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温泉水の池の中で
短期間で育つスッポン
2014.12.31 更新

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スッポンはコラーゲンだけでなく、ビタミンや良質のたんぱく質も豊富で、栄養価が高いことで知られています。
美と健康に優れた食材であるスッポンを、飛騨牛と並ぶ味として、奥飛騨へ訪れた人々に楽しんでもらえるようにと、地元の宿が養殖をしています。
奥飛騨温泉郷の新平湯温泉の温泉水を利用したスッポン養の話を伺いに、奥飛騨ガーデンホテル焼岳を訪ねました。

源泉の温度がスッポン養殖に最適

スッポンは水温15℃を切ると冬眠してしまいエサを食べなくなるので、通常は出荷までおよそ4年かかります。
温泉で育てることで、およそ2年半で出荷できるほどの大きさにまで育つと言います。
養殖場のビニールハウスの中には、縦横が20メートル×5メートルで、深さが1メートほどの池があります。池は風呂のように源泉かけ流しになっており、スッポンはその中で育てられます。

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ほかにも大きさの違う池があり、大小合わせて13の池があります

スッポン養殖に適した水温は25〜29℃ですが、新平湯温泉の源泉は30℃ぐらいで、池に入れると25℃ぐらいになり、ちょうど適温です。
スッポン養殖を任されている高桑康平さんによれば、水温の管理が大切だと言います。「外気温に負けないように冬場は温泉水の量を増やします」。
また、ここの温泉水にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、源泉に含まれる微生物が光合成をして深い緑色に変化する超深層水温泉です。
スッポンは臆病でストレスに弱く、人の足音がするだけで逃げてしまうそう。「静かな環境づくりが大切なので、なるべく池のあるハウスには立ち入らないようにしています」と高桑さん。池を覗くとスッポンの姿はどこかへ消えてしまいました。

産卵から出荷まで

常時、200匹ほどのスッポンを産卵用の池に入れています。産卵用のスッポンは体格がよく形がきれいなものを選び、オス1に対してメス9の割合にしています。
池の横には卵を産むための砂場を設けてあり、一晩で100個ほどの卵を産むそうです。真っ白でビー玉ぐらいの大きさの卵の中から、有精卵だけを砂ごと取り出し、発砲スチロールの箱に入れてふ化室へ移します。

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ハウスの横には産卵用の小屋が併設されています

 

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卵をかえすためのふ化室

 

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体長2〜3センチの産まれたばかりのスッポン

産まれたスッポンは、温泉水の入った池に入れ、専用の魚粉を主体にしたエサで育てます。半年ごとに池の温泉水を抜き、大、中、小の大きさにわけて、再度、池に入れて育て、700グラムぐらいになると出荷します。

奥飛騨の新しい味として

スッポンの養殖を始めたのは約7年前。「こちらの食材としては飛騨牛が有名ですが、リピートで訪れてくださるお客様に何か新しいメニューを提供できないかと考え、注目した食材がスッポンだったんです」と奥飛騨ガーデンホテル焼岳の経営企画室室長石田純也さん。
安心安全で珍しいものをという発想と、せっかくなので温泉を利用できたらという思いから、すでに北海道などで前例があったスッポン養殖に行き着いたそうです。
今では宿泊客に提供するだけでなく、全国からも注文を受けて出荷しています。 常時2万匹を養殖しており、宿で使う分以外にも1年で1万匹近くを出荷。「生きたまま」「肉だけさばいて冷凍したもの」「味つけして冷凍したもの」と、要望に応じて出荷しているそうです。 「温泉水で育ったスッポンは、お客様からは身が柔らかいとか臭みが少ないと言われます」と石田さん。

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宿で出しているスッポン鍋

ほかにもキャビアを取るチョウザメの養殖にも温泉を活かしているそうです。寒さ厳しい冬には池の下のパイプに源泉を通して水温を上げ、エサの食いつきをよくしています。
様々な形で食の恵みをもたらす温泉のパワーを感じました。

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チョウザメが泳ぐ池

2014年12月1日取材時の情報になります
ライター:田中マリ子

お問い合わせ
施設名 株式会社焼岳すっぽん
住所 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根2408
TEL TEL0578-89-5945
営業時間 9:00~17:00
定休日 無休
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