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【美濃加茂市特集】水と米を生かし、長年培った技で醸造。新しい日本酒の楽しみ方も発信する「御代桜醸造」
2013.03.25 更新

創業は明治26年。
中山道五十一次の太田宿の面影を残す街道沿いに御代桜醸造はあります

北アルプス、白山、恵那山など山々に囲まれた岐阜県は
豊かな河川をはぐくみ、美濃加茂市には飛騨川や木曽川が流れます。
清冽な木曽川の伏流水を井戸から汲み上げ、
清酒をつくっている蔵元が、御代桜醸造株式会社です。
明治26年の創業以来、原料や品質にこだわり、昔ながらの酒づくりを受け継いでいます。
守り続ける伝統と、時代に合わせた変革、
さらに日本酒の魅力を代表取締役で六代目蔵元の渡邉博栄さんに聞きました。

口当たりのよい軟水で醸す日本酒はやさしい味わい

御代桜の日本酒づくりを教えてくれた六代目蔵元の渡邉博栄さん

中山道沿いに佇む御代桜醸造。
かつて街道を行き交った人々に清酒「御代櫻」が親しまれ、
時代を超えて今も愛され続けています。
清酒の成分は8割が水。名酒を生むには、よい水が欠かせないと渡邉さんは話します。
「木曽川の伏流水は口当たりのよい軟水。日本酒づくりに適した水なんですね。
その水を使って醸す日本酒は、やさしい味わいが特徴です。
あとくちがきれいで飲み飽きしない。米の旨みも生きている。
とてもバランスの取れたお酒なんですよ」。

水とともに大切な原料の「米」も厳選しています。
「“水”も“つくり手(=ヒト)”も美濃加茂ではぐくまれたのだから、米もできるだけ地元産にしたい。
すべての銘柄ではありませんが、岐阜県産からもっと的を絞り、
美濃加茂市産に重点を置くようになってきました。
それが『あさひの夢』という酒づくりに適した米です。
そのまま食べるとあっさりした食味。
粒の大きさが揃っていて、生命力を感じます。
農薬の使用を抑えて地元の生産者に契約栽培していただき、
『御代櫻 純米吟醸 岐阜九蔵』『御代櫻 三丁目のにごり酒』などでは全量使用しているんですよ」。

手づくりは昔のままに。同時に新しい試みも

蒸した米、水、麹などを混ぜて仕込みます。その後、1〜2カ月かけて発酵

仕込みタンクが並ぶ建物は明治の頃から使われています

こうした原料を使い、「基本に忠実」な手づくりを守り続けます。
日本酒の製造は「一 麹、二 もと、三 造り」といわれ、
蒸した米から麹をつくる工程が特に重要といいます。
麹づくりを機械化する蔵もある一方、
御代桜では杜氏自らが泊まりこみで麹を見守り、温度や湿度の微調整を手がけます。
麹、蒸した米、水、酵母が仕込まれ、アルコール発酵することで日本酒に。
杜氏の重要な役割は、酵母にとってよい環境を整えることだそうです。
「大切なのは、酵母という“生き物”。
私たち人間は、発酵を左右する生き物が働きやすいよう手助けするのみです」。
謙虚な気持ちをなくすとよいものは生まれないと語る渡邉さん。
酵母や米の状態はその年ごとに異なるので、
「毎年が一年生」という姿勢で臨むといいます。

(左)伝承の吟醸造り『御代櫻 純米吟醸 岐阜九蔵』。ワイングラスでも楽しめると高評価
(右)あさひの夢を使った数量・季節限定のお酒たち。左は『御代櫻 純米吟醸 無濾過生原酒 春搾り』。
右は酵母が生きている微発泡性にごり酒『御代櫻 三丁目のにごり酒』

一方、時代とともに人々の嗜好性は変わります。
ビールもあれば、ワインも焼酎もウィスキーもあり、味の好みも人それぞれ。
その中で、御代桜では日本酒のよさを伝えながら、新しい提案も行っています。
日本酒をワイングラスで楽しむ提案や、
和洋を問わず様々な料理とのコラボレーションを実施。
蔵の中にとどまらず、飲食店で日本酒と料理を楽しむ会なども行い、
日本酒のプレゼンや体感の場も設けています。
2012年には「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2012」で金賞に輝き、
新たな日本酒ファンづくりにも期待が高まります。

魅力を伝える「地産地発」で、人が集まり交流するまちに

蔵を歩くと歴史の長さと趣を感じます

日本酒で美濃加茂のよさを発信したいと渡邉さんは語ります

伝統と進化の両方を大切にする渡邉さん。
根底に流れるのは、「地域に支えられて蔵がある」という強い思いです。
美濃加茂市産のあさひの夢を使うなど、地元にフォーカスしている理由は、
「みのかもファーマーズ倶楽部」の活動を知ったことがきっかけだったそう。
「地産地笑(地元の農産物で地元を笑顔に)を掲げて農業に力を入れており、
今盛り上がっているグループです。
“食べる”には、“飲む”だったり“農産物を使う、加工する”が関連づけられますが、
こうした関連分野で一緒に何かできたらいいと思いました。
様々な立場の人が力を出しあい、支えあうと、
地域はもっと活性化していくのではないでしょうか」。

いろいろな人を巻き込むと波及効果も広がっていく。
こうした考えから、渡邉さんが目指すのが「地産地発」です。
「美濃加茂には水、米、農産物、自然…よいものがたくさんあります。
これらをどんどん“発”信していきたい。
様々な切り口で伝えていければと思うのです。
魅力が伝われば人が来てくれます。人は人を呼びます。
人々がこの地域に足を運んでくれることが大切。
私自身はおいしい日本酒で魅力の発信に努めます」。
日本酒は差しつ差されつ、盃を交わすのが古きよき食文化。
コミュニケーションの潤滑材として、
お互いに語り合い楽しんでほしいと渡邉さんは力を込めました。

編集員のココがオススメ!

「季節の酒」「こだわりの酒」「普段着の酒」。御代桜ではこうしたカテゴリーに分けて紹介していて、その時々にぴったりの日本酒が選べます。料理に合わせてワイングラスでいただく楽しみ方は、女子会にもオススメ。老若男女を問わず、自分好みの一本と出合えそうです。また、予約をすれば蔵見学もOKということなのでご興味ある日本酒ファンはぜひ。

(南由美子)

蔵元情報

会社名 御代桜醸造株式会社
住所 岐阜県美濃加茂市太田本町3-2-9
TEL&FAX TEL: 0574-25-3428
FAX: 0574-25-7579
ホームページ 御代桜醸造株式会社

2013年2月8日現在の情報になります。

 

 

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