薬草の里として知られる、岐阜県揖斐郡揖斐川町春日地域。ここに薬草湯と食で、薬草の魅力を体験できるところがあると聞き、行ってみることに。「かすがモリモリ村リフレッシュ館」を訪ねました。
JR名古屋駅から電車に乗り、約30分でJR大垣駅に到着。ここでローカル線の養老鉄道に乗り換え、さらに約30分の電車旅で揖斐駅にたどり着きます。ここから地域のコミュニティバスで山道を揺られること約30 分。
ようやく到着した春日地域は伊吹山の東側の山間にあり、緑豊かな山々と澄んだ水の流れる川に囲まれた、自然豊かで美しい場所でした。
「かすがモリモリ村リフレッシュ館(以下、モリモリ村)」で迎えてくれたのは、施設職員の藤原利男さん。「施設がオープンしたのは平成9年4月で、今年18年目になります。地域の資源である薬草を生かし、村おこしの一環として建てられました。薬草風呂、レストラン、売店のほか、地域住民のための診療所なども併設しています」。
古くから薬草の里として知られる春日地域(旧春日村)は、平成17年の市町村合併で揖斐川町の一部になりました。面積の96%は山林で、大垣市とほぼ同じなのだそう。
「春日は山深い場所のため昔はお医者さんもおらず、民間療法として薬草が活用されてきました。僕も子供の頃、お腹が痛い時はゲンノショウコを煎じたものを飲まされたものです」と藤原さんは懐かしそうに話します。
この地域では古くから自生する豊富な薬草を、食用や飲用、入浴用などに活用し、独自の薬草文化を育んできました。50〜60種類の薬草を生活に取り入れてきたと言われています。採取した薬草は、人力による厳しい山越えで里に運ばれ、貴重な収入源になりました。明治中期には年間約7.5トンもの薬草が生産され、滋賀、京都、愛知、静岡などに出荷。薬草は、春日の人々にとって重要な産業資源でもあったんですね。
春日地域の古屋地区には今なお薬草専門の農家さんがおり、モリモリ村で使う薬草を届けてもらっています。その薬草を使った薬草風呂へ案内してもらいました。
天井が高く広々とした浴室に入ると、温かな湯気からふわ〜っと薬草のいい香りが漂います。浴槽の中には布の袋が浮かんでおり、これが薬草湯のもと。
中には、トウキ、ゲンノショウコ、ドクダミ、ヨモギ、クロモジ、ウツボグサ、キハダ、ナギナタコウジュ、シシウド、イブキジャコウソウ、カワミドリの10種類の薬草が入っています。
「多く入っているのはトウキ。身体を温めて婦人病によいとされます。ゲンノショウコは整腸強壮や湿疹などに効能があるといわれていますね。よい香りのもとは、カワミドリです」。
モリモリ村には薬草園もあり、薬草と薬木を約100種栽培。その多くが伊吹山に自生する薬草です。斜面を利用した薬草園の通路を散策しながら見学することができます。
また毎月一回、薬草教室を開催。岐阜薬科大学の水野瑞夫先生を講師として、薬草に関する知識や使い方などを学ぶことができます。薬草の観察会や、藍染め体験、薬膳料理の実習など、楽しく薬草の知識を身につけられると好評です。
併設のレストランでは、薬草を使ったメニューが味わえます。「薬膳の五行の考えを取り入れ、地元産の新鮮な野菜や薬草を使ったヘルシーメニューを心がけています。健康維持に役立つ薬膳料理を、気軽に食べていただけたらと思います」と料理長の加納誠さん。
メニューの中で人気なのが、いろんな薬膳料理を定食で楽しめる「モリモリ膳」と「春日膳」。クチナシで染めた豆腐、ヨモギ入りダシ巻き玉子、高麗人参の天ぷらなど、薬膳のエッセンスを取り入れた料理が、にぎやかにお膳に並びます。
お土産コーナーでは、地元の農家さんから届く新鮮な野菜や、春日地区特産の無農薬栽培の春日茶などを販売。
薬草風呂に入って、薬膳料理を味わい、春日の豊かな自然も楽しみながら過ごせるモリモリ村。電車旅はもちろん、ドライブでのお出かけ先にもおすすめです。
2015年4月17日取材時の情報になります。
ライター : 梅田美穂
施設名 | かすがモリモリ村リフレッシュ館 |
住所 | 岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合3429 |
TEL | 0585-58-0001 |
営業時間 | 10:00〜21:00(レストランは8:00〜20:00ラストオーダー) |
定休日 | 水曜定休(祝日の場合は翌日休) |