豊根村で本格的なドイツパンの店を営む山口美知英さん。
元はセラミック関連の技術畑を歩む会社員だったと言います。
「ドイツに出張をした折に店頭に美しく並んだパンに興味をひかれ、
自分でも焼いてみたいと思ったんです」。
そんな思いをあたためながら10年ぐらい経ったとき、
知人の紹介でドイツのパン屋で修業をさせてもらえる機会に恵まれます。
パン作りの知識もなく単身ドイツへ渡り、
レシピも製法も見て覚えるという職人の世界で人一倍がんばって修業に励んだ山口さん。
通常10年で一人前と言われるところ、4年弱で製法をマスターして帰国。
ドイツで修業した町「ミンデン」を名前にして、名古屋市で店をオープンします。
ドイツは湿度が一定でからっとした気候なのに比べ、
日本は湿度も高く季節によって気候が異なるので大変だと言いますが、工夫を重ねて本場の味を再現。
やがて、来日中のドイツ人からも祖国の味と認められるほど評判を呼ぶようになります。
ドイツパンが認められた山口さんは、
かねてから計画していた田舎暮らしの夢を実現すべく、豊根村へ移転してパン工房を開きます。
国道151号を脇にそれるとドイツの国旗が見えてきます。
その奥に木々に囲まれて「ベッケライ ミンデン」の工房と店があります。
店内には常時25種類ぐらいのパンが並びますが、遠くから取り寄せるお客さんもいて、
夕方近くにはほとんどが売り切れてしまうとか。
地域に何か貢献できればと考えて作ったのが、ブルーベリー酵母で作った「カンパーニュ」。
ブルーベリーは豊根村の特産品で、愛知県一の生産量を誇ります。
冷涼な気候を生かして、農薬を使わずに栽培しています。
「ブルーベリーのジャムはすでに作られていたので、何か違う形でと思い、
天然酵母のブームもあって、ブルーベリー酵母のパン作りを試みたんです。
最初はパンが膨らまないなど、なかなか上手くいかなくて、何度も試行錯誤を繰り返しました」。
ブルーベリーの実を生かし、デニッシュ生地にブルーベリーの実とアーモンドクリームをはさんだ
「ブルーベリーバル」もあります。
豊根村のキャラクター「ポンタ」の名前が付いた「パンデポンタ」は、
パンの中に地元名産品の一つ「金山寺味噌」を入れたもの。
ごはんと相性抜群の金山寺味噌が、パン生地にもみごとにマッチして、新鮮な味わいを楽しめます。
「川魚やシイタケなども使って、地産地消のパンをいろいろと考えていきたいですね」。
近隣の市町村からも地元の特産品でパン作りができないかという話があるとか。
地域密着という点では、地元の高齢者にも喜んでもらえるようなパンを作っていきたいと語る山口さん。
その一つ、黒ごまがトッピングされた「あんぱん」は、
人気商品の一つになっていると言います。
マイスター制度があり、職人には高い技術力が必要とされるドイツ。本場で修業した山口さんが焼くドイツパンはまさに職人技の逸品です。ドイツパンはミンンデナーランドブロードはじめ、材料にライ麦や穀物を多く使います。しっかりとした歯ごたえと噛むほどに味わい深いのが特徴です。お取り寄せもできるので、ぜひ一度、試してみて!
(田中マリ子)
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住所 | 〒449-0404 愛知県北設楽郡豊根村上黒川字柿平22 |
アクセス | 名古屋ICから猿投グリーンロード・国道153号等経由約2時間 |
TEL&FAX | TEL&FAX:0536-85-1234 |
URL | ドイツパンの店 ベッケライ ミンデン |
営業時間 | 11:00〜17:00 |
定休日 | 火・水・木曜日 |
駐車場 | 2台 |
2012年3月26日現在の情報になります。