「桑名の殿様志ぐれで茶々漬け」と民謡でも歌われてきた桑名の名物・志ぐれ蛤は、
お弁当の定番、おにぎりの具にも最適です。
桑名にある総本家貝新 新七商店本店におじゃましました。
店内にはディスプレイ用の大鍋が火にかけられ、たまりの煮えるいい匂いが立ちこめています。
これは「熟成たまり」といって、志ぐれ煮を製造した後の貝の旨味と滋養成分を含んだ
「元(モト)だまり」に「「生引き(キビキ)たまり」を入れたもの。
「生引きたまり」は鈴鹿山系の蒸留水で仕込み、1年以上天然醸造させたこの地方独自のたまり醤油。
「元だまり」は創業元禄元年(1688年)から、受け継がれてきたというから驚きです。
蛤・あさり・しじみなどの志ぐれ煮は、この熟成たまりを使った
浮かし煮という製法でふっくらと炊き上げられます。
また、新春、白魚漁の解禁とともにつくられる蓋あけ白魚紅梅煮は、期間限定の名産品。
揖斐川の河口で水揚げされた白魚を生引きたまりのみで炊き上げたもので、
くねくねと曲がった動きのある仕上がりは、獲れたての白魚の証。
ひとつまみいただいてみました。煮魚の旨味が凝縮したような味わいで酒の肴にも合いそう。
お値段は張りますが、毎年、楽しみにしているお得意さんがいるというのも納得のおいしさです。
ただ、昔に比べ志ぐれ煮に使われる貝類の漁獲量はめっきり少なくなってしまったといいます。
「特に揖斐・長良川河口堰ができてからは激減してしまいました」と話すのは、新七商店専務の伊藤令子さん。
「森が荒れていることはかなり知られていますが、海の中もひどい状態です。
みなさんにもっと関心をもっていただけるといいのですが」という言葉に、
自然環境と食文化の密接な関係を痛感させられる取材となりました。
貝類の志ぐれ煮をはじめ、昆布や椎茸、ちりめんじゃこなどでつくられた商品は、たまりがしっかり染み込んで、それ自体、調味料としても使えて便利。あっという間に1品増やせる簡単レシピをご紹介しましょう。「ちりめん山椒とピーマンの炒め物」は、サラダ油でいためた千切りピーマンに、ちりめん山椒を混ぜるだけ。「タケノコの椎茸昆布煮」は、鍋に薄切りにしたタケノコと椎茸昆布を入れ、ひたひたになるまで水を入れ、煮詰めるだけ。お弁当のおかずにいかがですか? (宮内京子) |
URL総本家貝新新七商店
住所 | 〒511-0079 三重県桑名市有楽町57番地 |
アクセス | 近鉄・JR「桑名」駅東口から徒歩5分 |
TEL/FAX | TEL:0594-22-0440 フリーダイヤル:0120-490987 FAX:0594-22-6390 |