元治元年(1864)創業の関谷醸造は、地元米にこだわり地酒をつくる老舗の蔵元。
奥三河に2つの醸造蔵をもっています。
ひとつは、銘酒「蓬莱泉」「明眸」などの主力商品がつくられている設楽町の本社蔵。
そしてもうひとつは、旧稲武町にある吟醸工房です。
少量多品種の日本酒や自家製の酒粕を蒸留してつくる焼酎、
愛知の農産物を使用したリキュールなどを製造・販売しており、
青じそ加工研究会と共同開発した「青じそ薫る梅酒」もここでつくられています。
関谷醸造初の女性蔵人として平成7年(1995)に入社し、
現在、営業部の企画・商品開発に携わる遠山直子さんにお話しをうかがいました。
もともと日本酒の製造過程で出る酒粕などを有効活用した焼酎をつくっていたので、
まずは焼酎に青じその生葉を漬けてみようというところから始まったそうです。
しかしこれだと、焼酎の風味に負けて青じその香りが立ちません。
そこで思いついたのが梅酒でした。
梅の酸味と青じその風味は相性がいいだろうと考えたのです。
問題は香りづけですが、エグ味の出る生葉ではなく、
ソフトスチーム加工の青じそのペーストを使うことことで解決。
新城産の梅を自家製焼酎と氷砂糖に6〜7カ月漬けた後、実だけ取り出し
梅酒ができたら、青じそのペーストを加えて1週間ほどおきます。
それをろ過することで、色もきれいに仕上がりました。
完成した「青じそ薫る梅酒」は、
酸味と甘さが絶妙なバランスのドライタイプの梅酒で、青じそが後からほんのり香ります。
梅酒と青じそを組み合わせた発想は、青じそ加工研究会のメンバーから褒められたものの
その完成品に対する反応が気がかりだったという遠山さん。
「香りが前に出過ぎず、後からふわっとくるくらいがちょうどいい」
「ただ入れればいいというのではなく、これは青じそを入れたことによって、良くなったね」
という感想を聞きホッとしたといいます。
「実は不安だったので、プロのソムリエの方にもテイスティングをしていただきました。
人工的な味や香りをつけたものが多い中、これは梅酒も青じそもすべて天然素材が使われているので
口に含んだときにやさしい。とんがったところがなくバランスがいい。
このまま飲食店でも出せるといわれました。」
じっくり味わうなら、ロックで。また、冷やして炭酸で割るのもおすすめです。
売場では特に女性のお客様が興味を示してくださるそう。
清涼感のある青じその香りですっきり飲めるので、甘ったるい梅酒が苦手な方にも好評です。
平成16年(2004)に誕生した吟醸工房は、お酒の製造・販売だけではなく
「新しい価値観を創造する体験型施設」としての顔も併せもっています。
その第一の目的は、昔ながらの技術や五感を使っての仕込みを若い世代に伝承することですが、
手づくりの酒造工程を一般公開することで日本酒への理解を深めてもらい、
さらに興味のある人には酒づくりにも参加してもらうという試みも行われています。
また、売店に設けられた試飲カウンターでは、
お客様にさまざまなお酒を飲み比べてもらい直接感想を聞くことができます。
こうした消費者との関わりの中から
伝統の技に新たな息吹を吹き込む、新たなアイデアが生まれてくるのかもしれません。
■次回は青じそウインナー・フランクフルトの「和広産業 株式会社」をご紹介いたします。
関谷醸造の吟醸工房では、酒造りを体験することができます。参加費は仕込み体験と蔵案内・昼食・試飲酒込みで、1日コースが10,000円(税込)、半日コースは6,000円(税込)。約1ヶ月半後に、自らが醸したお酒が720ml壜詰めで2本(半日コースは1本)届けられます。 また、お酒のオーダーメイドは結婚式の引き出物や記念日の贈答品などとして人気。実際に仕込みを手伝うことができ、味の好みにも応えてもらえます。オリジナルデザインのラベルで届けられます。 どちらも2012年10月からの仕込み分の予約は随時受け付けています。 (宮内京子)
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会社名 | 関谷醸造 株式会社 |
住所 |
【本社】 〒441-2301 愛知県北設楽郡設楽町田口字町浦22番地 TEL:0536-62-0505 FAX:0536-62-1556 【吟醸工房】 |
URL | HOME :: 関谷醸造 :: ほうらいせん |
2012年2月29日現在の情報になります。