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「eat eco」の実践でびわ湖を守る
2016.06.19 更新

1滋賀はもちろん、京阪神の暮らしと産業を支えるびわ湖。このびわ湖を守るために、滋賀県では生産者、販売者、消費者が力を合わせて自然環境に配慮した「環境こだわり農業」が行われています。実践までの経緯と取り組みについて、滋賀県農政水産部 食のブランド推進課の森野真さんに伺いました。

びわ湖の水質汚濁から始まった取り組み

滋賀県内のほぼ全域をカバーするびわ湖水系。降り注いだ雨は周囲の山々を通ってびわ湖に流れ、人々の暮らしを支えています。
「そのびわ湖が汚染され始めてきたのは1970年後半からです」と森野さんはいいます。赤潮の異常発生をはじめ、植物の栄養素となる「チッ素」や「リン」が増えて水生植物やプランクトンが異常に繁殖し、水質が悪化しました。

滋賀県は1979年、全国に先駆けて「富栄養化防止条例」を制定し、工業用水や家庭からのチッ素、リンの排出規制を実施。農薬でも化学肥料を減らしても収量が落ちない農法の普及や農業廃水を極力流さないように啓発を行いました。
「農業排水の規制には、農薬と化学肥料の使用削減が必要ですが、農業の場合は肥料や農薬を減らすと収量が落ちてしまうという問題がありました」と森野さん。化学肥料を減らしても収量が落ちない農法の普及や、農家の負荷に対する支援、また消費者にわかりやすい“透明な”施策が必要だと感じた滋賀県は、2003年3月に「滋賀県環境こだわり農業推進条例」を制定。減農薬、減化学肥料への本格的な取り組みを始めたのです。

㈪農薬と化学肥料を減らして野菜や米を育てるには知識が必要。農業普及指導員が各畑や田んぼに出向いて、指導を行います

㈫農業普及指導員の話に耳を傾ける生産者たち。減農薬、減化学肥料の農法は今まで以上に手間も時間もかかります

全国初の直接支払い制度を制定、やがて国の制度へ

滋賀県が取り組む「環境こだわり農業」とは、農薬と化学肥料の使用量を通常の50%以下に減らし、濁水の流出を防ぐなど、びわ湖や周辺の環境に優しい技術で栽培するもの。農薬や化学肥料の使用を随時記録するなど、さまざまな工夫が行われています。

その目的はびわ湖を守る以外にも「安全・安心な農産物の消費者への普及」と「環境と調和のとれた農業生産の確保」があります。「しかし最初は農家からも農協からも“安定した収量が減る”と反対されて苦労の連続でした」と森野さん。担当職員は欧米や韓国での先行事例の研究や農法支援策を学び、さまざまな推進施策を考案しました。

2004年、環境こだわり農業実施に関する協定のひとつとして、農家を支援する「環境農業直接支払い」制度を全国で初めて実施しました。
「農薬や化学肥料を減らす環境こだわり農業では、従来より作業の負担が増え、収量も減ります。生産者の方のご協力と努力に対して、補助金をお支払いする制度です。この制度の実施で、農家の皆さんにも徐々に理解をしていただけるようになりました」と森野さんは振り返ります。
 滋賀県が独自で始めたこの制度に国が着目し、2007年からは国が「環境保全型農業への直接支払」を履行。森野さんたちの地道な努力と、地域環境を守る熱い想いが国の施策をも動かしたのです。

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環境こだわり農業で作られた作物は消費者にわかりやすいように「環境こだわり農産物認証マーク」を表示

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環境こだわり農法で栽培する県育成品種の米「みずかがみ」

「食べることでびわ湖を守る」が合い言葉

県ではこうした直接支払い制度以外にも、農薬を減らしても収量が激減しないための技術の提供として農業普及指導員による指導を行うなど、さまざまな施策に取り組んでいます。

また、環境こだわり農法で作られた米や農産物には認証マークをつけて他と差別化。消費者に手に取ってもらえるよう努力しています。「安心・安全な米や野菜を安定して買ってもらうこと。それは生産者の励みにもつながります」と森野さんはいいます。

さらにこうした県や農家の取り組みが地域に認められ、昨今では消費者による「こだわり滋賀ネットワーク」も結成されました。約180人のメンバーが実際に店頭に立って、環境こだわり農産物のPRをするなどの活動を積極的に行っています。
「キャッチフレーズは“食べることでびわ湖を守る”。生産者、販売者、消費者が一丸となってこれからもびわ湖の水と環境を守っていきたい」。地域の力でびわ湖を守り、地域の食と環境を守る取り組みは未来へと続きます。

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「農薬・化学肥料が通常の5割以下」など消費者にわかりやすい表示で認証

7環境こだわり農業を行っている田んぼや畑には、立て看板も建てられています

2016年5月24日取材時のデータです
ライター 小山芳恵

お問い合わせ
施設名 滋賀県農政水産部 食のブランド推進課
住所 滋賀県大津市京町4-1-1
TEL 077-528-3895
営業時間 9:00〜17:00
定休日 土、日曜、祝日
URL www.pref.shiga.lg.jp/g/kodawari/
E-mail
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