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全国一の生産を誇る、知多半島のフキ
2016.02.01 更新

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香り高く、独特の風味を持つフキは、春の訪れを感じさせてくれる野菜のひとつです。食用としての歴史は古く、平安時代から食べられていたそう。全国一のフキ産地である愛知県知多半島では、10月から4月にかけて特産の「愛知早生フキ」を出荷しています。

全国一のフキ産地

愛知早生フキの集荷が行われている、愛知県東海市のJAあいち知多東海営農センターを訪れ、JAあいち知多広報担当の江端剛さんにお話を伺いました。
「全国で栽培されるフキのほとんどは、東海市で生まれた『愛知早生フキ』です。今から200年ほど前、知多半島の加木屋村(現在の東海市加木屋町)の庄屋さんの家で、代々栽培されていたものが始まりと言われています。愛知県では知多半島を中心に明治時代中頃から栽培が盛んになり、現在、県の伝統野菜に指定されています」。

JAあいち知多管内のフキ生産者は74名で、平成25年度の生産量は約80万ケース(1ケースあたり4kg入り)。愛知県の生産量のほとんどを占め、JAあいち知多は現在、全国最大の産地です。
野生のフキの場合は通常4月頃が収穫時期ですが、知多半島では10月から翌年5月にかけて収穫を行っています。出荷のピークは1月後半から4月にかけて。

「知多半島ではビニールハウスで保温して、2月初めから5月まで収穫する『春フキ(促成栽培)』と、根株を一定期間冷蔵して夏に植えることで、フキに春が来たと思わせて成長させる『秋フキ(抑制栽培)』、この2つの栽培方法を組み合わせて、7ヶ月という長期間の出荷を可能にしています。
実はフキの食用となる長い部分は、茎ではなく、葉柄(ようへい)だということをご存知でしたか? 葉柄は葉と茎を結ぶ部分で、フキの茎と根は土の中にあるんですよ」。

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葉の部分が大きく、食用となる部分の葉柄がきれいな淡緑色をしているのが、愛知早生フキの特徴

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幅の広い専用のフィルムシートで巻き、箱に詰めて出荷します。マルに「知」のマークが知多半島産の目印。これは2Lサイズのもので、長さは115センチあります

手作業による出荷

フキは長く折れやすいので、畑での収穫と出荷作業はすべて手作業で行います。収穫したフキは生産者が規格別に束ね、専用のフィルムシートで巻いて箱詰めし、収穫翌日の午前11時頃、集荷場である東海営農センターに持ち込まれます。

フキの選別基準は2Sから3Lまでの6階級があり、長さにより階級が決められています。集荷場では専任の検査員が抜き打ちで箱詰めを開封し、形状は適切か、折れや汚れが無いかなどを厳しくチェック。検査に合格したフキは鮮度を保つためその日のうちに、関東、関西、中京の各市場へ出荷されます。

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生産者さんがそれぞれトラックで集荷場に持ち込みます。多い時は一日1万ケースのフキが届きます

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検査員が納品されたフキを出荷規格に適しているか、チェック中

歴史ある産地として

生産者による出荷組織、「知多園芸振興協議会 春野菜 ふき部会」部会長の小野勝俊さんにお話を伺いました。小野さんはフキ農家の三代目として、東海市でフキとタマネギ、コメを作っています。
「愛知早生フキは、『風味と香りがよくてやわらかく、格段に美味しい』と市場でも高い評価を頂いています。知多は歴史のあるフキ産地ですから、この伝統をつなげて次の世代に渡していくのが私たちの役割だと思っています」。

ふき部会とJAあいち知多では、高品質のフキを消費者に届けるため、生産履歴の記帳とトレーサビリティの実施、残留農薬の自主検査など、食の安全安心に関する検査体制を整えています。
また、もっとフキを食べて知ってほしいと、スーパーでの試食販売をしたり、レシピを掲載したリーフレットを作成配布するなど、フキの魅力を伝える活動にも取り組んでいます。
最近では次世代を担う若手生産者で組織された「フキ技術研究会」も、新品種の研究や「あいちそだち」*の取り組みへの参加、新しい栽培技術の導入など、積極的に活動しています。
これからちょうど旬を迎える愛知早生フキ。スーパーなどで見かけたらぜひ購入して、伝統の味を楽しんでみてください。

*あいちそだち…JAあいち経済連(JAあいちグループ)による、青果物の生産履歴をインターネットで確認できるシステム

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知多園芸振興協議会 春野菜ふき部会長の小野勝俊さん

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大正時代に使われていた知多半島産フキの販売促進ポスターの図案を生かし、新しく作ったパンフレット。フキを背負った恵比寿様がPR役です

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フキの集荷場、JAあいち知多の東海営農センター

2016年1月20日取材時の情報です
ライター:梅田美穂

お問い合わせ
施設名 JAあいち知多  知多営農センター
住所 知多市三反田3-6-1
TEL 0562-35-1551
営業時間
定休日
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