水鳥製麺所の創業は昭和33年(1958)。
現店主の水鳥一さんのお父さんの代から約50年の歴史があります。
大学を出て、東京の旅行代理店に勤めていた一さんが帰郷し、
後継者として入店したのは平成3年(1991)。
平成5年(1993)に、それまでスーパー等の量販店へ卸していた製品を業務用製品に切り替えました。
飲食店に直接納入することで業績も向上、今ではネット販売も行っています。
「青じそ加工研究会」に参加したのは平成12年(2009)のこと。
「会のメンバーは色々なノウハウを持った人ばかり。習うところはいくらでもある」と、一さん。
「しそに特化して、しそバカになって商品を仕上げて、
他には負けない、ここでしか買えない商品をつくりたい」と意欲を語ります。
これまでに製品化された青じそ商品は、「更科しそ蕎麦」と「青じそ細うどん」。
ちなみにうどんを細くしたのは、茹でる時間を短くすることで、香りを飛ばないようにするためです。
製麺所で「青じそ細うどん」の材料を見せていただきました。
小麦粉は愛知県産のものをメインに北海道産をブレンドしたオリジナル粉。
風味を出すために青じそのペーストを練り込みますが、これのみでは色合いがくすむため、
ミキサーにかけた生葉も使います。
だいたい生麺100g(1食分)に10枚の青じそが入る計算だとか。
さらに香り高い麺に仕上げるために試行錯誤して編み出したのが、
青じその葉を茹で、その茹で汁を、生葉をミキサーにかける時の水と粉をこねる水に用いるというもの。
水鳥製麺所ならではの工夫です。
これにより「飲み込む時に、フッとしそが薫る」理想の麺が誕生しました。
一さんの麺づくりへのこだわりは、頑固一徹な父親譲り。見よう見まねで技を修得しました。
あえて少量生産にしているのは、手打ち麺に限りなく近い麺をつくるため。
一般的に大量生産ラインで麺をつくると、水分量の限界は約30%~40%といわれていますが、
少量生産にすることで平均42%~45%の水分量を確保。
手打ち麺(水分量平均48%~50%)のようなツルッとした食感の多加水麺を実現しました。
また、なるべく食品添加物を使わず、できたてのおいしさが味わえるように、
生麺を瞬間冷凍する液体凍結(リキッド冷凍)システムを採用。
注文するとクール便で届けられます。
麺づくりが天職のような一さんですが、若い頃は家業を継ぐつもりはなかったそうです。
しかし東京の旅行代理店で10年ほどがむしゃらに働き、所長代理も任されるようになったある日、
定年間近な所長から、こうたずねられます。
「君は一生この仕事を続けていて幸せになれると思うか?」と。
それまで、忙しすぎて立ち止まって考えることがなかった一さん。
「確かに、お客様のために旅のノウハウや観光・グルメスポットなど、
たくさんの情報は身につけたけれど、自分の手で何もつくっていないのでは?」
という疑問がわき上がってきたといいます。
そして決断したのが、故郷、豊橋へ帰って家業を継ぐこと。
体の中に眠っていた、モノづくりのDNAが目覚めたのかもしれません。
今では麺づくりに邁進する日々。新たな青じそ製品の開発はあるのでしょうか?
研究熱心なアイデアマンの今後の活躍が楽しみです。
■次回は和洋菓子の「入河屋」をご紹介いたします。
青じそ入りの「更科しそ蕎麦」「青じそ細うどん」は、さわやかな風味がウケて夏のギフトとして大ヒットしました。寒い季節にも、鍋料理やお酒の後の〆の食事に喜ばれそう。また、釜揚げでツユをあったかくして食べるのもおすすめです。リキッド冷凍した生麺は戻すとサラサラに。クール便で打ちたて、つくりたてが手元に届くのもうれしいですね。
(宮内京子)
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会社名 | 水鳥製麺所 |
住所 | 〒441-8134 愛知県豊橋市植田字西山田12-8 |
TEL/FAX | 0532-25-2520 |
URL | 更科,そば,うどん,田舎,極太,やきそば,しそ,蕎麦の豊橋市|水鳥製麺 |
2011年9月15日現在の情報になります。