伊勢自動車道・松阪ICを降りて、車で約1分。
松阪市のほぼ中央部、農作地の広がる緑豊かな一帯に、
「地産地消」「スローフード」をテーマにした「松阪農業公園ベルファーム」
(以下ベルファーム)があります。
約23ヘクタールの広い園内にはイングリッシュガーデン、産直市場、カフェやレストラン、
農場などがあり、年間を通じて多くの人が訪れる人気の施設です。
取材に訪れたのは、ちょうどバラが見頃を迎える初夏の始まり。
美しいバラが咲き誇るイングリッシュガーデンが迎えてくれました。
園内を案内してくれたのは、広報担当の冨上由美子さん。
まずはベルファーム自慢のイングリッシュガーデンを歩きながらお話を伺いました。
「このイングリッシュガーデンの広さは約1.4haあり、
107品種1600株のバラを栽培しています。
5月中旬から6月上旬にかけてはバラが見頃を迎えますが、
四季を通じていろんなお花を楽しんでいただけますよ」と冨上さん。
イギリスの自然庭園をテーマにしたイングリッシュガーデンの中は、
ローズガーデン、ハーブガーデン、インドアガーデンなど9つのエリアに分かれており、
四季の花木が植えられています。
春はチューリップや水仙、ムスカリ、夏は紫陽花、ヒマワリ、スイレン、ユリ、
秋はアスター、ダリアなど、いつ訪れても四季折々の花や植物が目を楽しませてくれます。
ガーデンの管理は専任スタッフが担当していますが、広くて人手が要ることもあり、
一般の方が「庭園ボランティア」としてお手伝いしているそうです。
「みなさん、“私の庭よ”とおっしゃって、熱心に手伝ってくださるんですよ」と冨上さん。
この庭園ボランティアはのべ30人もの方が参加しています。
地域の方に愛されている庭園なんですね。
続いて案内していただいたのは、飲食施設「ガーデンカフェ ルーベル」。
このお店では地産地消にこだわり、
地元・松阪産の野菜や果物をふんだんに使ったランチとジェラートが楽しめます。
入り口にはジェラート工房があり、毎日、旬の素材を使って製造しています。
取材時は付属農場のブルーベリーや、松阪産イチゴ、
季節のバラを使った珍しいフレーバーなど、いろんな味のジェラートが並んでいました。
お店で使う食材は、毎日ベルファーム内にある
産地直販場「農家市場」から仕入れており、旬の野菜を生かしたメニューが評判です。
なかでも一番人気は、野菜ソムリエが監修した「手づくりランチ」。
私もお昼ごはんで頂いたのですが、
いろんな野菜をたっぷり使った盛りつけも華やかな内容に、目も舌も大満足しました!
ベルファームを訪れたら、ぜひ立ち寄りたいのが「農家市場」。
松阪市とその近隣で生産した農産物や、三重の海産物や畜産物を販売する人気の直販場です。
店内に並ぶ野菜や果物は、毎朝7時から近隣の農家さんたちが納品したもので、
その日の朝、もしくは前日に収穫したもののみ。
搬入した日の夜に必ずチェックを行い翌日に持ち越さないというから、新鮮そのものです。
現在、農家市場に参加する登録農家は約300軒で生産者会もあり、
ベルファームのイベントで大鍋で作った牛汁を販売するなど、
消費者と生産者が直接交流する機会もあるそう。
この農家市場では新鮮な野菜や果物のほか、
調味料や乾物などの食品加工品や他府県産のものも並んでいます。
「農家市場の商品は、すべてスタッフがお店や生産者さんのところに足を運んで確認し、
納得のいったものだけを置いています。
他府県など遠くても必ず行って、作っている人にお会いします。
うちで扱う基準は、“地元でこだわりを持って作られているか”
“誠実に作られた商品か”“自分がお客様だったら買いたい商品か”ということ。
今の時代に規模の小さいお店が生き残るには、商品へのこだわりと品質が大切。
基準を厳密にすることが、結果として生産者を守ることにつながると考えています」と冨上さん。
園内には他に、三重県内の特産加工品やお土産物を販売する
「松阪商会」という売り場があります。
松阪名産の松阪牛をはじめ、松阪茶や伊勢木綿の商品など
お土産にぴったりな商品がたくさん並んでおり、地元ならではの素朴なおやつなども。
見ているだけで楽しく、あれこれ買いたくなりますよ。
ベルファームでは「食育」「緑育」「健育」という、3つの「育て」をテーマにしています。
「食育」の取り組みとして、付属農場での農体験、
季節のジャムやタルト作りさまざまな体験講座を開催。
毎月いろんな楽しい講座やイベントが行われているので、
訪れる際はぜひ事前にホームページをチェックすることをおすすめします。
昨年、初めての試みとして“農家さんと一緒に大根を作ろう!”という食育講座を実施。
これは地元の小学生たちが農家さんと一緒に、大根の種まき、間引き、収穫、
調理、販売までのすべてを体験するもので、期間は約半年間、のべ60人が参加しました。
講座の最後はイベントとして“大根まつり”を行い、収穫した大根を販売。
とても好評だったそうです。
今年は大豆を育てて収穫するところから行う、味噌づくり講座も開催しています。
「畑で土に触れ、自分の手で野菜を育てることで見えてくること、
分かることが必ずあると思います。
ベルファームの講座で、農業という仕事や農業の素晴らしさについて知り、
食べることの意味や大切さも実感してもらいたいと願っています」。
冨上さんはベルファームが目指す「食育」への思いを、そう話してくれました。
またベルファームでは、地域の小学校に給食食材として農家市場の野菜を届けています。
「野菜を好きな人、食べる人を増やさないと、農業が衰退していまいますからね」と冨上さん。
なるほど、確かにその通りですね!
「緑育」では、最初に紹介したイングリッシュガーデンを通じて
花や緑を楽しむ喜びを伝えるほか、環境配慮への意識も育てたいという考えから、
廃油リサイクル施設「くるくるエコ家」を園内に設置。
これは家庭から出る使用済み油(廃油)を回収し、
環境への負荷の少ないバイオディーゼル燃料(BDF)にリサイクルする取り組みです。
再利用した燃料は園内イベント時の電源として使っています。
健康を育む「健育」の取り組みでは、
「ベルファームフィットネス」としてヨガや太極拳など、さまざまな運動教室を開催。
手軽な料金で予約不要なので、気軽に利用できると好評です。
取材時も運動着姿のお客さんを、園内で何人も見かけました。
広報としてさまざまな企画や取り組みを考え、
スタッフたちと一緒に日々熱心にベルファームを盛り上げている冨上さんに、
今後の抱負や目標をお聞きしました。
「うちにはアトラクションや乗り物といったテーマパークにあるものはありませんが、
松阪の豊かな農業と自然に触れていただき、その魅力を知るきっかけになったり、
楽しんでもらえる場所でありたいと思っています。
これからもベルファームならではの、
そしてここでしかできないことを仕掛けていきたいですね。
“いつ来てもここは楽しいね!”と言っていただけるよう、
お客さまからの期待に応えていきたいです」。
ベルファームは、松阪という土地が持つ様々な魅力を発見できる素敵な公園でした。
ぜひまた訪れたい!と思っています。
ベルファームを訪れて印象に残ったことのひとつが、園内で出会うスタッフの皆さんの元気な笑顔! 目が合うとにっこり笑顔が返ってきて、清々しい気持ちになりました。きれいなガーデンとおいしいランチや新鮮な野菜と同じく、働いている人たちもここの魅力だと思いました。休日のドライブで訪れたい場所がまた増えました!
(梅田美穂)
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お問い合わせ先 | 松阪農業公園 ベルファーム |
TEL/FAX |
TEL:0568-63-0050 FAX:0598-58-3712 |
ホームページ |
松阪農業公園 ベルファーム |
2013年5月30日現在の情報になります。