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暮らしに美濃手漉き和紙を。
「カミノシゴト」
2014.09.24 更新

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美濃市には、江戸時代中期から明治時代初期にかけて建てられた、うだつの上がる家の並ぶ古い町並みが残っています。かつてこの地域は、美濃和紙を商う商人の町として栄えたところ。
この風情ある町並みの中に、美濃手漉き和紙の専門店「カミノシゴト」があります。

身近に感じられるものを提案

カミノシゴトで扱うのは、すべて美濃手漉き和紙を使ったもの。そのこだわりやお店について、店長の神谷文与さんにお話を伺いました。

「1300年ほどの伝統を持つ美濃手漉き和紙の魅力は、薄く、きれいで丈夫だということ。高い技術を持つ職人が1枚1枚ていねいに漉きあげて作っており、和紙のなかでも最高級の品質を誇ります。残念なことに現代は和紙を暮らしの中で使う機会が減っています。カミノシゴトではその魅力を伝えていきたいと考えています」。

お店のコンセプトは「生活の中に和紙を」。店内にはポストカードや便せんといった文房具、モビールやランプシェードのような室内を飾るものなど、日々の暮らしを楽しくしてくれる商品がセンスよくディスプレイされています。
「使いやすいもの、身近に感じられるものをいかに提案していくかがテーマです」と神谷さん。

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草木染めの和紙とレース紙を重ねた美しい壁飾りが目を惹きます

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ミュージアムショップのようなモダンなディスプレイ

職人とのコラボレーション

お店で扱う商品は、約20軒の美濃手漉き和紙工房の紙が使われたもの。「工房それぞれに得意な紙があるんですよ」とのこと。
カミノシゴトでは、和紙工房や職人とコラボレーションしたオリジナル商品にも力を入れています。企画開発はお店を経営する「家田紙工」が担当。家田紙工は岐阜市にある和紙の加工会社で、伝統的な岐阜提灯の絵付けを行う老舗。近年は職人やクリエイターと一緒に、美濃手漉き和紙を現代に提案する取り組みを行っています。

そのひとつが、窓に貼るデコレーション用和紙。和紙で出来た透かしのモチーフを、霧吹きだけでガラスに貼付けることができるもの。
紙の漉き手は、美しいレース状の「レース紙」や「透かし文様紙」を得意とする保木工房。
ちょうどお店へ納品に訪れた、保木工房の保木美保さんにお話を伺いました。

「レース紙や透かし文様紙は“紙自体に表情を持たせることで、人の目に留まったり使いやすくなるのでは”と考え、主人が開発したものです。漉いてから同じものを2枚重ねるものもあり、模様が細かいほど難しくなります。これからも手漉き和紙という、天然素材のある暮らしを提案していきたいです」。

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保木工房が漉いたデコレーション用和紙。雪の結晶の形やかわいい動物イラストなど、いろいろなモチーフが揃います

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こんなふうに飾ります。ガラスにやわらかい表情が加わりますね

 

もうひとつ紹介したいのが「水うちわ」。独特の透明感を持つうちわで、向こう側が透けて見えるほど薄くて美しい、雁皮紙という手漉き和紙を使っています。絵柄を絵付け職人が手刷りし、団扇張りを香川県丸亀の扇子職人が行います。長く廃れていたものを家田紙工が復活させ、話題となりました。

「水うちわに欠かせないのが、強くて透明感のある雁皮紙です。原料となる雁皮の下処理をはじめ、大変な手間と技術が必要な紙なのですが、これを極限まで薄く漉くことができる美濃のCorsoyard(コルソヤード)工房の技術があってこそ作れるうちわです」と神谷さん。

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透明な美しさが魅力の水うちわ。岐阜・長良川の川文化から生まれたものといわれています

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地球儀型の提灯。コルソヤード工房が漉く薄美濃紙を使い、岐阜提灯の老舗の技術で作られたもの

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和紙でできたブローチとブレスレット(左)や、スイーツがテーマのかわいいポストカード(右)は女性に人気。プレゼントに喜ばれそうですね!

選び使うことで生き続けていくもの

和紙の優しい風合いを生かした品々は、使い手に優しい気持ちを与えてくれます。またそうしたモノを選ぶことは、日々の暮らしに豊かさや楽しさを与えてくれる手段のひとつ。
ささやかでも私たちがそんな楽しみ方を選ぶことで、美濃手漉き和紙をはじめ伝統工芸はこれからも生き続けていくのではないでしょうか。
「生活に和紙を」というカミノシゴトの提案には、そんなメッセージも含まれているように思えます。

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伝統的な美濃手漉き和紙も販売。書画やちぎり絵用にと購入していくそう

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落水紙。漉いた薄紙が湿っている時に上から水を落として穴を空ける技法を用いています

2014年8月29日取材時の情報になります
ライター : 梅田美穂

お問い合わせ
施設名 カミノシゴト
住所 岐阜県美濃市相生町2249
TEL 0575-33-0622
営業時間 10:00〜17:00 
定休日 月・火・水・木曜定休 ※祝日は営業
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