「あなたが知っている緑茶の銘柄は?」と聞かれたら、静岡茶や京都の宇治茶と答える人は多くても、伊勢茶を挙げる人はあまりいないのではないでしょうか。
ところが伊勢茶の産地三重県は、お茶の栽培面積、生産量、生産額ともに、静岡、鹿児島に次いで堂々の全国第3位。
そんな実績ある伊勢茶をブランド化し、その名を全国に広めることがもっかの課題とか。
三重県庁をたずね、農林水産部農産園芸課の杉山佑介さんにお話しをうかがいました。
平成14年3月、三重県は三重ブランド認定制度をスタートさせました。
その背景にあったのは「伊勢えび、松坂牛などは有名でも、それがどこの産品かとなると、なかなか三重県の名が出てこないんですよ」と、三重農林水産部農産園芸課の杉山さん。
そこでまず、代表的な産品をブランド化することで、県の知名度を上げていこうというのがそもそもの狙いだったといいます。
三重ブランドの対象となるのは、三重県内でつくられた産品とその生産者。その認定にあたっては「自然を生かす技術」をコア・コンセプトに、認定委員会が①コンセプト②独自性・主体性③信頼性④市場性⑤将来性の5つの観点から厳しく審査しています。
「伊勢茶」もこうして選ばれた三重ブランド14品目のひとつで、現在、4事業者が認定されています。
「伊勢茶」は三重県で生産されるお茶の総称です。
温暖で雨量豊富な恵まれた立地条件の中で育つ茶葉は、葉肉が厚く、滋味が濃厚で3煎目まで味や香りが楽しめるといいます。
代表的な緑茶である煎茶は、県内全域で生産されていますが、各地域の風土、地形、自然環境を活かした個性あるお茶づくりも盛んです。
高台山脈にいだかれた南勢地域では、一般的な製法より長く蒸す「深蒸し煎茶」が、鈴鹿山脈のふもと北勢地域では、「かぶせ茶」が多くつくられており、三重県は、この「かぶせ茶」において日本一の生産量を誇っています。
「かぶせ茶」とは、お茶を収穫する前に覆いをかけ、直射日光を遮って栽培したお茶のこと。
覆いをすることで、茶葉のアミノ酸が増加し、まろやかな味わいになりますが、覆いをするタイミングや遮光率を微調整することで、さらにアミノ酸を増やしたのが「伊勢本かぶせ茶」です。
これは水沢茶農業協同組合が生産者・茶園を決め、三重県農業研究所茶業研究室と協力してつくりあげた自信作。
こうした新商品の開発も、「伊勢茶」の名を全国区にするための戦略のひとつと語る杉山さん。
飲むお茶だけでなく、全国5割以上のシェアを占める「もが茶(粉茶)」を使った加工製品などの開発も視野に入れているとか。
これからも「伊勢茶」を使った魅力的な三重ブランドが続々と誕生しそうです。
「伊勢本かぶせ茶」は三重県特産の「かぶせ茶」の中でも品質にこだわった商品。
ご用命は水沢茶農業協同組合ホームページ http://ec.sui-cha.com
2014年4月1日取材時の情報になります
ライター:宮内京子
施設名 | 三重県農林水産部 農産園芸課 園芸特産振興班 |
住所 | 三重県津市広明町13番地 |
TEL | 059-224-2808 |
営業時間 | − |
定休日 | 土曜日・日曜日、祝日、年末年始 |
− |