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棚田の風景を
次の世代に伝えたい
2016.07.25 更新

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白川町の佐見地区にある「くわ山結びの家」から車で15分ほど山を登ったところに開けた室山集落。標高差50メートルの間に茶畑と棚田が広がる、のどかな風景に心が和みます。室山の棚田で有機による米作りをしている、椎名啓さんと紘子さんご夫妻にお話を聞きました。

縁あって有機の里、美濃白川へ

「子供の頃の夢は自給自足で、進路として林業も考えましたが、あまりに男男した世界で即諦めました。大学では農山村の歴史に興味を持ち、社会に出てからも地域の活性化に関わるような活動をしてきましたが、まさか自分が移住して農林業に携わることになるとは思っていませんでした」と紘子さん。「僕は祖母の家が田舎で、春にはタケノコ掘りをしたり、夏休みには家の前の川で遊んだり、獲ってきた魚や原木栽培のしいたけを焼いて食べたりしていたので、ここでの暮らしは肌に合いますね」と啓さん。
「器用で好奇心旺盛な夫と私の思いが合わさって、今ここにいるのかなと思います」。
1年近く移住先を探す中、「オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村」(名古屋市中区栄で毎週開催)で「ゆうきハートネット」を紹介されたことがきっかけで、白川町を候補地に決めたそう。二度目の訪問で、有機で米作りをして20年になる中島克己さんと地区内を回り、借りられる空き家と田んぼが見つかったこともあって、とんとん拍子に話が進んだと言います。「中島さんには移住前からお世話になっていて、人との縁が大事だとつくづく感じています。うまくいかない時にも相談できますし、心強いですね」。
移住して4年目になる椎名さん。1年目は3反の田んぼからスタートし、2年目に10枚の棚田が加わり、3年目は2反増え、4年目の今年は9反の田んぼと棚田で米を作って、ほかに蕎麦、豆、原木しいたけなどを栽培し、米の収穫が終わった秋から6月の田植えまでの間、「オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村」で販売しています。

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椎名啓さん、紘子さん、凜ちゃんの一家。「この風景が好き」と言います

棚田との出会い

棚田で米を作るようになったのは、偶然の出会いから。「1年目に新たな田んぼを探していたものの思うように見つかりませんでした。大型機械の入る条件の良い田んぼは借りられないので、急峻な谷に沿って広がる限界集落と聞いていた室山はどうかと、中島さんに相談したところ、『後継者のいない田んぼがあるのでやってみるか』と、種まきが始まるギリギリの3月に借りることになりました」。
棚田での米作りは、特有の技術も必要で最初は苦労したそうです。「棚田で大変なのは水の管理ですね。田の水持ちを良くするための畦切りと畦塗りが特に大変です。畦から水が抜けないよう専用の鍬で畦に泥を塗っていく作業ですが、これがとても大変です。でも、この景色の中で黙々と作業するのは気持ちが良いですよ。水は隣の谷からホースで引いていますが、ホースが詰まったり、水量を調節するための排水マスにゴミがたまったりするので、掃除が欠かせません」と啓さん。今はあまりやられなくなった昔ながらの作業ですが、先人達の計り知れない苦労を少しだけ感じることができると言います。

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水を張り、田植えの準備が整った棚田


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田植えが終わり、緑色に染まった棚田の美しい風景


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稲穂が実り、黄金色に輝く秋の棚田も美しい

棚田で米を作り続けるために

棚田は全部で10枚あり、広さは2反ほど。手押しの機械と手作業が中心です。「人の手が頼りということもあり、友人知人に声をかけ、田植えと稲刈りを体験してもらうイベントを行っています」。今年の田植えには3日で述べ40人訪れたと言います。
「移住先を探しているとき、荒れ果てた田畑や集落を多く目にしたので、この美しい風景を維持したいという思いがあります」と紘子さん。体験イベントでは棚田やその周辺を保全する意味や集落の現状などについても話をするそうです。「棚田で米を作ることは自分たちが農業に取り組む上でのモチベーションになっていますね。300年以上も前の石垣が残っているのは、すばらしいと思いませんか」。
「田畑を保全すると同時に、初年度から罠猟の免許を取って狩猟もしています。昔ながらの狩猟文化を肌で感じたいという興味本意からでしたが、今は地域の獣害を減らすことも大きな目的になり、集落内で頼まれるようにもなりました」と啓さん。
「昔からこの地に住んできた人たちは、ここにある資源を生かして暮らしを営んできました。私たちもこの棚田をできるだけ長く続けられるように、昔ながらの暮らしに学びながら私たちの暮らしを作っていきたいです。田植えや稲刈りに来てくれている子どもたち(もっぱら遊び担当ですが)が、また来たい!と思ってもらえるように体験プログラムを作り、棚田で実践できたら」と紘子さんの夢は広がります。

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体験イベントで訪れた人たちの手も借りて棚田の田植えが行われます


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刈り取った稲を天日乾燥する「はざ掛け」は大変な作業ですが、お米が美味しくなります


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300年前のものとは思えないほど、堅牢な造りの石垣

2016年6月17日取材時の情報です。
ライター:田中マリ子

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