市民向け農業講座「あぐりカレッジ」体験レポート、第4回目をお届けします。
この日は、愛知県大府市にある人気の産地直売場「JAあぐりタウンげんきの郷」内の
研修施設「あすなろ舎」を会場として、7月13日に行われました。
この日の講座テーマは「観葉植物の栽培管理」。
これまで野菜や果樹について学んできましたが、今度はお花です。
教室に入ると、さまざまな植物の苗が用意されていました。
寄せ植え作りの実習があるそう。楽しみです!
講師は半田農業高校教諭の磯貝勝さん。
講義は「土」の説明から始まりました。
「植物を育てる上で大切なのは、“土”と“水”と“肥料”です。
どれが欠けても植物は育ちませんが、なかでも土には、
①植物の体を支える
②水分や養分を補給する
この二つの重要な役割があります。
そしてよい土とは、
①水はけや通気性がよいこと
②水もちや肥もちがよいこと
という、2大条件が揃っているもの。
“水もちがよくて、水はけがよい”という一見矛盾している条件を満たすのが、
団粒構造(だんりゅうこうぞう)の土です」。
続いて、土の種類について説明がありました。
園芸に使われる土には7〜8種類あり、
特徴の違う土を組み合わせて、育てたい植物の性質に合う土を作ります。
つまり、ブレンドするわけですね。
よく使われるのは、
赤玉土、腐葉土、パーライト、バーミキュライト、ピートモス、水苔、鹿沼土、軽石など。
赤玉土と腐葉土をブレンドした土は、ほとんどの植物に対応できるベースになります。
植物が元気に育つ上で大切な成分は16あり、その中でも3大要素といわれるのが、
「窒素(N)」「リン酸(P)」「カリウム(K)」の3種類。
「市販されている肥料の袋には、よく“10-10-10”とか“14-9-7”と書かれています。
これは、三大栄養素“NPK”の配合割合を示しています」と先生。
NPKには、それぞれ次のような特性があります。
◎窒素(N)は「葉肥」といわれ、葉を茂らせたり、茎を太く丈夫にする役割。
◎リン酸(P)は「花肥・実肥」として、
花や実を育てるのに必要な成分で、実のなる野菜や果実の生長には特に欠かせません。
◎カリウム(K)は「根肥」として、根や茎の成長に必要な成分。
それぞれの特性を知り、栽培目的や時期に合わせて肥料を与えることで
植物の生育をサポートすることができるわけです。
土について学んだ後は、いよいよ寄せ植えの実習です。
配布された花苗は7種類。まず苗を鉢の中に置き、
全体のバランスを考えながら、植え付ける位置や向きを決めます。
先生からアドバイス。
「中心は、一番背の高いスパティフラムがよいでしょう。
つる性のヘデラ(アイビー)は外に広がるように植えましょう。
鉢を置く向きに合わせて、植物の正面が前に来るよう植えることもポイントです」。
なるほど、寄せ植えは完成時を想像しながら作ることが大事なんですね。
苗の配置を決めたら、鉢の底に鉢底石を入れます。
これで水はけがよくなり、水が溜まらなくなります。
さらに培養土を入れ、ビニールポットから外した花苗を予定の配置通りに、
土をかけながら植え込んでいきます。
苗と苗の間のすき間にも割り箸などで土をつつきながら、きちんと埋めるのがポイント。
また、鉢いっぱいに土を入れてしまうと、水をやる際に土があふれてしまうので、
鉢の淵から2センチほど低いところでストップ。
この空き空間をウォータースペースといいます。
最後に育て方のアドバイスと化成肥料を先生からもらい、講義は終了。
「水やりは午前中にたっぷり与えてください。乾いたらまた水やりをしてください。
花が終わったら花がらはすぐ取り除くこと。
プランターに放置しておくとカビや病気の原因になります。
肥料は1週間後に5粒程度を、その後は3〜4週間に1回、5粒程度を与えましょう」。
磯貝先生に、寄せ植えを楽しむコツを聞きました。
「最初は、“かわいいな”“好きだな”と思うお花の寄せ植えから始めるとよいと思います。
但し、ひとつの鉢に欲張ってあれこれ植えないこと。根が広がらなくなってしまいますので。
お花が暮らしの中にあると楽しいですよ。
そんなに難しくないので、気軽に始めてみてください」。
寄せ植え作りは初めてでしたが、土づくりや肥料のことを理解すれば、好きなように植えてOKなんですね。とても楽しかったです。自分で作った寄せ植えは愛着もひとしお。大事に育てます!
(梅田美穂)
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2013年7月13日現在の情報になります。