自分の食べ物はできるだけ自分でつくろうと、4年前に発足した四日市里山クラブ。
30代~60代までの多彩な経歴を持った男女が集まり、三重県を代表する工業都市・四日市市郊外の休耕田で、農的ライフワークを楽しんでいます。
「四日市里山クラブ」のホームグラウンドは、四日市市北部の大鐘町にある450坪(約1,487㎡)の畑。取材当日は見事なまでの快晴。はるか彼方に雪を頂いた鈴鹿の山並みがくっきりと見えました。畑ではブロッコリーやタマネギなどが元気よく育っています。
この日の出席者は代表の久保田領一郎さん、副会長の古川勝敏さん、事務局の寺本佐利さん、会員の川合延雄さん、美里けんじさん、そしてメンバーに加わってまだ1ヵ月足らずの松村さん。ほぼ全員がリタイヤするまで畑仕事とは縁のない生活をしていた人ばかりです。畑の片隅にはメンバーによる手づくりの農作業小屋があり、テーブルには可憐な野の花が飾られています。
「鈴鹿の山を見ながら耕作するのは至福の時間。こんなこと都会では絶対に味わえないよ」と口々に言うメンバーたち。とはいうものの、時には農業とは関係のない時事ネタで盛り上がることもあるそう。リタイヤ後にのんびりと畑仕事を楽しむだけが目的という会でもなさそうです。
さしずめ、最近のベストセラー「里山資本主義」の四日市版というところでしょうか。
「四日市里山クラブ」は、四日市大学内に事務局を置いていたシニアの人材バンク「人財ポケットよっかいち」の環境部会有志たちによって結成されました。
現在、メンバーは耕作会員11人とサポーター会員12人。毎週火曜日と第2、第4の木曜日の午前中を活動日とし、都合のつく人が自主的に集まり、それぞれが畝づくりから種まき、苗の植え付け、水やりや施肥、除草などの手入れから収穫までを楽しみながら行っています。
「里山」を会の名前に冠したのは、里山に暮らす先人たちの知恵を学び、後世に伝えたいとの思いからでした。
「物資が十分でなかった時代には、自給自足があたりまえ。里山の暮らしはその典型でした。厳しい暮らしの中で人々は創意工夫を凝らし、毎日を生き抜く術を身につけていったのです。私たちは里山で暮らしてきた先人たちの教えや知恵を学び、未来を切り開いていく力を後世に伝えることができたらと思っています」と、会長の久保田領一郎さんは話してくれました。
「四日市里山クラブ」がこれまで実践してきたことの一つとして、竹炭作りがあります。個人から委託された竹林整備事業によって伐採した竹を滋賀県東近江市にある炭焼き窯に運び、土地の古老から竹炭作りを学んでトライしたところ、見事に成功したのです。
竹炭作りの焼成の途中で出る排ガスは採取して冷却・液化することで、竹酢液を抽出します。竹酢液には消臭や殺菌、防虫効果などがあるとされています。
このほか、栽培・収穫した八朔からジャムを作ったり、お花見や観月会、お餅つきなど四季折々の行事を行うことで、暮らしに息づく和の要素を大切にしています。
メンバーの夢は、古老たちが里山暮らしで身につけた知恵や知識、生活の技術を子どもたちに伝えること。農的作業を通じて自然と触れ合い、循環型社会への関心を深め、総合的な人間形成の場として将来は畑の学校を設立したいと考えています。
施設名 | 四日市里山クラブ |
住所 | 事務局長・寺本佐利さん |
TEL | 090-1095-0555 |
営業時間 | |
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