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無農薬有機栽培に取り組む 岐阜県山県市の「寺町畑」
2011.07.08 更新

新しいニワトリ小屋の骨組みの下で語る寺町さん。

岐阜市の北隣に位置する山県(やまがた)市。
ここで無農薬有機栽培農業を生業とする若者がいます。
取材当日出迎えてくれたのは、大学を卒業して4年目の、
笑顔が素敵な「寺町畑」の寺町大円(てらまちまどか)さんと、
生後1ヶ月ほどのヒヨコたちのかわいい声。

無農薬有機野菜が脚光をあびつつある現在でも、日本での生産率はわずか0.2%。
まだまだ稀少な作物であることには変わりありません。
そんな中、寺町さんは京都の大学を卒業後、
兼業農家であった山県市の実家に戻り本格的に農業をはじめました。
実家の畑は、30年ほど前から無農薬有機栽培で野菜や米を作ってきたということもあり、
大学で環境社会学を学んだ寺町さんは、
環境保全の目線からも無農薬有機栽培にこだわった農作物を作っています。
実家にあった畑とは言え、彼は新規就農者であり農業のプロには程遠いと感じているようです。
それでも試行錯誤を日々重ね、農薬も化学肥料も使わない自然と一体の農業を実践し、
おいしい農作物を近隣に届けています。

投薬なし!自家製配合飼料と葉っぱで育つニワトリ

より自然に近い環境で飼育されるニワトリ。

(左)生後2ヶ月ほどは病気などの対策のため、10羽ごとに小屋で飼育されます。
(右)まだまだ幼い姿のヒヨコですが、あと2週間ほどでこの小屋から開放され自由に歩きまわります。

寺町さんの農業の特徴的なところは、畑の隣でニワトリを飼育していることです。
「寺町畑」のニワトリは「ゴトウモミジ」と言う数少ない純国産種。
日本の養鶏場では「ケージ飼い」といい、
25cm×40cmという靴2組分が入る程度のケージに2羽というスタイルが主流ですが、
「寺町畑」のニワトリは、1㎡に2羽の平飼いというぜいたくな飼い方です。
さらにこだわっているのは餌。米ぬかや腐葉土などを使った自家製の発酵飼料と、
「緑餌(りょくじ)」という、虫食いなどで人が食べられない葉っぱなどを食べて育ちます。
広く換気のよい、自然環境に近い小屋で育ったニワトリは、毛艶・肉付きもよくいかにも幸せそう。
「寺町畑」のニワトリ達が生んだ玉子を頂きましたが、
今まで数え切れないほど食べてきた玉子の中でも、ダントツの美味しさでした。
ストレスも投薬もなく、幸せな環境で育てられた玉子は、冷蔵庫に入れれば3~4ヶ月もつとのこと。
ストレスフリーのニワトリから生まれた玉子は、人を幸せにする味でした。

農薬なし、化学肥料なしの米作り

水を張った田んぼに映る青空。
田んぼにはおたまじゃくしなどが泳ぎまわり、自然と一体の農業が営まれています。

ニワトリ小屋の隣には、植えられたばかりの米苗が風に揺れていました。
米も無農薬有機栽培ということですが、米の無農薬というのは相当の苦労がつきまとうそう。

その中でも一番の苦労は雑草です。
土に水を張り太陽の光をサンサンと浴び、元気になるのは稲ばかりではありません。
その為、無農薬栽培の米は雑草との闘いでもあるのです。

これが「紙マルチ」と言われるもの。これを敷くことにより雑草の発生を抑えます。

黒いビニールで、土の上を覆っている畑を見たことありませんか?
除草剤を使わない「寺町畑」では、同じ機能を持った、
無農薬栽培業界(!?)でもまだ珍しいと言われる「紙マルチ」というものを使い、
除草の手間を省いています。

水を張った田んぼに、片面黒く塗られた「紙」を敷き、そこに苗を植えます。
そうすることで、雑草の発生を抑えることができるのだそう。
数ヶ月もすればこの紙は分解され、田んぼの肥やしになります。

とは言え「紙マルチ」も万能ではなく、その後何度か手作業での除草が待っているそうです。
また田植えは、機械を使わないため手植えですが、近所の子供たちにも手伝ってもらうといい、
今失われつつある地域のつながりも大切にする寺町さんの想いが反映されています。

そんな若き農業青年にも、来月第一子が誕生するそうです。
地域での食の担い手としての寺町さんの励みになるでしょう。

「収穫の時が一番幸せです」

夏の野菜の代表格となったトウモロコシは、虫がつきやすく無農薬で育てるのが難しいと言われています。

ナスの根元にひっそり咲くのはマリーゴールド。
コンパニオンプランツと言って、一緒に育てることで害虫駆除などに一役買うといいます。

農業をしていて一番苦労することは?の問いに
「販売をしていくことが大変ですね」と語った寺町さん。
続けて、「それでも収穫の時はやはり一番幸せです」と笑顔で答えてくれました。

「地元の人に食べてもらいたいので、基本は自分で配達できる範囲の方がお客様です。
また、無農薬栽培をしている仲間もいるので、一緒に朝市などもできたらいいと思います」と語る寺町さん。
(希望があれば宅配もしているそうです。)
冬は猟をするのも夢…とのことで、就農4年目の若者の夢は無限に広がります。

日本の食糧自給率は40%(※カロリーベース)。
その中でも、無農薬有機栽培となるとほんのわずか。
しかし食の安全や、環境に配慮した生活をしたいと願う人は増え続け、
無農薬有機野菜を毎日の食卓にと思う主婦はたくさんいます。
欲しくても手に入り難いため、通販でこういった農作物を購入する人が激増していますが、
できれば地元の農作物を食べたいのが、本音ではないでしょうか?

地元の無農薬有機栽培の野菜や米を食べる人が増えれば、
生産量や生産者も増え、「地産地消」がもっと身近なものになるでしょう。

商品情報

■朝採り 旬の野菜セット
・Sセット(小家族用) ¥1.500~
・Mセット(中家族用) ¥2.500~
・Lセット(大家族用) ¥3.500~
※表示価格は、目安です。
※送料は300円(畑から30分圏内、毎週火・金曜日に配達)
※その他地域はヤマト運輸にて配送。

■大地飼い 自然卵
・1パック(10個) ¥420
※現在品切れのため予約受付中

■岐阜美濃米 初霜
・玄米 4.5kg ¥4.200(2010年収穫)
・白米 4.5kg ¥4.300(2010年収穫)

編集員のココがオススメ!

「寺町畑」の寺町さんは、大学を卒業して4年目の若者ですが、物腰がやわらかくお話をしているだけでも誠実さがにじみ出てくる…そんな方でした。実は個人的に通販でここの野菜を頂いているのですが、寺町さんの人柄があらわれているかのような、自然でありながらしっかりとした味のある野菜です。地元で寺町さんの野菜を食べる人が増えて欲しいと心から願いつつ、今後も応援したいなと思いました。

(武藤花緒理)

店舗情報

店舗名 寺町畑
農主 寺町大円(てらまちまどか)
プロフィール 1986年生まれ。
岐阜農林高校生物工学科を卒業後、京都精華大学人文学部環境社会学科を卒業。
その後、岐阜に戻り百姓を始める。
住所 岐阜県山県市西深瀬208番地1
お問い合わせ・ご注文 下記E-mailアドレス、又はホームページよりお願いいたします。
E-mail acodam@live.jp
URL 岐阜美濃 寺町畑

2011年6月26日現在の情報になります。

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