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「菰野の真菰」Vol.1町の名前の由来となった「真菰(マコモ)」で 商工会を中心に、生産者、町が連携して町おこし。
2011.11.05 更新

菰野町ゆかりの「マコモ」が現代に蘇る

御在所岳の麓に広がる緑豊かな自然や田園風景と、
湯の山の温泉地があり、心癒される町、菰野。
かつては、「マコモ(真菰)」が一面に広がる原野だったので、菰野という名が付いたそうです。
ところが、開拓が進む中で、いつしか「マコモ」が町からも人々の生活からも消えていきました。
菰野町で再び、「マコモ」にスポットライトがあたるようになったのは8年ほど前から。
町内在住の薬剤師をしている藤牧けい子さんが、マコモの優れた特性を説き、
前町長の依頼により職員だった大橋徳紀さんが栽培を始めたのがきっかけだと言います。

マコモ田と山並みがのどかな風景の菰野町

栄養価の高いスグレモノ

イネ科の植物であるマコモは、食物繊維やミネラルが豊富で、
弥生時代まではその実を主食にしていたという日本古来の食材。
高血圧や貧血、便秘などにも効くということで薬用としての利用もされてきたそうです。
浄化作用があることから、葉は神社のしめ縄に利用されたり、伊勢神宮のゴザにも使われています。
新芽にマコモ黒穂菌がついて茎がタケノコのように白く膨らんだ状態になったマコモタケは、
シャキシャキした食感でクセがないのでどんな料理にも合う食材です。

マコモタケ

マコモを伊勢神宮へ奉納したときの様子(2011年6月)

マコモタケの粉末を使って商品開発

町では栽培したマコモタケを粉末にし、それを商工会へ持ち込みました。
「そのときに初めてマコモについて知ったんです」と商工会の河合千春さん。
平成20年の秋に商工会として町内の事業者に声をかけて、マコモの粉末を使った商品開発を呼びかけ、
翌年1月に10社ほどの事業者が作った商品の試食会を行いました。
その時点ではあまり評判にはならなかったそうですが、
河合さんは何とかマコモを町の特産品にできないかと思っていたそうです。
そんな折、「地域資源∞全国展開プロジェクト」の募集があり、
応募したところ採択されたのが平成21年4月のこと。
その後、本格的にマコモの商品化をすすめていくことになります。

マコモの普及に努める、菰野町商工会の河合千春さん

色もきれいなマコモの若葉を粉末に

プロジェクトの事業で最初に行ったのはマコモの若葉の粉末化。
「茎の部分であるマコモタケを粉末にすると茶色になり、
加工したときの色も商品化する上で難しいという難点がありました。
そこで目をつけたのが若葉なんです」と河合さん。
若葉は粉末にすると鮮やかな緑色になり、熱を加えても色があせず、
加工品に使いやすいことから、商品開発に一気に弾みがついたそうです。
「あとでわかったんですが、若葉には、
ホウレンソウの約5倍にもなるビタミンA・Cやβカロチンが含まれていたんです」。
色もきれいで栄養価もあることで注目を集め、
麺やウインナー、和洋菓子など1年間でおよそ24種類もの様々な商品が開発されました。

マコモの若葉

若葉の粉末

給食や料理コンテストでマコモをPR

マコモは栽培当初、生産者の大橋さんが口コミで伝えていたものの、料理への活用は進まなかったとか。
2年が過ぎた頃に湯の山温泉の若女将がマコモを知って旅館の料理に取り入れたそうですが、
商工会のプロジェクトが本格化して、食材としての活用も進んだそうです。
生のマコモタケを学校給食に取り入れたり、
料理教室や料理コンテストを開催して認知度を高めたり、
旅館やホテル、飲食店の料理人によるマコモ料理の試食会を開いて食材の可能性を追求するなど、
マコモを料理に取り入れるためのPR活動やイベントを行いました。
こうして、商工会と事業者、生産者、旅館や飲食店、町が一体となって1年間にわたる、
「マコモ」による「地域資源∞全国展開プロジェクト」が無事終了しました。

マコモを使った料理教室

料理コンテストで1位になった「マコモタケと里芋の毬栗風コロッケ」

マコモの弱点を克服して さらなる商品開発が進む

早生、中生、晩生と収穫期により分類されるマコモ。
いちばん遅い晩生は栄養価も他とかわらず甘みも増しますが、
マコモタケには黒い小さな斑点が出てきます。
見た目で敬遠されて破棄するしかなかったマコモタケの活用を考えていた河合さん。
「粉末にするのもいいのですが、葉100kgから約25kgの粉ができるのに対して、
茎100kgからは約10kgの粉しかできず、効率もよくありません」。
そこで、平成22年度に三重県の「みえ農商工連携推進ファンド助成事業」に採択されたのを機に、
晩生マコモの商品開発をすることにしました。
生産者のひと言をヒントに町内の事業者に依頼してマコモで作った「メンマ」を開発。
新たな商品の誕生になりました。
さらには中華の料理人によるマコモ入りの「食べるラー油」も完成するなど、
マコモプロジェクトは進化しています。

町民のマコモへの思いが 町おこしを成功させた

「いろいろ苦労や失敗もありましたが、マコモプロジェクト成功の鍵は、
マコモが町名の由来ということが皆さんの心のどこかにあったからだと思います。
マコモを特産品にする地域は多々ありますが、
全国的に見ても町民のマコモへの愛着が違うのではと感じます」と河合さん。
平成24年秋には「全国マコモサミット」が菰野町で開催されるそうで、
菰野のマコモのさらなる知名度アップを目指しているそうです。

(田中マリ子)

■次回は「生産者 大橋徳紀さん」をご紹介いたします。

団体情報

団体名 菰野町商工会
住所 〒510-1234 三重県三重郡菰野町大字福村871-1
TEL/FAX TEL:059-393-1050
FAX:059-393-4270
URL 菰野の真菰(マコモ,まこも) マコモタケ – 三重県菰野町の特産品,健康食材

2011年10月12日現在の情報になります。

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