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「青じそ加工研究会」シリーズvol.8安心安全な青じそを供給する「豊橋温室園芸農業協同組合 大葉部会」
2012.04.15 更新

温室でスクスク育つ青じその葉

全国初の「つまもの」専門組合として発足した豊橋温室園芸農業協同組合は、
大葉部会を昭和43年(1968)に設立。
青じそ(大葉)生産を始め今年(2012)で50周年となりました。

大葉部会50周年記念マーク。今年一年間、青じそパックやポスターに登場します。

現在、会員である生産者は108名を数え、栽培面積は全国最大規模の118,000坪。
青じその国内生産量はトップシェアを誇っています。
「青じそ加工研究会」には創立メンバーとして平成19年(2007)から参画しました。
大葉部会第15代部長である富永諭司さんに、その経緯や取り組みについてうかがいました。

大葉部会がある豊橋温室園芸農業協同組合の建物

材料を提供することの責任を認識。

「青じそ加工研究会」のメンバーは、青じそを生産する農業者、
青じそをペースト状や粉末などにする一次加工業者、
そして青じそ製品をつくる食品メーカーで構成されています。
「当初私たちは、材料である青じそを提供するだけでいいと、軽い気持ちでいました」と、富永さん。
それが青じその加工業者、食品メーカーと一緒になって勉強しながら
商品開発を行わなければいけないと考えだしたのは、
他のメンバーそれぞれの職場を見学に行ったことからでした。

ある食品工場を訪ねた時のことです。
まず、入口で白衣と帽子をわたされ、身につけます。
手はもちろん、靴もしっかり消毒をしからでなくては中へは入れません。
「えっ、こんなに衛生に気をつかっているんだ。こんな中で食品がつくられているんだ」
実際に目にして、体験して、初めて分かることがあります。
「だったら、自分たちがつくった青じその中に髪の毛や異物が混入していたら…
 もしも、そのまま加工されてしまったら…
 クレームになって全部回収しなければならなくなる。これは責任重大だ」と気づき、
そこで皆の意識が大きく変わりました。
逆に、食品メーカーの人たちに青じそを育てている温室を訪ねてもらうことで、
農家がいかに手間ひまかけて、青じそを生産しているかを理解してもらうことができたといいます。

豊橋温室園芸農業協同組合 大葉部会第15代部長 富永諭司さん

規格外の葉を無駄なく活用。

「青じそ加工研究会」では、本来は出荷しない規格外サイズの葉を使っています。
青じそは、苗を植えてある程度大きくなると、大きな葉が出てきます。
その葉を2回くらい摘むと、葉が揃ってきて規格のサイズになります。
つまり、それまでの2回が規格外の葉であり、若い時の葉が加工用になっているわけです。

青じそは1つの苗から、だいたい6ヶ月くらい収穫することができるといいますが、
規格外サイズの葉を採るチャンスはたった2回。
それだけで充分な量を確保することはできるのでしょうか?でもそこは大丈夫。
農家はそれぞれいくつもの温室を持っており、1年に2作、ローテーションで栽培しているので、
安定的に規格外の葉を供給することができるのだそうです。

(左)苗の段階から、1本1本に目を配り、愛情をこめて育てる。
(右)1本1本の苗を丁寧に植えつける。収穫までは約1カ月。

(右)温室内の温度や湿度に毎日気を配りながら栽培。暑いとき遮光して温度を調節する。
(左)収穫は、葉の状態を1枚1枚チェックしながら手摘みする。

(左)1パック1パック、葉の状態をていねいに確認しながら検品する。
(右)箱詰めされ、全国に向けて出荷。

徹底した減農薬で青じそを栽培。

「減農薬の取り組みは、私たちの重要なテーマです」と、富永さん。
現在生産している青じその品種は、在来種の「豊1」と
愛知県農業総合試験場との共同開発により誕生した新品種「愛経1号」の2種類。
特に新品種の「愛経1号」は、香り成分ペリルアルデヒドの含有量が多いのが特徴で、
青じそ栽培の大敵であるしそ斑点病に強く、減農薬栽培を可能にしました。

また、栽培方法にもさまざまな減農薬の工夫があります。
具体的には、害虫をシャットアウトする防虫ネットの使用や
害虫の交尾・産卵を抑制するなどの効果があるイエローランプの設置。
土にビニールを張って、病気を誘発する湿気を防ぐマルチ栽培の導入、
ハダニを食べる天敵のダニを使った駆除など、
化学農薬の使用を極力抑えるとともに、抜き打ちの残留農薬チェックも実施しています。

さらに、その青じそがいつ、どこで、誰によって生産され、
どのように肥料や防除が行われたかなど、生産履歴情報が確認できる体制を確立。
化学肥料・化学農薬を少なくした「持続性の高い農業生産方式」による
農業者認定「エコファーマー」の取得・更新も果たし、環境に配慮した農業をめざしています。

「私たちのつくった青じそなら安心して使っていただけます」と胸を張る富永さん。
そこには、「青じそ加工研究会」のブランド品質を支えるという責任感と
日本一の青じそ生産地としての自負が感じられました。

(左)温室の開口部には防虫ネットを張って、害虫の侵入を防ぐ。
(右)イエローランプを設置して夜間活動する害虫の行動を抑制し、施設内への侵入を減らす。

 


■「青じそ加工研究会」シリーズは今回で終了します。
「青じそ加工研究会」を取材して印象に残ったことは、
それぞれのメンバーが、それぞれの立場で、互いの期待と信頼に応えていること。
大葉部会は生産者として、安全で高品質な青じそを提供し、
その青じそを使う食品メーカーは、よりおいしく、より斬新な商品を開発
さまざまな意見を謙虚に受け止めながら、幾度も改良を重ねていく。
こうした正の連鎖の中で、絆が深まり、揺るぎないブランドが形成されるのではないでしょうか。
誰もが真摯で、誰もが前向き、だからこそ可能性も大きい。
これからの「青じそ加工研究会」の活躍が楽しみです。
 

編集員のココがオススメ!

活性酸素を消去する働きのあるβカロテンやポリフェノールなど、抗酸化性成分を多く含む青じそは、近年、生活習慣病やガンなどを予防する健康食品として注目を集めています。その抗酸化性は、120分加熱処理しても低下せず、酢の物、漬け物などにしても維持されます。刺身のつま、薬味としてだけではなく、青じそを毎日の料理に取り入れてはいかがでしょうか。

(宮内京子)

団体情報

団体名 豊橋温室園芸農業協同組合 大葉部会
住所 〒441-8006
愛知県豊橋市高洲町小島103-1
TEL& FAX TEL:0532-31-6371
FAX:0532-31-8780
URL 豊橋温室園芸農業協同組合・大葉部会

2012年4月6日現在の情報になります。

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