々の協力を得てレンコン掘りを体験していました。

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筋状に畝を残して筋掘りをした畑

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掘り出したレンコンは、カゴに入れて集荷場へ

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地元の小学生たちもスコップ片手にレンコン掘りに挑戦。年4〜5回はこのような課外授業が行われます

1年を通して掘り立てのレンコンを出荷

レンコンの出荷は1年を通して行われます。8月中旬から翌6月上旬までは露地栽培のレンコン、6月上旬から8月中旬まではハウス栽培のレンコンで、1日平均1500ケースほど出荷されています。おせち料理の需要がある12月は出荷のピークとなり、出荷量も3倍ほどになります。
レンコンに土を付けたまま出荷するのも、この地域の特徴。土によって表面の乾燥を抑え、鮮度を保つことができるからだとか。 出荷にあたっての選別はすべて手作業。大きさや形状もまちまちで、センサーによる判別ができないため、一つひとつ、状態を見極めて箱詰めされ、名古屋を中心に岐阜や三重、北陸方面へも出荷されます。

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レンコンは手に取って、変色の有無やかたさを見ながら選別

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レンコンを箱詰めするのも手作業です

2014年11月4日取材時の情報になります
ライター:田中マリ子

お問い合わせ
施設名 JAあいち海部れんこんセンター
住所 愛知県愛西市早尾町晩稲場36-1
TEL 0567-23-3363
営業時間
定休日
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