中部を動かすポータルサイトDochubu

トップページ 今月の特集 地元食を旅する DoChubuピックアップ アーカイブ

DoChubu

【保存食特集】創業から続く伝統を守り続ける「養肝漬 宮崎屋」
2011.01.01 更新

現代の食卓では、たくさんのおかずが並ぶ風景が当たり前の事かもしれませんが、
ご飯が主食だった江戸時代頃は、お味噌汁とお漬物というシンプルな組み合わせが一般的だったそうです。
そんな中今回は、ご飯と一緒に是非頂きたいお漬物「養肝漬」を製造販売されている
三重県伊賀市の「養肝漬 宮崎屋」を訪れました。

(左)「養肝漬 宮崎屋」の外観。(右)店内の様子。たくさんの商品が並んでいます。

慶応元年に創業し、醤油の醸造から始まったという「養肝漬 宮崎屋」は、
現在の代表取締役社長 宮崎慶一さんで6代目となります。
明治以降は、醤油を使った漬物などの加工品に移行していったとのこと。
現在も醤油を使った漬物、そして佃煮などの商品を手がけています。
趣のあるお店の入り口をくぐると、「養肝漬 宮崎屋」こだわりの商品がたくさん並んでいました。

ご飯はもちろん、さまざまな楽しみ方ができる「養肝漬」

伊賀盆地特産の白瓜の芯を抜き、中にしそ、生姜、大根、胡瓜などを細かく刻んだ物が詰められています。

おかゆなどと一緒に頂くのもおすすめです。

「養肝漬」という名前は、藩主藤堂高虎が陣中に食料として常備し武士の志気を養う、
“武士の肝っ玉を養う漬物”というところから命名されたのだそうです。
「保存食」、また「ご飯をいかに美味しく食べられるか」という漬物の使命を果たした漬物として
長年親しまれ続けています。

鉄砲に火薬を詰める姿から名付けられた「鉄砲漬け」という製法で作られている「養肝漬」は、
白瓜の中をくり抜き、中にしそ、生姜、大根、胡瓜などを細かく刻んだ具材を詰め、
たまり醤油にて2年漬け込まれています。
瓜は伊賀の契約農家で採れた地場産の瓜を使用しているのだそうです。

「夏バテしている時でも、「養肝漬」と一緒ならご飯が食べられますよ。
さっぱりとしたお茶漬けでもおすすめです。」と社長の宮崎さんは話してくれました。

2年の古漬け(昔味)の他に、少し薄味の1年漬けのもの(新味)も販売されていますので、
「養肝漬」が初めてという方には1年漬け(新味)から味わってみてもよいかもしれません。

受け継がれてきた木製樽で作り続ける「養肝漬」

明治時代から現在まで変わらず使用されているという木製樽。

手前に見えるのが白カビ。おいしい「養肝漬」が完成するにはこのカビが命なんだそう。

案内して頂いたのは「養肝漬」を漬けている漬け蔵。
ひんやりとした蔵の中には、大きな木製樽がいくつも並んでいました。
なんと、明治時代に作られたという木製樽を今でも変わらずに使用しているのだそうです。

製法としては、まずは瓜を塩漬けに。
次に塩度が20%になった瓜を木製樽に醤油と一緒に入れ、本漬けを行います。
その際の醤油の塩度は7〜8%。瓜の塩度がいかに高いかが分かります。

「塩分の違うもの同士を混ぜ合わせると、塩分が濃い方から薄い方に吸い取られてしまうんです。
瓜の塩分が醤油に移動し、醤油は瓜へ入っていきます。
醤油は徐々に塩辛くまた醤油に味がなくなったら新しいものに替える、という作業を繰り返し、
その間に蔵に住んでいる独自の菌により発酵が進み、
2年漬け込むことで「養肝漬」が完成します。」と宮崎さん。

木製樽を使った製法はどうしても手間や時間がかかってしまうそうですが、
「養肝漬」が人々に変わらず愛され続けているのは、
代々受け継がれてきた技術と独自の菌をしっかりと守り続けているからこそではないでしょうか。

伝統を一本通す、踏み外さないという信念

6代目を務める、代表取締役社長の宮崎慶一さん。

「高齢化が進んでいるという時代の流れもあり、現在瓜の生産量が落ちてしまっています。
そこで今後「養肝漬」の技術が次世代に繋がっていくように
三重大学の先生に監修してもらい、技術などの調査を2010年の夏から行っています。」

春には伊賀市で「忍者フェスタ」、さらに秋にもお祭りが開催されるそうで、
「養肝漬 宮崎屋」では毎回、「養肝漬」をご飯にまぶし醤油で焼く焼きおむすびを販売。
さらにおむすびを買った人には、漬物バイキングが付いてくるということもあり、
毎回とても人気を呼んでいるのだそうです。

「毎回来てくれる常連さんもいらっしゃいます。
イベントなどをきっかけとして若い世代の人たちにも「養肝漬」を知ってもらい、
普段なかなか漬物に縁がない人たちにも漬物の魅力を伝えていければと思っています。」

新しいアイデアを取り入れるなど、時代によって伝統の伝え方は変化しても、
「養肝漬 宮崎屋」は、”伝統を一本通す、伝統を踏み外さない”という信念を守り続けています。

編集員のココがオススメ!

kanbeyuka_150 イベントで販売されているという焼きおむすび、お話を聞いているだけで食欲が湧いてきてしまいます。是非食べてみたいですね。「養肝漬 宮崎屋」では、漬物や佃煮の他に、醤油の新しい食べ方として、自家製の醤油とバニラアイスで作ったアイスクリームを販売しています。キャラメルフレーバーや、きなこのようでとても食べやすく、お店でしか食べることはできない貴重な限定のメニュー。お店に訪れた際には味わってみてください!

(神戸夕香)

醤油を材料にしているとは思えない、とても食べやすい味です。特に女性の方におすすめ!

店舗情報

店舗名 養肝漬 宮崎屋(ようかんづけ みやざきや)
住所 〒518-0869 伊賀市上野中町3017
アクセス お車にて:名阪国道上野ICより上野市街方面へ5分
電車にて:近鉄伊賀線上野市駅より徒歩5分
TEL/FAX フリーダイヤル:0120-21-5544
TEL:0595-21-5544
FAX:0595-21-9625
営業時間 8:30〜19:00
定休日 1月1日
駐車場 6台(無料)
カード VISA、DC、マスター
URL 養肝漬 宮崎屋

2010年12月10日現在の情報になります。



 

▼お店の場所を見る

トップに戻る
トップに戻る