名古屋市の中心部から車で一時間半ほど。現在の豊田市(旭地区)にある、
NPO法人都市と農山村交流スローライフセンター。
ここでは、都市と農山村の交流を通じて、都市に住む人に、山や森の大切さ、
自然の素晴らしさを知ってもらうと共に、田舎の人にも山や森の価値を再認識してもらうこと。
そして、地域を元気にするための様々な活動を行っています。
NPO法人都市と農山村交流スローライフセンターが活動する農山村地域では、
長年放置されてしまった人工林が多くあります。
これは、戦後木材の需要にあわせて植えられた木材が、
その後、海外から輸入される安価な木材に押され、市場価値がなくなってしまったこと。
また林業の担い手が減少したことなどにより、
間伐などの必要な管理がされず、放置されてしまったことによって起こった問題です。
混み合ったままで、細く伸びてしまった木ばかりの暗い森では、
多様な植物が育たず、災害によって大きな被害を起こす可能性があるため、
独自の対策を行ったり、時には行政と連携してこの森林の問題に取り組んでいます。
そんな中、始まったのが、「木の駅プロジェクト」です。
これは、伐採した木材を、軽トラック1杯(0.5トン)から買い取り、
スギ・ヒノキのチップ材として業者へ販売するというもの。
支払いは、この旭地域でのみ使用できる「モリ券」という地域通貨です。
木材はどんな大きさでも受付てもらえることから、参加もしやすく、
元気なシニアの方も積極的に協力してくださっているようです。
「軽トラック2杯で6000円。そのうち半分の3000円は実はNPOが支援しています。
それでも、労働の対価として考えれば、ぜんぜん足りない金額。
でも、山主さんたちが、少しでも山へ目を向けることができたら。
モリ券で、晩酌したり、孫におこづかいをあげたり。
みんなから感謝される取り組みになるよう行っていきたい」
この取り組みは、森林問題に対する解決への一歩としてもそうですが、
なにより山主の方自身が、もう一度山に目を向けて、
先祖から受け継いだ山の山主であることを誇りに思えること。
また、誇りを持って山と関わってもらうことを目指していると、山本さんは話します。
木の駅プロジェクトのほかにも、都市に住みながら、
農山村に暮らしたい・自給的な暮らしがしたいと考えているIターン希望者や、
田舎での生活を体験したいと考えている方にたいして、様々な講座を開催しています。
その中のひとつ「足助炭やき塾」では、足助町の炭焼き名人の梶誠さんの指導の下、
森に入り木材を伐採するところから、炭が焼けるまでの一連の作業を、
省略することなくすべて学ぶワークショップを行います。前回は30名ほどの受講生が集まりました。
田舎に住む人にとっては、日常的な風景であっても、
都会に住む人にとったら、とても魅力的なものが田舎にはたくさんあります。
都市と田舎が交流することで、田舎の価値が再認識され、田舎の人が元気になる。
そんな、循環を、森に対する取り組みを通じて作っていきたいとお話くださいました。
お話を聞くだけで、ワクワクするような取り組みがたくさん行われているNPO法人都市と農山村交流スローライフセンター。参加するときは、自分なりのテーマを持って関わるとより深いものが得られるのでは?とのこと。
(菊池有美子)
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団体名 | NPO法人 都市と農山村交流スローライフセンター | 住所 | 〒444-2816 豊田市杉本町三斗成1-3 |
TEL/FAX |
TEL&FAX:0565-68-1113 MOBILE:090-5453-6411(代表 山本) |
URL | 都市と農山村交流スローライフセンター |
2010年2月4日現在の情報になります。