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しなやかで美しい美濃和紙の
伝統と技術を守る、匠の想い
2014.09.10 更新

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1300年もの歴史を誇る、美濃市の伝統工芸品「美濃和紙」。
美しい川の水と豊かな自然に恵まれた美濃市は、和紙の原料である楮が多く取れることから、国内有数の和紙の里として発展。匠たちの手によって、その伝統の技は受け継がれてきました。
その中のひとり、美濃和紙の伝統工芸士である加納武さんにお話を伺いました。

使い手の要望に合わせた美濃和紙を製作

高山市で木工職人をめざして勉強した後、和紙の仕事に携わったことがきっかけで和紙職人の道へ進んだ加納さん。12年前に独立し、工房を設立。主に表具の裏打ちに使う和紙や日本画の画用紙、提灯などの灯り作品に使う和紙などを製作しています。
「日本画なら書いた時の墨付きのよさを考慮し、表具の裏打ち用なら少し柔らかめの和紙にするなど、それぞれの用途に合わせて製法や材料を変えています」と話す加納さん。使い手の要望に合わせ、ひとつひとつ丁寧に仕上げることを信条としています。

こうした緻密な技は修業時代に何度も失敗しながら覚えたといい、「特に紙の厚みを揃えるのは、一生の仕事。体で厚みを覚えるしかありません」とも。より使い手に喜ばれる美濃和紙を生み出すべく、日々和紙と向き合いながら真摯に和紙作りに取り組んでいます。

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美濃和紙職人のもとで修業した後、12年前に「幸草紙工房」を設立

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和紙の原料となる楮とその皮。黒皮はベージュの和紙に、白皮は生成りの和紙になる

年月を追うごとに上質な和紙へ

美濃和紙作りは、楮(こうぞ)を煮ることから始まります。加納さんは地元産と茨城産の楮を使用。かつて職人仲間とともに、楮を栽培していたこともあったとか。「刈り取りも皮を剥ぐのもすべて手作業なので時間がかかりましたが、とても勉強になりました」と話します。
大きな釜で煮た後は丁寧にアク抜きや塵取りを行い、繊維を叩きほぐして柔らかくする叩解(こうかい)作業へ。その後、トロロアオイと呼ばれる植物の粘材を入れながら紙漉きを行います。

漉いた紙は干し板に貼って天日干しに。上質な和紙はすべて天日干しで仕上げられます。
こうして作られる手漉き和紙は保存性がよく、長持ちすると評判。
「美濃和紙は呼吸しています。夏は湿気を吸って、冬は乾燥する。これを繰り返すことで熟成され、年を追うごとにさらにいい紙へと変化していくのです」と加納さんはそのすばらしさを絶賛します。

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大きな鋳物の薪釜は知り合いから譲り受けたもの。約2時間かけて、じっくりと楮を煮ます

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繊維化した楮の塵を、ひとつひとつ丁寧に取る加納さん。上質な和紙を作るための重要な工程のひとつです

本美濃紙のすばらしさを次世代へ

白く美しく、柔らかく強い美濃和紙。その中でも特に板取川の良質な水と茨城産・那須楮、木曽ヒノキの道具を用いるなど、指定された要件を満たしたものは「本美濃紙」と呼ばれ、「本美濃紙保存会」で大切にその伝統が受け継がれています。加納さんも保存会の研修生のひとり。
「この技術と伝統を次の世代へ伝えていきたい」と語り、「もっと広く多くの人々に美濃和紙の良さを知ってもらい、親しんでもらえるようにしていきたい」と話します。

現在、加納さんは鯉のぼりや紙雛など、季節の節句に合わせた愛らしい作品作りも始めています。「和紙を通じて、古き良き伝統行事をさらに楽しんでもらえるようになれば嬉しいですね」。美濃和紙を通じて広がる人との出会い、そこから見いだす新たな美濃和紙の未来。加納さんの美濃和紙への思いと夢はどんどんふくらんで、形になっていきます。

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美濃和紙で作られた鯉のぼりと紙雛。鯉のぼりはこんにゃく糊を使っているため、雨にも強い

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可愛いメッセージカードや七夕飾りなど、すべて加納さんのオリジナル

2014年8月28日取材時の情報になります。
ライター:小山芳恵

お問い合わせ
施設名 幸草紙工房
住所 岐阜県美濃市保木脇385-5
TEL 0575-35-2346
営業時間
定休日
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