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少量生産で豊かな味わいに。
世界に名を馳せる鈴鹿の「味酒(うまさけ)」
2016.03.26 更新

_DSC8869水が涸れたことがないといわれる鈴鹿山脈の伏流水。おいしい軟水と豊かに実る良質の米から、140年以上にわたって鈴鹿の地酒を造り続ける「清水清三郎商店」。
国内外でさまざまな賞に輝くブランド「作(ざく)」「鈴鹿川」を醸す蔵として、今や世界に名をとどろかせます。伝統を大切にしつつも、積極的に進める新しい日本酒造りを、海外営業部マネージャーの清水雅恵さんに伺いました。

日本酒で知られた鈴鹿に唯一残る蔵

日本には酒どころがいくつかありますが、ここ鈴鹿は日本酒の歴史が長いまち。鎌倉中期(768年ともいわれる)に撰集されたという「倭姫命世記(やまとひめのみことせいき)」に、「味酒鈴鹿国(うまさけ すずかのくに)」と記されています。この「味酒」とは「酒の産地として有名なことから鈴鹿にかかる枕詞」。つまり鈴鹿は、うまい日本酒で古くから評判だったのです。
そんな由緒があり、かつては酒蔵が建ち並んでいましたが、今残っているのは一軒のみ。1992年に日本酒級別制度が完全撤廃され、酒税率や仕組みが変わったことや、後継者問題などで次々に酒造メーカーは姿を消していきました。
逆風の中、あえて新しい試みを始めたのが、清水清三郎商店です。
「大手と同じような商品を手がけても、なかなか競争できません。時代の変化のなかで、ほかにはないブランドをつくろう、と考えました」と清水さんは話します。

清三郎商店_蒸し米

米を蒸しているところ。酒造りで最も大切な麹は、蒸米に種麹を振りかけて造ります。麹の良し悪しを左右するのが蒸米で、杜氏は米の水分含有量などに応じて、水に漬ける時間を秒単位で調整するそう

種切6

蒸米を敷き詰め、種麹を振りかける「種切」。麹造りが本格的に始まります

shizuku doriの

余分な力を加えず、もろみを入れた袋からしたたり落ちる滴だけを集める「滴取り」。香りがひときわ華やか

伊勢型紙とコラボした「鈴鹿川」

当時、ここもまた後継者問題に直面していました。杜氏の高齢化によって存続の危機にさらされたのです。そこで清水清三郎商店が新しく迎え入れたのが、鈴鹿出身の若手。従来のような遠方から訪れるベテランではなく、地元に根ざす若者が杜氏を担います。
日本酒造りも一新します。経験や感覚だけに頼らず、数値で管理できる設備を投入。冷却機能のある特殊な二重タンクで、内部の温度をきめ細かく調整するようにしました。一般的に日本酒造りは冬ですが、タンクの導入で一年を通して行える四季醸造が可能になります。さらに、仕込みは800キロサイズというかなり小さめのタンクで少量ずつ生産。手間はかかりますが、丁寧に少しずつ醸すことで、繊細で豊かな味わいを生みだしているのです。
こうして2004年に誕生したのが「鈴鹿川」です。
「地元が誇れる日本酒を、という思いで立ち上げたブランドです。鈴鹿の名を掲げることで、贈る人にも受け取る人にもインパクトを与える一本になるのではないでしょうか。ラベルは、地元の伊勢型紙ブランドであるOKOSHI KATAGAMIとコラボレーションしました。伊勢型紙は千年の歴史がある伝統的工芸品で、この素晴らしさに再注目したいと思ったからです。何千種類もの意匠から、現代でも新鮮に感じる柄を選び、味のイメージをデザインで表現しています。鈴鹿のよいもの・美しいものも感じてもらえたらうれしいですね」。

清三郎商店_鈴鹿川

「鈴鹿川」と「イセノハナ」。右から2つめは純米大吟醸 原酒「イセノハナ」で、2016年3月1日から500本限定で販売(5400円、750ml)

旨口の日本酒は郷土の味と相性ぴったり

「鈴鹿川」は芳醇かつ豊かな味わいの「旨口」。純米大吟醸、純米吟醸、純米など5種類があります。
「蔵は海の近くなので、このお酒はシーフードとよく合いますよ。純米大吟醸、吟醸などは、三重県の特産物である伊勢海老や牡蠣と相性ぴったり。純米は、鈴鹿牛など脂分の多いしっかりした料理にも適しています。香りがよくすっきりとした後味のお酒を、料理とともに楽しんでください」。
「鈴鹿川」は今年2月、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2016」で「純米大吟醸磨き四割」が最高金賞を、「純米」が金賞を受賞。全国新酒鑑評会などさまざまな賞に輝いています。また、「作」も海外のコンクールで数々のメダルを獲得。この蔵で生まれた日本酒は、国内外のファンから熱い注目を集めています。

さらに清水清三郎商店では、日本酒造りを体験できる「鈴鹿産酒米『神の穂』から純米吟醸酒『しぼりたて』を造る会」を行っています。地元の人にもっと日本酒を知ってもらおうと10年ほど前に始め、今では東京や大阪からも参加者が訪れる人気の会です。年間スケジュールに沿って、酒米の田植えから稲刈り、仕込みを体験し、純米吟醸酒2本をもらえます。今年も4月に2016年度の募集が開始予定です。
歴史と伝統を大切にしつつ、新しい試みを積極的に取り入れているのが清水清三郎商店の魅力。これからもますます進化した日本酒が楽しめそうですね。

清三郎商店_造る会田植

20人で始まった「しぼりたて」を造る会は、今では年間にのべ200人が参加

2016年2月15日取材時の情報になります
ライター:南由美子

お問い合わせ
施設名 清水清三郎商店株式会社
住所 三重県鈴鹿市若松東3-9-33
TEL 059-385-0011
営業時間 9:00~17:00
定休日 土日祝
URL http://seizaburo.jp
E-mail banto@daikokuya.co.jp
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