茎から葉まで、すべてが鮮やかな赤色に染まる珍しい葉野菜、「仙寿菜」。
今、美濃市の新たな特産品として最も注目されている一品です。
驚くべきはその栄養価。赤い色は「ベタシアニン」と呼ばれる色素で、
抗酸化作用が高いと言われており、
生活習慣病の予防や老化防止に大変有効とされています。
他にもカルシウムやビタミンCはホウレン草の約4倍、食物繊維は約1.3倍、
体のサビのもととなる活性酸素の吸収能力は約2倍にも。
まさに体に嬉しい健康野菜です。
仙寿菜のルーツは熱帯アジア原産の赤アマランサス。
平成21年に岐阜大学・応用生物科学部の大場教授が
バングラデシュから赤アマランサスの種を持ち帰り、
研究開発と品種改良を繰り返して今の仙寿菜を作り出しました。
その頃「何か市の特産品を作りたい」と考えていた美濃市に、
大場教授と一緒に仙寿菜の研究開発を行っていた中野准教授がタイミングよく仙寿菜を紹介。
平成22年には市内の農家で「美濃仙寿菜生産組合」を発足し、
本格的に市の特産品としての仙寿菜の管理や生産、販売などに乗り出しました。
組合発足当時は5軒だった会員農家も今年は11軒となり、順調に生産量を増加し続けている仙寿菜。
「ただ、虫に弱いのが弱点です」と市産業課の辻千広さんはいいます。
「油断すると茎や葉にすぐ虫がつく。おまけにアマランサスに使える農薬がほとんどないので、
今のところ防虫ネットで虫の被害を防ぐことに徹するしかありません」。
ネットは通常より網目が細かい0.08mmのものを使用。防虫効果には優れますが、
その分ネット自体がゴワゴワしていてかけにくく、どこかに隙間ができてしまうこともあるとか。
「だから虫がネットの中に入り込んでいないかこまめに点検しないといけない。
農家さんにとっては本当に大変な作業です」と辻さん。
生産農家の組合長、林光明さんも「5~6月はアブラムシ、8月はヨトウムシの害に悩まされる。
これからの時期は薄いビニールをかけて防寒対策もするのですが、
その分日光が遮られて赤色が薄くなってしまうこともある。本当に管理が大変です」と話します。
また販売ルートがまだ少なく、知名度があまり高くないのも悩みのひとつ。
中には仙寿菜を手にとって「これはシソですか?」と聞く人もいるとか。
「仙寿菜の栄養価や食べ方を教えると、興味を持って買っていく人がほとんどです。
これから知名度を上げるためにも栄養が高い野菜であることをもっとPRし、
仙寿菜を使った加工品やレシピの開発もどんどん進めていきたい」と辻さんは意欲を燃やします。
味も香りもくせがなく、サラダや天ぷらなどさまざまな調理法で楽しめる仙寿菜。
茹ですぎると赤い色素が抜けてしまいますが、
その赤いゆで汁を活用したゼリーも販売されています。
また仙寿菜を使った料理レシピコンテストも開催、グランプリとなった餃子「花仙寿」は商品化に。
「赤い花のような皮がきれい」「おいしい」と評判を呼んでいます。
「今後は乳製品やジュースなどの加工品も作っていきたい」と話す辻さん。
「そのためには安定供給できるようにもっと農家を増やしたいですね。
今は『美濃にわか茶屋』、関市の『とれった市場』と
県内および近郊のイオン7店舗でしか販売していませんが、
今後はもっと販売ルートも開拓していきたいと考えています」。
緑が多い野菜売り場の中で輝くような赤色が目を引く仙寿菜、
その光景があちこちのお店で見られる日が来るのもきっとそう遠くはありません。
生のまま葉をかじってみると本当に味も香りもくせがなく食べやすく、これならどんな料理にも活用できると確信しました。ご飯と一緒に炊けば鮮やかなピンク色に染まり、普段はもちろんちょっとしたお祝いの席や誕生日にもぴったり。また「赤いゆで汁で焼酎を割って、レモンやすだちを入れたら見た目もいいし、爽やかでおいしいよ」と組合長の林さんが教えてくれた飲み方もぜひ実践してみたいもの。いつもの食卓に彩りを添えてくれる、そんな素敵な野菜です。
(小山芳恵)
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ブランド名 | 仙寿菜 |
住所 | 岐阜県美濃市1350 美濃市産業振興部産業課 |
TEL/FAX | TEL:0575-33-1122(代表) | ホームページ |
仙寿菜 – 美濃の四季菜 |
2012年10月4日現在の情報になります。