2013年1月6日(日)に三重県桑名市の赤須賀でシラウオの初漁が行われました。
風のない絶好の日和のなか、
2隻の漁船が網をひく漁は早朝からお昼ごろまであり、この日は5組が出漁。
揖斐川下流から河口にかけて操業し、全体で46キロの水揚げを記録しました。
大漁だった昨年(2012年)初日の漁に比べると、漁獲は約6分の1と少なかったものの、
漁業関係者は「出だしが悪いと後半よい年がある」と語り、今後に期待を寄せていました。
獲れたシラウオのサイズは全体的に小ぶりでしたが、
これから成長して「もう一回り大きくなる」とのことで、
2月に入るとおいしさがぐんと増すそうです。
陽が高くのぼる午前11時ごろに赤須賀漁港へつくと、
目の前をゆったりとながれる揖斐川のすぐ先で網をひいている2組の漁船団が。
河岸から見ていると、漁船の動きはまるで牛歩のようなスピードで、
周囲ののんびりとした風景に溶け込んでいました。
風のない穏やかな日差しのなか、
鏡のような川面を軽快なエンジン音がひびき、ゆっくりと時間が流れていきます。
正午すぎになると漁を終えた漁船が続々と帰港。
漁の結果を聞こうと、いくつかの漁船をまわっていると、
漁場によってはたくさんの枯れ葉が流れていたようで、
シラウオと一緒に網のなかに入ってしまった大量の枯れ葉を、
漁業者の家族が総出で一生懸命に取り除いているところもありました。
獲る場所や時期によって大きさや色が変わるというシラウオ。
このときも、サイズが大きいという漁師さんがいれば、
まだ細くて小さいという関係者がいたり、
色も透明なものがあれば黄色がかったものがあったりとさまざま。
異なる漁場で獲られたシラウオを比べて見ると、たしかに色に違いがあるのがわかりました。
「2、3匹をノリで巻いて食べるとおいしいよ」。
輝くシラウオを前にして、近くにいた浜のお母さんがうれしそうに教えてくれました。
すすめられて何匹かをそのまま口へほうると、弾力のある独特な食感がはじけ、
ほのかな甘みと苦みがひろがりました。
赤須賀で水揚げされたシラウオは、地元の料亭などに流通するほか、
「しぐれ」を製造するお店で「紅梅(こうばい)煮」に加工され販売されます。
その後行われた入札には、漁業関係者や仲買人らが大勢つめかけ、シラウオの初漁でわきました。
今年も最初に訪れた漁港の赤須賀で、
春の訪れをつげるシラウオの初漁に接することができ、
こみあげる満足感で胸がいっぱいになりました。
漁港で獲れたばかりのシラウオをすくって「うまい」と一言つぶやいた、
元漁師だったであろうおじいさんの満面の笑みが、いつまでも脳裏に残りました。
(新美貴資)
2013年1月6日現在の情報になります。