東京のホテルオークラのメインダイニングで25年ほど腕を磨いたご主人が、
奥様の故郷である愛知県東海市に店を開いたのは今から15年前のこと。
敷居が高いと思われがちなフランス料理を身近な食材を使い、リーズナブルな値段で、
子どもからお年寄りまで気軽に楽しんでもらいたいと始めました。
お店は東側が大きく開けた小高い丘の上にあります。
フランスの田舎家を思わせるしゃれた造りの建物は、15年も経ったとは思えないほどきれい。
一度改装したという店内も、広くとった窓から光がたっぷりあふれる居心地のいい空間です。
ピノの料理の特徴は野菜がたっぷりなこと。1コースに使われる野菜類は30品目以上。
その多くは、お店の裏手から東斜面にかけて広がる自家菜園で育てられています。
和野菜から西洋野菜、ハーブ、果物など、驚くほどたくさんの作物が植えられ、
中にはフランスに行った際に種を買ってきたものもあるとか。
奥様の聡美さんが菜園を案内してくれました。
赤大根の苗を引き抜いて「間引きしたものも無駄無く使います」。
バジルの白い花を指で揉んで「ほら、良い香りがするでしょ。
うちでは、お花も立派な食材です」と教えてくれました。
作物はすべて無農薬だから安心。摘みたての野菜やハーブ、果物がその日の料理に活かされます。
また、菜園にないものは地元の農家から仕入れています。
味は変わらないのに出荷できない規格外の作物を活用することで、
農家にも喜ばれ、料理の価格を低く抑えることもできます。
魚介類も地元産。奥様の実家が寿司店を経営されている関係で、
上質の材料が手に入るそうです。
「菓子職人は音楽家、料理人は画家にたとえられることがあるんですよ。」と
オーナーシェフの佐々木勝彦さん。店では白い皿しか使わないといいます。
その言葉の意味は、運ばれてきた料理を見て納得です。
どれもこれも色鮮やかで、絵のように美しい!
オードブルは「地元でとれたイチジクとパルマ産生ハムのサラダ」です。
甘いイチジクと生ハムの塩味に、たっぷり盛られた野菜のハーモニーが絶妙。
菜園育ちのアサツキでつくった緑色のソースが、さわやかな風味を添えています。
メインディッシュはふっくらと身の厚いスズキのグリエ。
「師崎でいいのがあがったよ」という連絡が入り決まったメニューです。
そしてデザートは、定番となっている「みかんのクレープ レモングラスソルベ」。
みかんソースに浸されたあたたかいクレープと、
冷たいシャーベットの二層の甘味が口の中で解け合います。
香り付けのレモングラスはもちろん、菜園で採れたもの。
自家製の旬の野菜や地元の素材を豊富に使った料理は、
どれもヘルシーで美味しいと、女性や高齢の方々にも大好評。
地元はもちろん、遠方から通ってくるお客様も多いので、ぜひ予約をしておでかけください。
メニューはコース料理のみの4種類。
●Aコース(ランチのみ)2,625円
オードブル、スープ、魚か肉の料理、デザート、コーヒー
●Bコース(ディナーのみ)3,675円
オードブル、スープ、魚か肉の料理、デザート、コーヒー
●Cコース(ランチ&ディナー)5,250円
オードブル、スープ、魚料理、肉料理、デザート、コーヒー
●Dコース(ディナーのみ)8,400円
オードブル、温かいオードブル、スープ、魚料理、肉料理、デザート、コーヒー
AとCはランチコース。B、C、Dがディナーコース。料理は季節に合わせて変わります。
好み等の要望は、予約の際にお伝えください。
見晴らしのいい高台に建つ「ピノ」。朝は「窓からサンサンと差し込む朝日にパワーをもらっています」と奥様。また夕方も「美しい夕焼けの日は、東の空もバラ色に照り映えて、それはそれはきれい」。ただ、営業時間外のできごとなので、お客様に見ていただけないのが残念だといいます。でも、そんな「場」の持つ幸せな「氣」も、ピノさんの料理には入っているように感じました。
(宮内京子)
|
住所 | 〒477-0032 愛知県東海市加木屋町唐山105-2 |
アクセス |
【車でお越しの方】 大府東海ICより約10分、湾岸東海ICより約15分 【電車でお越しの方】 |
TEL/FAX | 0562-35-2190 |
営業時間 |
ランチ 11:30~13:30 ディナー 18:00~19:30 |
定休日 | 月曜日(平日夜不定休)※要予約 |
座席数 | 20席 |
駐車場 | 15台、大型車可、マイクロバス可 |
2010年10月28日現在の情報になります。