“栗きんとん”を中心に和洋菓子の製造販売を行う「恵那川上屋」、
そのおいしさは素材となる丁寧に育てられた栗があってこそ。
今回、「恵那川上屋」のお菓子の素材となる栗を育てている栗畑に案内して頂きました。
収穫時期を間近に控えたたくさんの栗が、夏の空の下元気に実を輝かせていました。
もともと「恵那川上屋」では各地から栗を仕入れて商品の製造を行っていましたが、
「原点に帰ろう」と言う想いから、
15年前に地元の栗農家と契約栽培をスタートし、この取組みが大きく育ちました。
やがてJAの栗振興協議会の特別部会として「超特選栗部会」が設立され、
他地域との差別化、また栗の高品質化を目指した体制の確立が行われました。
現在は栗きんとんのために地元で開発された品種・胞衣(えな)、
金華(きんか)を始め、11種類の栗が栽培されているのだそうです。
栗の素材として一番大切なのは「風味」。
でんぷん質の豊富な密度が濃い栗のみを選別し、
「風味」の高い栗を育てる高い栽培技術を用い、丁寧に育てられています。
地元で栗を育てることにより、その日のうちに加工が可能な事から、
風味をしっかりと残した新鮮な栗を使用することができ、
その結果、地域ブランドとしての「超特選恵那栗」を使った
「恵那川上屋」の栗きんとんが愛され、そして現在もその味は受け継がれています。
現在5年目を迎える、農業法人恵那栗副代表の伊藤さんが手掛ける栗畑。
元は花木業者が庭木を育てていた場所などを更地にし、栗畑として利用しています。
「栗の木は植えてから3年目までの枝作りが重要です。」と語る伊藤さん。
始めは肥料を使わず、木のくずなど有機物を入れることでゆっくりと分解させ、
まずは根をしっかりと育てることが大切なんだそう。
成長の段階で枝を横に広げ伸ばすことで栄養が下まで行き届き、
根がしっかりと太く育ち、栄養や水分の吸肥力が上がり、
栗の木の良い成長に繋がるのだそうです。
「良い栗の木を育てるために”土づくり”にもこだわってきました。」
伊藤さんの栗畑にはたくさんの草が生えており、
この草が夜露を取る役割を果たし、栗栽培に必要な水分を土に確保でき、
さらにこの水分によって、土の中に微生物が生きている状態を保つことができるのだそうです。
「私たちは育てている栗のことを和栗(日本の栗)と呼んでいるのですが、
同じ想いを持った人たちと大きなグループとして、栗仲間として、
一緒に栗を育て広げていけないかと考えています。」
傾斜地に育った栗の木の再生を行う四国の四万十町、
北海道初の栗栽培にチャレンジする北海道の栗山町など、
培ってきた栗栽培の技術を教え、新たなる栗の産地としての開発を行っているとのこと。
これまでは積極的に行われていなかった栗栽培も、
伝達した技術によって発展し、さらに新しい品種の発見にも繋がっているのだそうです。
「失敗が経験に変わり、そして新しい技術の発見に繋がります。
気候がどんどん変わってきている今、
これまでの栽培方法が必ずしも適しているとは限りません。
基本は守りながら、それぞれの気候に合わせたやり方を考えていきたい。
そのためにはまず育ててみて、挑戦してみることが大切ですね。」
伊藤さんの熱い想いが尽きることがありません。
実際に栗の木を間近で見たのは今回が始めて。今年は特に良く実が付いているそうで、たわわに実る栗の元気な姿がとても印象的でした。そんな栗の実や栗の木を眺めながら、栗への熱い想いを語る伊藤さんの笑顔が今でも忘れられません。現在は若木の段階の伊藤さんの栗畑も、これから本格的な収穫の時期を迎えるのだそう。収穫された栗を使った商品が世に出る日はもうすぐです。
(神戸夕香)
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会社名 | 株式会社 恵那川上屋 |
住所 | 〒509-7201 岐阜県恵那市大井町2632-105(本社・恵那峡店) |
TEL/FAX |
TEL:0573-25-2470 FAX:0573-25-6583 |
URL | 【栗きんとん・栗菓子】恵那川上屋ホームページ |
2010年8月20日現在の情報になります。