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地場産の野菜を使って“食とメディカル”をコンセプトに 北勢地方の観光誘客に取り組む「農業レストラン フラール」
2014.04.04 更新

スーパーシェフがプロデュースする農業レストラン

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取材時の「農業レストラン フラール」の建物。梅まつり後は新しい建物に移る

三重県の北部いなべ市藤原町にある「いなべ市農業公園」は、広大な里山を活用した自然体験型の公園。
38haの梅林公園と18haのエコ福祉広場から成り、
梅林公園では毎年3月に「いなべ梅まつり」が開催されています。
エコ福祉広場には農業体験のできる農園付宿泊施設クラインガルテンや
親子で楽しめる36ホールのパークゴルフ場、ブルーベリー園、ボタン園などが点在。
軽スポーツで自然と触れ合ったり、園内を散策することでせわしなく窮屈な日常から開放され、
ゆったりとしたひとときを過ごすことができます。

中核施設はエコ福祉広場にある「農業レストラン フラール」。
園内の農園やいなべ市、菰野町、大垣市上石津町など近隣で収穫される
新鮮で安心・安全な地場産の野菜やハーブなどを使ったビュッフェスタイルのランチが大人気。
中部圏はもとより京阪神からうわさを聞きつけて訪れる客も多いとのこと。
野菜を中心としたヘルシーなできたて料理が30~40種類ほどテーブルに並び、
各自が好きな料理を皿にとって好きなだけ食べることができます。
ランチの開始は11時からですが、日によってはあっという間に席が埋まってしまいます。

取材当日は土曜日。
肌寒かったこともあり、最初のうち客足はまばらでしたが、
1時間を過ぎたあたりから次第に増え始めました。
「フラール」の支配人兼シェフは、北村光弘さん。
「(公)三重県農林水産支援センター」の食の魅力づくり支援アドバイザー、
国・県の6次産業化プランナー、農林水産省から認定された「食のオフィシェ」といくつもの肩書を持ち、
レストランメニューの開発と輸入食材の研究開発を行う
「(有)ゴールドシェフ」のクッキングアドバイザーとしても超多忙な毎日をおくっていますが、
日々「フラール」の厨房に立ち、調理したものを自ら食卓に運び、
ランチに訪れた人々とにこやかに会話を交わしています。
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「いなべ市農業公園」は里山を切り拓いて造成された自然体験型の公園。
おいしい空気を吸いながら、1日ゆったり過ごせるのが魅力

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取材当日の食材。トマトにフキノトウ、ニンジン、ブロッコリー、ホウレンソウなど、
旬の山菜や野菜がふんだんに使われている

主役は野菜、次々に出てくる新メニュー

「フラール」のメニューはどれも塩分控えめの優しい味。
でも、しっかりと味付けがされているので物足りなく感じることはなく、
野菜の旨味がよく引き出されています。
この日の主食は白米のごはん・チキンライス・ドライカレーの3種類。
途中でいなべ市の特産品であるそばが登場しましたが、あっという間になくなってしまいました。
野菜のてんぷらも大人気。
「天ぷらはもうないの?」という声に「すぐできます」と答え、まもなく揚げたてが運ばれてきました。
「フラール」のすごいところは料理を次々に補充するだけでなく、
できたての新メニューが次々に運ばれてくるところ。
そのつど、「~お持ちしました」と北村シェフのアナウンスが流れます。
早い者勝ちなので、うかうかしていると食べ損ねることも……
常に料理をチラ見しながら食べるので、適度な緊張感も生まれます。

トマトにカボチャ、サツマイモ、小松菜、菜花、大根、ひじき、ホウレンソウ、キャベツ……
とりたてて目新しい食材があるわけではありませんが、
きれいな彩りとほど良く工夫された味つけ、調理法で、客を飽きさせません。
三重県産の豚を使った肉ジャガもあり、野菜中心でもボリューミー。
ランチタイムが終わるころには、おなかがいっぱいになりました。
この日、斬新だったのはイチゴの天ぷら。
フライにして熱を加えることでイチゴの甘みが増し、口の中でとろりととろける新食感。
次に訪れた時には何が出て来るのか、楽しみになりました。
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三重県産の豚を使った肉ジャガ

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野菜が主役のヘルシーメニューがたっぷり。毎週食べに来る人もいるほど。
うかうかしていると、あっという間になくなってしまうので、ほしいものは先に多めにとっておくといいかも……

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自ら調理したものをテーブルに運び、並べる北村さん。
メニューを考えるうえで、シェフ自ら客の声に耳を傾けるのが大切だという

地産地消をキーワードに県を越えた“食”の連携を

「フラール」がオープンしたのは4年前。
いなべ市の獣害対策としてソバの作付けを推奨。
商品化まで携わったことが縁でいなべを訪れるようになった北村さんは、
いなべ市から農業公園内のレストラン経営を依頼されました。
「オープンする前、ここはパークゴルフの休憩所になっていましたが、
レストランとして残すことで観光のための集客が可能になりました」と北村さん。
「フラール」と名付けた理由は、農業公園内に梅林があり、梅の木のエキスを「ムメフラール」と呼ぶこと、
園内には梅のほかにも菖蒲や牡丹など花(flower)が多いこと、
いなべ市藤原町鼎(かなえ)に俳人の前田普羅(ふら)さんという女性がいたことにちなんだものだそう。
「フラ〜っと寄って」というスタッフの思いも込められているとか。

「フラール」のコンセプトは「風土とメディカル」。
食べることの大切さを発信していくことで、いわゆる未病予備軍をなくそうというもの。
献立は治療食がベースとなっており、塩分を減らし、
その分、オリーブオイルやゴマ油、サラダ油などを使って奥行きの深い味を出しています。
特によく使われている食材がトマト。
実はトマトは味噌や醤油と同じく、旨味成分であるグルタミン酸の宝庫なのです。
特に「アイコ」という品種には動脈硬化の予防に効果的なタウリンが多く含まれています。
園内には少量多品種を有機栽培で育てている「ポテンシャル農園」があり、
これには「いなべ市社会福祉協議会」が主催する園芸による健康の維持増進を目的とした
「青空デイサービス」で農業公園を訪れるお年寄りたちが大きく関わっているそうです。
「リハビリもかねてお年寄りに農作業をしていただき、収穫した野菜を『フラール』で使っています。
90歳のおばあちゃんでもブルドーザーを運転していますよ。

地産地消は『フラール』のモットー。
いなべ市藤原町は滋賀県・岐阜県に隣接しており、食材の供給先はいなべ市のみにとどまりません。
他県だからと線引きをせず、時には県を越えた地域の連携も大切。
今後はより地域に開かれたレストランとして、もっとたくさんの方々に来ていただきたいですね」」と、
北村さんは話してくれました。
「フラール」は「梅まつり」終了後に新しい建物でリニューアルオープンします。
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(左)入り口には食材の中心となるトマトがどっさり。園内に現れる動物の写真も飾られている
(右)好きな料理を好きなだけとって食べられるのが、ビュッフェスタイルの楽しみ

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「フラール」の前で、スタッフと共に

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平成26年の「梅まつり」終了後は、この新しい建物に移ってリニューアルオープン。
それに伴い、メニューや価格も改定される

編集員のココがオススメ!

野菜ばかりだとなんだか物足りない印象を受けがちですが、「フラール」に行くとその常識が覆されます。ここでは野菜は脇役ではなく主役。あらためて野菜のおいしさを感じました。スタッフも地元の人ばかりなので、気さくで親しみやすいのも良いところ。食べ過ぎたと思ったら食後に公園内を散歩したり、パークゴルフをしてみてはいかがでしょうか?

(松島頼子)

施設情報

施設名 農業レストラン「フラール」
住所 三重県いなべ市藤原町鼎3071番地「いなべ市農業公園」エコ福祉広場内
TEL&FAX TEL&FAX:0594-46-6370
URL 農業レストラン フラール
定休日 水曜
営業時間 11:00~14:00
料金 大人(中学生以上)1100円 小学生800円 未就学児300円 (以上税別) 3歳までは無料
ドリンク(別途)200円 このほかアラカルトメニューも多数
※ドリンクのみの場合300円
4月1日より、料金が変更になりました

2014年3月1日現在の情報になります。

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