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竹炭の効能を生かした
エサで育てる「お炭付き鯛」
2014.07.16 更新

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古くから漁業が盛んだった南伊勢町。五ヶ所湾をはじめとした湾内はリアス式の複雑な海岸線が続き、波も静かで養殖にふさわしい地形を形成しています。
今回、珍しいマダイがあると聞いて訪ねたのは、五ヶ所湾の中にある迫間浦。 1970年(昭和45年)からタイの養殖を始めた地域で「タイの里」として知られるところです。

「お炭付き鯛」誕生のきっかけ

迫間浦で「お炭付き鯛」という名前の養殖マダイを育てているのは、舌古さん一家が営む南勢水産。3人兄弟が中心になり養殖から出荷まで一貫して行っています。
「父の代からマダイの養殖を始め、2004年(平成16年)に“お炭付き鯛”として商標登録してブランド化しました」と次男の舌古大樹さん。
お炭付き鯛とは竹炭の粉末を配合したエサで育てたマダイのこと。
「父が南伊勢町で食用の竹炭を作る友人から竹炭の効能を聞いて、人にいいならタイにもいいのではと思って、エサに入れることを思いついたんです」。

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舌古さんの後ろにあるのがドライペレット用の自動給餌機

「エサは魚粉やビタミンなども配合したドライペレットとイワシやアジなどの魚のミンチを主原料としたモイストペレットを使い、それぞれに0.1%の粉末竹炭を配合しています」。
飼料用の粉末竹炭は、お父さんの友人である有限会社竹炭工房竹物語さんに依頼して開発してもらったそうです。
竹炭は体の老廃物を体外へ出したり、活性酸素を減らしたりする効果があるそう。
「養殖マダイの難点は脂肪分が多いことですが、竹炭を入れたエサで育てると脂肪分が少ない良質な身になります。取引先の魚屋さんからも身が変色しにくく、臭みが少ないという声を聞きます」と舌古さん。

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マダイは味とともに色が重要。きれいな赤い色をしたお炭付き鯛

美味しい養殖マダイを育てるために

岸壁から船で5分ほどの海上には10メートル四方、深さ10メートルの養殖用いけすがずらりと並んでいます。
「春になると体長10センチ弱の稚魚1万5千尾ほどをいけすに入れて育て始め、育つごとに大きさによって別のいけすへ移します。最終的に1つのいけすで5千尾ほどのマダイを養殖しています」。
体長30〜40センチ、重さ1キロ〜1.5キロぐらいの成魚になるまでには、1年半から2年かかるそうです。
魚の健康状態や天候などには常に気を配っていると言い、潮の具合が悪いときにエサを与えすぎると魚が死んでしまうこともあるそう。
「マダイは円を描くようにまわりながら泳ぎますが、全体から外れて泳いでいる魚は弱っている可能性がありますね。そういう場合は、いけす全体のマダイが元気になるようビタミンを補充したりします」と舌古さん。

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波が静かで養殖にはぴったりの環境

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紫外線で魚の表面が焼けて色が濃くならないようにするため、いけすには覆いをかけています

活きたまま届ける工夫

出荷できるまでに育ったマダイは、養殖用のいけすから出荷用のいけすに移し、いけすごと作業場のある岸壁まで運びます。
魚の大きさや形を見ながら1尾ずつ選び、専用のカゴに入れて出荷。「カゴには仕切りが付いているので魚が落ち着き、傷むのを防ぐことができるんです」。
こうして大切に育てたお炭付き鯛は、水槽付きのトラックで活きたまま地元はもとより、おもに東海4県の魚屋さんや料理屋さんなどへ直接、届けられます。

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出荷用のいけすは船で牽引します

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出荷用のいけすからタマ(アミ)で1尾ずつ選んでいきます

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10〜11尾ほど入る専用のカゴごとトラックの水槽に入れて運びます

2014年6月6日取材の情報になります
ライター:田中マリ子

お問い合わせ
施設名 株式会社 南勢水産
住所 三重県度会郡南伊勢町迫間浦792-8
TEL 0599-64-2815
営業時間 8:00~17:00
定休日 -
E-mail s-nansei@amigo2.ne.jp
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